レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年03月23日
- 登録日時
- 2019/05/28 17:35
- 更新日時
- 2019/06/19 14:58
- 管理番号
- 堺-2019-041
- 質問
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解決
川端康成の小説『女であること』に、ある哲学者の言葉として、「女であるということは、じつに奇妙な、不純な、複雑ななにかであって、どんな形容をもってしても、それを現すことは出来ない。」という文章が引用されているが、その哲学者の名前と出典を教えてほしい。
- 回答
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キルケゴールの言葉で『人生行路の諸段階』(キルケゴール著作集第12~14巻に収載)に載っている。
(美木多分館)
- 回答プロセス
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『女であること』の当該部分を確認すると、その直前に〈フランスの女の作家の「第二の性」という本に引用されていた〉とあるので、ボーヴォワール著『第二の性』にその言葉が引用されていることがわかったが、『女であること』収載の川端康成全集第16巻の解題や川端康成の研究書を見ても、『第二の性』のどの場所に引用されているかまではわからなかった。そこで、テキスト全文を閲覧できるサイトがないかネット検索してみると、「インターネット・アーカイブ」に『第二の性』の全文(英文)が掲載されていることがわかった。テキスト内検索で、引用文中の言葉である「奇妙(strange)」を検索すると、いくつかの候補のなかに〈“To be a woman,” says Kierkegaard, “is something so strange...”〉で始まる箇所があり、引用句と内容が合致するところから、哲学者の名前がキルケゴールであることが判明した。また同箇所はMyth(神話)の章の冒頭部分にあたるため、『第二の性』(新潮社)の「神話」の章の同じ場所を見ると、〈キルケゴールは言う。「女であることは・・・」〉(p.206)とあり、ようやく引用句にたどりつけた。脚注を参照すると〈『人生行路の諸段階』(『キルケゴール著作集』第一二、一三巻〉とあり、出典についても知ることができた(後日、キルケゴール著作集第12巻の106ページに「女であること・・・」で始まる文章が載っていることを確認した)。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 8版)
- 社会 (360 8版)
- 西洋哲学 (130 8版)
- 参考資料
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川端, 康成(1899-1972) , 川端, 康成(1899-1972). 川端康成全集 第1巻. 新潮社, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I089852554-00 , ISBN 4106438305 (199ページ) -
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 著 , シモーヌ・ド・ボーヴォワール. 決定版 第二の性 1. 1997.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I025454076-00 , ISBN 410535101X -
川端康成 著 , 川端, 康成, 1899-1972. 女であること 改版. 新潮社, 2014. (新潮文庫 ; か-1-11)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025608509-00 , ISBN 9784101001166 (247ページ)
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川端, 康成(1899-1972) , 川端, 康成(1899-1972). 川端康成全集 第1巻. 新潮社, 1980.
- キーワード
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- 川端康成
- ボーヴォワール
- 第二の性
- キルケゴール
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000256484