レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/30
- 登録日時
- 2022/09/02 00:30
- 更新日時
- 2022/09/22 14:01
- 管理番号
- 12752120
- 質問
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未解決
昭和27年2月以前の高校生対象の読書感想文をまとめた資料を探している。
吉田精一著「レポートの書き方」至文堂 1952年 の資料の中に学生(高校生)の羅生門のレポートが掲載されていたが出典がない。
出典の資料を探している。その資料にのるくらいであるから、読書感想文コンクール入賞作品ではないか。
- 回答
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調査対象を「東京都内の高等学校の生徒のものを含む可能性がある読書感想文を複数掲載している1951年2月~1953年12月発行の資料」と設定して検索しましたが、条件に当てはまるものは見当たりませんでした。調査対象の設定理由及び調査方法については「調査方法」をご参照ください。以下、【 】内は当館請求記号です。
(調査方法)
【調査①】
最初に、事前の確認として、質問本文内の以下の資料で、芥川龍之介の「羅生門」についてのレポートがどのように引用されているか確認しました。
資料① 吉田精一 等著. レポートの書き方. 至文堂, 1952【377.07-Y826r】
「つぎに引くレポートは、以上に述べてきたような型には必ずしもはまつていない。二・三の欠点もある。しかし、高校生のレポートとしてはすぐれたものであると思う。実例としてとり上げてみた。」(p.40)、「実例の二 〝羅生門〟に就いて」(p.50)とあり、質問本文にあるとおり、出典についての情報は見当たりませんでした。
また、吉田精一「レポートの書き方」(pp.109-139)を収録している以下の資料で同様の確認を行いました。
資料② 川端康成 等編. 文章講座 第7 (実用文の理論と方法). 河出書房, 1955【816-Ka734b】
「つぎに引くレポートは、都内の某高等学校の生徒の提出したもので、以上に述べてきたような型には必ずしもはまっていない。二、三の欠点もある。しかし、高校生のレポートとしてはすぐれたものであると思う。實例としてとり上げてみた。」(p.133)、「『羅生門』に就いて」(p.133)とあり、やはり出典についての情報は見当たりませんでした(資料①に引かれている「実例の一 ロビンソンとガリバー」はこの文章には含まれていません)。
【調査②】
次に、Googleブックス( https://books.google.co.jp/ )を「吉田精一 レポートの書き方 羅生門」で検索してヒットした2点の資料を当館の資料で確認したところ、出典についての情報ではありませんが、ご照会のレポートの作成経緯と関連する記述がありました。
資料③ 増淵恒吉 著. 国語科教材研究. 有精堂出版, 1971【FC76-68】
○「単元学習の実際」(pp.284-305)内のpp.299-300
以上は「短編小説の読み方」という単元指導案の一例を示したものである
7 指導の実際
わたくしは、本年一月から二月にかけて、この単元を高校一年で取り扱ったので、次に指導の実際をかんたんに紹介して批判を仰ぎたいと思う。
まず、最初の話し合いで、資料としては、(1)鷗外の「安井夫人」(2)鷗外の「寒山拾得」(3)芥川龍之介の「羅生門」(4)モーパッサンの「酒樽」をとりあげることにした。
○「あとがき」(pp.306-313)内のpp.312-313
「単元学習の実際」
国語科学学習指導研究協会編「国語科学習指導要領の実践計画 中学校高等学校編(昭和二十六年十月三十日六三書院発行)に掲載。二編とも、戦後の新しい国語科教育発足当時の筆者の考え方や実践の報告であり、多少の資料としての意義があろうかと思って、本書に採録した。
なお、「羅生門」担当のグループは、学習後レポートを作成した。それは、吉田精一氏の「レポートの書き方」(至文堂発行)に採録され、教科書にも掲載された。
資料④ 増淵恒吉 編. 国語教育の課題と創造. 有精堂出版, 1984.2【FC76-527】
○増淵恒吉「VI 国語教育五十年」(pp.285-300)内のpp.296-297
同年の10月中旬に、都立一高(25年1月日比谷高校と改称)に移る。
(中略)
翌25年4月には、新制中学の卒業生が高校へ進学して来る。その一年生には、「短編小説」という単元名の単元学習に取組んだり、三年生には、「文学の批評」の単元学習を、及び腰ながら試みたりした。いずれも、それらの実践報告は発表しているが、前者で取扱った「羅生門」については、あるクラスの担当班が、作品研究をまとめ、吉田精一氏の「レポートの書き方」に掲載され、更に検定教科書にも採録されたことがある。
【調査③】
資料③及び④の情報から、ご照会のレポートは、1951年1月から2月にかけて行われた東京都立日比谷高等学校の1年生の国語科の単元学習「短編小説」の中で行われた学習内容をまとめたものである可能性が高いことがわかったため、ご照会事項を踏まえ、調査対象を「東京都内の高等学校の生徒のものを含む可能性がある読書感想文を複数掲載している1951年2月~1953年12月発行の資料」と設定しました(資料②において、当該レポートは「都内の某高等学校の生徒の提出したもの」とされており、出版物に掲載されたのだとしても「レポートの書き方」が執筆・出版された時点においては、提出済みだが未掲載という状況であったことも考えられるため、「1953年12月以前」にまで範囲を広げました)。
まず、検索条件を、資料種別「雑誌」、キーワード「高等学校 OR 高校 OR 中高 OR 生徒 OR 学生 OR 学年 OR 年生 OR 千代田 OR 東京 OR 関東 OR 全国 OR 日本」、タイトル「レポート OR 書 OR 文 OR コンクール OR コンテスト OR 賞 OR 作品」、出版年「~1953」として国立国会図書館検索・申込オンラインサービス( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )を検索しましたが、設定した条件に当てはまるものは見当たりませんでした。次に、この検索条件を、キーワード及びタイトルはそのままとし、資料種別を「図書」に、出版年を「1951~1953」に変更して検索しましたが、設定した条件に当てはまるものは見当たりませんでした。
最後に、以下の資料の目次で「生徒作品と講演」の昭和25~27年度の作品タイトル(pp.5-6)を確認しましたが、羅生門についてのレポートは見当たりませんでした。なお、「資料は主として「学友会雑誌」「星稜」等の校内諸誌に依った。」という記載があります(p.1)。
・日比谷高校百年史編集委員会 編. 日比谷高校百年史 中巻. 日比谷高校百年史刊行委員会, 1979.3【FB22-847】
なお、今回の調査は国立国会図書館国際子ども図書館で閲覧可能な資料を用いて行いました。増淵恒吉氏に関係する以下の東京本館の資料は未確認です。
・増淵恒吉 [著], 山本義美, 世羅博昭 編著. 増淵恒吉都立日比谷高等学校国語学習記録 昭和28-30年度. 溪水社, 2014.7【FC76-M12】
・山本義美, 世羅博昭 編. 増淵恒吉国語教室の実際 都立日比谷高等学校時代の国語学習記録. 溪水社, 2014.7【YH251-M326】
・増淵恒吉文庫蔵書目録(抄)について (特集 増淵恒吉研究の現在)
幸田 国広, 後藤 志緒莉, 勝見 健史, 坂本 樹, 藤波 利奈, 田中 稜
掲載誌 国語教育史研究 (19):2019 p.18-50【Z71-L565】
(データベースの最終アクセス日:2022年8月27日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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読書感想文集「考える読書」(毎日新聞社出版刊)については、コンクール自体が1955年に始まっているので対象ではない。
- NDC
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- 読書.読書法 (019)
- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375)
- 参考資料
- キーワード
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- 羅生門
- 読書感想文
- レポート
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 資料情報課(レファレンス)
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320563