レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年12月10日
- 登録日時
- 2012/12/10 12:01
- 更新日時
- 2014/11/20 16:16
- 管理番号
- 023
- 質問
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解決
明治10年(1877)、日本赤十字社の前身である博愛社の設立時に、最後の尼崎藩主であった櫻井忠興(ただおき、松平忠興)が寄付した1,000円は、現在の貨幣価値に換算するとどの程度の金額になるのか?
- 回答
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一般に例示されている方法にしたがって、企業物価指数(卸売物価指数)ないし消費者物価指数を参考に計算した場合、明治10年当時の貨幣価値は現在の約2,900倍(企業物価指数による計算、ただし同指数が得られるのは明治30年代以降なので、明治10年と30年代の比較は一般的な物価推移により推測)ないし約7,500倍(消費者物価指数による計算、同前)となります。
これをあてはめた場合、明治10年当時の1,000円は現在(平成24年-2012-)の290万円ないし750万円程度にあたると考えられます。
- 回答プロセス
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1 一般に例示されている計算方法
以下のサイト参照。企業物価指数(卸売物価指数)または消費者物価指数を指標に、過去の貨幣価値を現在の額に換算する方法が例示されている。
ただし、両指数の推移はかなり異なるので、いずれを採用するかによって数字が異なる結果となる。
◆国立国会図書館リサーチ・ナビ「過去の貨幣価値を調べる(明治以降)」
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102809.php
◆日本銀行「対外説明・広報-教育・学習情報…昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?」
http://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/history/j12.htm/
2 実際の計算
(1) 企業物価指数(卸売物価指数)及び、消費者物価指数
さまざまなソースから得ることが可能と思われる。館の蔵書のなかでは、次の参考文献が便利である。
◆『明治/大正/昭和/平成 物価の文化史事典』(森永卓郎監修)
同書により、明治34年(1901)から平成16年(2004)までの企業物価指数(卸売物価指数)の推移、及び明治33年から平成15年までの消費者物価指数の推移を確認することができる。企業物価指数で1,374.0倍、消費者物価指数で3,844.4倍である。
同書記載年代以降の数字、すなわち平成15年・16年以降の直近までの物価指数推移を知るうえでは、前記の日本銀行のサイトが便利である。同サイトの数字によれば、平成23年との比較で企業物価指数が平成16年の1.06倍、消費者物価指数(東京都区部、総合)が平成15年の0.98倍である。
(2) 明治30年代以前の物価比較・推移
前期の『物価の文化史事典』や、次の参考文献などにより、物価指数統計が得られる以前の時期の物価推移に関する情報を得ることができる。
今回は明治10年と現在の比較なので、明治10年から30年代にかけての推移を調べる。
◆『値段史年表』(朝日新聞社)
同書によれば、白米値段で2倍強、他の物価もこれに近い変化が多いので、明治10年から30年代にかけて平均して約2倍程度の物価上昇があったと見なした。
(3) 計算式
〔企業物価指数を採用した場合〕
2(明治30年代物価/明治10年物価)×1,374.0(平成16年企業物価指数/明治30年代同指数)×1.06(平成16/平成23)≒2,900倍
〔消費者物価指数を採用した場合〕
2(明治30年代物価/明治10年物価)×3,844.4(平成15年消費者物価指数/明治30年代同指数)×0.98(平成15/平成23)≒7,500倍
- 事前調査事項
- NDC
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- 経済史.事情.経済体制 (332 9版)
- 参考資料
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- 『明治/大正/昭和/平成 物価の文化史事典』森永卓郎監修、展望社、2008年発行 (当館請求記号 337.6/モ)
- 『値段史年表 明治・大正・昭和』週刊朝日編、朝日新聞社、昭和63年発行 (当館請求記号 337.6/ア)
- キーワード
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- 博愛社
- 日本赤十字
- 尼崎藩
- 貨幣価値
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- レファレンス協同データベースに登録されている香川県立図書館のレファレンス事例「明治23年の170円を現在の価値に換算していくらになるのか」を参考にした。
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000115369