レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年08月26日
- 登録日時
- 2017/02/08 13:10
- 更新日時
- 2020/07/27 12:48
- 管理番号
- 中野0748
- 質問
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解決
絵本「シナの五人きょうだい」の絶版について。絶版されるにいたった議論について調べている。差別的な内容なのか、どこが問題とされたのか。
- 回答
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1.絵本『シナの五にんきょうだい』絶版の経緯について
【資料1】「差別考える素材にと再刊 中国人の兄弟描く絵本」『朝日新聞』1995年11月18日夕刊
これによりますと、「70年代、(1)細長の目や弁髪など、中国人を戯画化している(2)米国社会が中国からの移民労働者に強制した服装が描かれている―などの批判が米国であがり、日本でも「シナ」という言葉には侵略と差別の歴史がからみついていると問題視する意見が出てきた。これを受けて福音館書店は七八年に重版を中止」とあります。
(この記事は、『朝日新聞縮刷版1995年11月号』(R071/ア/95-11)に掲載あり)
【資料2】『ちびくろサンボ問題を考える シンポジウム記録』日本図書館協会、1990(316.8/チ)
p.15~ 昭和42年の京橋図書館での児童文学講座にて、児童文学評論家の鳥越信氏が『シナの五にんきょうだい』も『ちびくろサンボ』同様に人種差別があると話していたことが書かれています。
2.差別的内容について
【資料3】『日本児童文学』1971年12月号臨時増刊、日本児童文学者協会(『日本児童文学 第51巻』(910/ニ/51)に収録)
p.190~193「ふたたび『シナの五にんきょうだい』について」(新村徹)という論文で、以前、新村氏が「中国を植民地としてみた、他民族の上から眺めた目が明らかに感じられ」「ある国の民族をゆがめて子どもに伝える」おそれがある、さらに、絵に描かれている弁髪が中国民族を表す絵として適切とは思わないと述べられています。
【資料4】『断髪 近代東アジアの文化衝突』劉香織、朝日選書、1990(383.5/リ)
中国人の辮髪の由来や歴史的背景などについて述べられています。(『断髪~』には、上記新聞記事の中でも取り上げられています)
【資料5】『実例・差別表現』堀田貢得、大村書店、2003(361.8/ホ)
p.156~「支那」という言葉が、その語源はさておき中国人に不快感を与えるため表現規制につながっていることを解説し、具体例をあげています。但し、『シナの五にんきょうだい』は例にはあがっていません。
【資料6】『リテラシー・ヒストリー』第3号(早稲田大学リテラシー史研究室,2010年1月)
p.41~54「差別語規制とメディア――『ちびくろサンボ』問題を中心に――」(加藤夏希)という論文で、『ちびくろサンボ』を筆頭に、一九七〇年代から差別語規制の問題の推移と、それに関する図書の絶版の経緯が簡潔にまとめられています。
早稲田大学機関リポジトリにて、当論文を検索しご覧いただけます。
https://waseda.repo.nii.ac.jp/ [最終アクセス:2013年8月26日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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福音館書店から出版されていたが、『ちびくろさんぼ』と同じ時期に絶版になったらしい。瑞雲社から復刊。
支那、弁髪という言葉が問題になったらしい。
- NDC
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- 日本 (071)
- 衣食住の習俗 (383)
- 社会学 (361)
- 参考資料
- キーワード
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- シナの五人きょうだい
- 辮髪
- 支那
- 差別
- 絶版
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000209454