レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年08月07日
- 登録日時
- 2019/08/08 11:51
- 更新日時
- 2019/12/24 14:37
- 管理番号
- 2267
- 質問
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解決
案山子は少名毘古那(すくなびこな)神を模したものではないか。
- 回答
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案山子に関連する神は、久延毘古(くえびこ)神。
『古事記』にも登場する神々の一柱である。
- 回答プロセス
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・依頼者は「田んぼのかかし」が少名毘古那神を模したものではないかと考えており、裏付けになる資料を探しているとのこと。
・まず、『日本大百科全書』で案山子の語源や由来などを確認するため索引を繰ると、かかしの項目に「→久延毘古」とあった。「毘古」とは男性の尊称なので、古代神話やその時代に関連する人物ではないかと考え、久延毘古を確認。
・久延毘古の項には『古事記』に登場する「日本神話の神」と「田に立つ案山子」の二説あった。
・「日本神話の神」である久延毘古について調べるため、キーワード「神祇」で自館検索。いくつかヒットした中で該当しそうな『日本の神様読み解き事典』(153815412/R172/N)を確認。
・『日本の神様読み解き事典』によると、久延毘古とは記紀神話の案山子の神であり、神名の由来は「身体の朽ち果てた男性」。クエは崩ゆの活用形だから、雨風にさらされて朽ち果てるものということ。これは異形の人が知恵者の化身として信じられていたことによる。
『古事記』では、海上から来る神の名がわからなかった大国主命(おおくにぬしのみこと)に、それは少名毘古那神だと答えた神として登場する。
その話のあとに「久延毘古は今に山田の曾富謄(そほど)という者なり。この神は足は行(ある)かねども、天下の事を盡(ことごとに)知れる神になもありけり」とある。
・別の資料として『日本神名辞典』(154059493/R175.2/N)も確認。やはり『古事記』の話と、久延毘古が風雨にさらされた案山子のことであり、さらに歩行不能者に見立てた名であるとされていた。古代より不具者が神秘的な能力にたけている者と見なされていたことも解説されている。
・以上のことから、いわゆる「田んぼのかかし」は少名毘古那神ではなく、久延毘古神に由来するものだと考えられる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (031 10版)
- 神衹・神道史 (172 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 案山子
- 久延毘古
- 古事記
- 記紀神話
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000259926