レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年08月14日
- 登録日時
- 2018/10/11 00:30
- 更新日時
- 2020/04/08 00:30
- 管理番号
- 3A18003743
- 質問
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解決
天野忠幸『三好一族と織田信長 -「天下」をめぐる覇権戦争-』(『中世武士選書31』戎光祥出版,2016) の34ページに「御名字の事、正成以来、朝敵たるによって御十代に及び、相調わず候といえども、今後執り申すにつき、勅許なされ、河内守に任ぜらる綸旨以下御頂戴す、殊に公儀御別儀なく、上野民部大輔方一札、旁もって御面目珍重に候、恐々謹言、松永弾正少弼 十一月卅日 久秀(花押) 楠河内守殿へ 之を進め候」と書かれた史料が紹介されているが、その原文を読みたい。
- 回答
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『三好長慶:諸人之を仰ぐこと北斗泰山』 天野 忠幸/著 (ミネルヴァ書房, 2014.4)
p.99-100に質問史料の書き下し文が掲載されており、解説もあります。
出典は「楠文書」とあります。
以下、「楠文書」についてご紹介します。
国立国会図書館デジタルコレクション:村田正志「楠文書の研究」(『國學院雑誌』62巻9号,63-67コマ目 國學院大学 1961.9)※図書館送信参加館内公開
質問史料(原文漢文)のほか、「楠文書」に収録されている正親町天皇綸旨(おうぎまちてんのうりんじ)などについて掲載されています。
なお、「楠文書」の所在につきましては、
『国書総目録 第2巻 補訂版』(岩波書店, 1989.11)
p.658によると以下6冊の写本があるようです。
上記「楠文書の研究」では、以下の3・4・5の写本を参照しています。
1東大史料(東京都楠虎臣蔵本写)
2東大史料(京都府楠謙吉蔵本写)
3東大史料(京都市楠三彦蔵本写)
4東大史料(鳥取県楠正基蔵本写)
5東大史料(香川県楠直吉蔵本写)
6京大(大正二写)
- 回答プロセス
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1.質問者提示資料『三好一族と織田信長 : 「天下」をめぐる覇権戦争』(天野 忠幸/著 戎光祥出版, 2016.1)p.34を確認し、当該文書は三好長慶の重臣、松永久秀の家臣大饗正虎(おおあえまさとら)が、楠木正成の末裔であると称していたが、南北朝時代に楠木正成が北朝と争った朝敵であるという汚名があるため、楠姓を憚っていた。そのため久秀が楠氏の勅免の綸旨(りんじ)を正親町天皇(おうぎまちてんのう)から獲得したことを正虎に伝えた文書であること。永禄元年(1558)末頃に三好長慶と足利義輝が和睦した際のものであることがわかる。
2.『三好長慶:諸人之を仰ぐこと北斗泰山』 (資料1)p.99-100に質問史料の書き下し文が掲載されており、出典が「楠文書」であることがわかる。
3.CiNii Articlesで”楠文書”を検索し、資料2を見つける。
4.資料2を国立国会図書館サーチで検索し、国立国会図書館デジタルコレクション(送信参加館内公開)で公開していることを確認する。
5.国書総目録(資料3)で”楠文書”を確認し、p.658にある「楠文書」の所蔵場所を見つける。
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000176492> 国書総目録 :補訂版 第2巻 か-く 岩波書店 1989.11 9784000086028 (資料3)
- 当館書誌ID <0012952575> 三好長慶 -諸人之を仰ぐこと北斗泰山-(ミネルヴァ日本評伝選) 天野 忠幸/著 ミネルヴァ書房 2014.4 978-4-623-07072-5 (資料1)
- 国立国会図書館デジタルコレクション 村田正志「楠文書の研究 」(國學院雜誌62(9),1961年9月)※図書館送信参加館内公開 (資料2)
- キーワード
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- 楠文書
- 三好長慶
- 松永久秀
- 大饗正虎
- 正親町天皇
- 勅免
- 綸旨
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000243606