レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年01月07日
- 登録日時
- 2020/03/17 11:24
- 更新日時
- 2020/03/27 11:12
- 管理番号
- 中央-1-002132
- 質問
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解決
日本刀に銘や号が付けられるようになった起源について書いてある本はあるか。
- 回答
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銘の起源について、下記の資料を紹介した。
・『日本刀の歴史 古刀編』常石英明/著 金園社 2016年
p5「大和国宇多郡に天国が出現し、大宝律令に従って自分の製作した剣に銘を刻み、今日のいわゆる日本刀と称される反りのある、鎬造りの太刀様式を最初に製作したので、彼を在銘日本刀の元祖と仰いでいる訳です。いいかえれば、天国以前の刀剣は、全く反りのない平造か切刃造りなどの直刀で、勿論作者の銘はないものでした。」
・『日本刀の鑑定と鑑賞』常石英明/著 金園社 1977年
p5「文武天皇の大宝元年には有名な大宝の改革が行われ、鍛冶戸を各所に置き、兵器の増産を奨励しました。(中略)ちょうどこの時、大和国宇多郡に天国が出現し、大宝律令にしたがって自分の銘を製作刀の忠(柄の中に入る部分)に刻み、今日のいわゆる日本刀と称する反りのある鎬造の太刀様式を最初に造りましたので、彼は在銘日本刀の元祖と仰がれています。」
・『日本刀ファイル』得能一男・光芸出版編集部/編著 光芸出版 2015年
p77「茎に銘を切ることは、古くは奈良時代の大宝律令の中の営繕令に(中略)あって、作者はその作刀に銘を切ることを義務づけられていたことがうかがわれる。」
号については、号の由来に関わる記述がある以下の資料を紹介した。
・『日本刀の鑑定と鑑賞』常石英明/著 金園社 1977年
p249「名物の刀剣とは、徳川八代将軍吉宗の台命により、本阿弥が享保四年当時有名であった名刀類を調査して提出した腰物名物集、すなわち享保名物牒に記載されている刀剣を総称していいます。(中略)これらの名物はその各々にニックネームがつけられ親しまれてきました。その名称の由来はいろいろで、かつての所有者の名前をつけたもの、(略)また太刀の造り込み、形状、彫刻などから庖丁正宗、鯰尾藤四郎、乱刃の少ないところから乱藤四郎、太刀に愛染明王が彫ってある所から愛染国俊、その他不動国行、地蔵行平などがあります。」
このニックネームが「号」にあたると考えられ、この文章の続きには、和歌や詩の歌意から名付けられたもの、伝説や因縁、語呂のよさから出た呼び名など、様々な例が紹介されている。
・『日本刀』小笠原信夫/著 文藝春秋 2007年
p182 名刀についての記述の中で「源氏重代の宝刀“髭切”“膝丸”のように名刀の由来には切れ味により名付けられた号が多い。(中略)『享保名物帳』をみると意外に利刀が理由で名付けられた名物が少なく、かつての所有者によるものが多い。平野藤四郎は摂津平野の町人道雪が所持していたものだし、太郎作正宗は水野太郎作(正重)が所持、稲葉江は稲葉一鉄の長男勘右衛門重通が所持し、象嵌銘があることによる。」と書かれている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 金工芸 (756 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 日本刀
- 銘
- 号
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000275945