レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年11月28日
- 登録日時
- 2021/08/25 00:30
- 更新日時
- 2023/03/15 00:30
- 管理番号
- 3A20006899
- 質問
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解決
大阪天満宮北側にあった「天満八軒」について知りたい。
- 回答
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「天満八軒」とは、特定の寄席の名称ではなく、天満天神裏にあった演芸席の総称として使われていました(資料(1)より)。
「天満八軒」について記述があった資料を以下にご紹介します。
(1) 『芸能懇話』2005年8月号・16号「特集 上方の寄席」(大阪芸能懇話会/編 大阪芸能懇話会 2005.8)
p.6-84 樋口保美/編「大阪の寄席」に、明治時代から昭和20年までに大阪市内にあった寄席の一覧が市内東西南北の4区域に分けて掲載されています。
p.65-74「北地区 ◆天満天神裏」のp.74に「八軒席 はちけんせき 」の項目があり、「天満天神裏は引手茶屋が八軒あったことから天満八軒と古くから呼ばれており、「法善寺の席」などと同じく、特定の席名ではなく、その地域にある席の呼称として使われたのであろう。(中略)正式な興行案内に「八軒席」と書かれたものはいっさいない。」とあります。
また、天満天神裏付近の各寄席の項目があり、概要や沿革等が記載されています。下記資料(3)(4)(5)に記述のあった寄席は、「天満座」以外は掲載されています。
(2) 『近代歌舞伎年表 大阪篇 第9巻 別冊 補遺・索引篇』 (国立劇場近代歌舞伎年表編纂室/編 八木書店 1995.3)
付録の「大阪市劇場史略図 ④北区・福島区劇場史略図」に、各劇場の開場・改称・閉場時期について記載されており、「天満座」の変遷が掲載されています。
(3) 『実記百年の大阪』( 読売新聞大阪本社社会部/編 朋興社 1987.1)
p.266-268「国光席―浪曲師の憧れ―」に「ここらは“新門通りの八軒”いいましてな。天神さんの新しい方の門、つまり裏門のぐるりに、劇場が八軒おましたんや。」とあります。
またp.268に、「明治30年~40年ごろの新門通り界隈」と題された番号が記載された地図が掲載され、「④文芸館(のちの花月)」「⑤国光席(浪花節)」「⑧吉川館(万歳)」「⑭天満座(歌舞伎)」「⑮朝日席(万歳、安来節)」「⑳杉の木席(寄席)」「㉑南歌久(女義太夫)」「㉓八重山席(講談)」と小屋名と上演種目が記載されています。
(4) 『大阪春秋 -大阪の歴史と文化と産業と- 通巻75号 おおさかの大正時代』 (大阪春秋社 1994.6)
p.72-75竹本浩三「-吉本興業の勃興-吉本泰三の誤解と放蕩三昧の功」のp.73に上記資料(3)を参照元とした、明治末期の天満宮近辺の手書きの地図が掲載されています。地図には上記資料(3)同様、「八重山席(講談)」「杉の木席(寄席)」「南歌久(女義太夫)」「朝日席(萬歳・安来節)」「天満座(歌舞伎)」「吉川館(萬歳)」「第二文芸館(のち花月)」「国光席(浪花節)」と小屋名と上演種目が記載されています。
(5)『大阪お笑い学 -笑いとノリに賭けた面々-(なにわ雑楽誌 1)』 (持田 寿一/著 新泉社 1994.8)
「Ⅲ「お笑いシンジケート」吉本興業と笑いとノリに賭けた芸人・興行師たち」のp.198-212「大阪落語戦争のアブナイ参謀・藤原重助と吉本興業の誕生」のp.201に「明治二十年(一八八七)ころから、天満天神社裏には「天満八軒」という演芸席が軒を並べていた。」、p.202に「天満八軒 講談の宝来席、女義太夫の末広席、女義太夫の南歌久席、落語の林家席(後の杉の子亭)、新内の八蝶席、貝祭文の燕丈館、芝居の天満座、それにうかれ節の国光席で(中略)明治四十年(一九〇七)ころには浪花節の国光席、女義太夫の南歌久席(後の第二宮崎亭)、萬歳の吉川館、落語の杉の子亭(後の宮崎亭)、江洲音頭と仁輪加の朝日亭といろは亭、祭文・講談の八重山亭、落語の第二文芸館、芝居の天満座(後の天満八千代座)の九軒となっている」とあります。
- 回答プロセス
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1.大阪府立中之島図書館「おおさかポータル」( http://www.library.pref.osaka.jp/site/osakaportal/ )をキーワード“天満八軒”で検索、ヒットなし。
2. 当館データベース「大阪関係資料目次検索」(外部非公開)にてキーワード“天満八軒”で検索、ヒットなし。
3.「国立国会図書館サーチ」にてキーワード“天満八軒”で検索。当館登録事例( https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000038436 )がヒットするが、有用資料見つからず。
4.過去のレファレンス事例より、大阪の演芸小屋の記事が掲載されている資料(1)を確認
5.「おおさかポータル」「国立国会図書館サーチ」をキーワード“八軒席”で検索、ヒットなし。
6.「Googleブックス」にてキーワード“天満八軒”“八軒席”で検索、資料(5)が見つかる。
7.「大阪春秋 創刊号~100号 索引」( http://osaka-web-museum.na.coocan.jp/index-shunjyu.htm )をキーワード“天満八軒”“八軒席”“第二文芸館”“吉本吉次郎”で検索、資料(4)が見つかる。
8.資料(4)掲載地図の参照元資料を確認。資料(3)
9.「天満座」は歌舞伎のため、当館所蔵検索にてタイトル“大阪 歌舞伎”で検索、資料(2)が見つかる。
- 事前調査事項
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『吉本興業の研究』 (堀江誠二/著 朝日新聞社 1995.1) p.24-25「第一章 演芸王国の誕生 天満宮裏門界隈」に「天満宮の裏門あたりは俗に「天満八軒」と呼ばれ、うなぎ屋、カレーライス屋、すきやき屋、寿司屋などとともに、八軒の小さな寄席が集まり、ちょっとした盛り場になっていた」とあり。
- NDC
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- 大衆演芸 (779 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <5111069936> [雑誌巻号] 芸能懇話 2005年8月号 / 16号 特集 上方の寄席 大阪芸能懇話会/[編] 大阪芸能懇話会 2005.08 資料(1)
- 当館書誌ID <0000475374> 近代歌舞伎年表 大阪篇 第9巻 別冊 補遺・索引篇 国立劇場近代歌舞伎年表編纂室/編 八木書店 1995.3 9784840692205 資料(2)
- 当館書誌ID <0000164156> 実記百年の大阪 読売新聞大阪本社社会部/編 朋興社 1987.1 9784938512040 資料(3)
- 当館書誌ID <0000403747> 大阪お笑い学 -笑いとノリに賭けた面々-(なにわ雑楽誌 1) 持田 寿一/著 新泉社 1994.8 9784787794116 資料(5)
- 当館書誌ID <0000400527> 大阪春秋 -大阪の歴史と文化と産業と- 通巻75号 おおさかの大正時代 大阪春秋社 1994.6 資料(4)
- キーワード
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- 大阪府大阪市北区
- 天満八軒
- 八軒席
- 演芸小屋
- 寄席
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000303622