レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/06/29
- 登録日時
- 2016/12/07 00:30
- 更新日時
- 2016/12/08 16:38
- 管理番号
- 千県中参考-2016-22
- 質問
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解決
レオン・ブルムが寄稿していた、有給休暇を実施していた新聞社の経済紙を知りたい。
フランスのバカンス制度は、レオン・ブルムがマティニョン協定に基づいて制定した法律に端を発するらしい。また、ブルムがこの有給休暇の制定を思いついたのは、彼が寄稿していた経済紙の発行会社が実施していた制度からアイデアを得たためらしい。この経済紙名を知りたい。
- 回答
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県立図書館の蔵書とインターネット上に公開されている文献(【資料3】から【資料18】)を調査しましたが、ブルムの寄稿していた経済紙についての記述は見当たりませんでした。
調査の過程で【資料19】から【資料23】のような文献の情報がありました。県立図書館になく、インターネット上にも本文が見当たらなかったため、内容未確認です。お取り寄せができる場合がありますので、必要に応じてお申し込みください。
【資料1】フランス語版ウィキペディアの記述によると「L'information」に可能性があるようにも思われますが、記述の典拠は不明です。
【資料1】Congés payés(Wikipédia)
(引用)
L’expérience initiée au sein du journal « L’information », (quotidien politique économique et financier parisien) le montre : son directeur technique, J.J. Durand, syndiqué de longue date, obtenait de l’administration du journal, dès 1922, l’octroi de vacances payées au personnel. Léon Blum écrivait alors des articles pour « L’Information » et découvrit cette initiative qui l’intéressa vivement.
(引用終わり)
(Google翻訳(https://translate.google.co.jp/)による翻訳)
有給休暇(ウィキペディア)
新聞「情報」(パリの日常の経済・金融政策)に開始された実験は示しています。1922年に、新聞の投与により得られ、長期シンジケートそのテクニカルディレクター、JJデュラン、スタッフに有給休暇の付与。ブルームは、その後、「情報」のために書いたとこのイニシアチブ活発な関心を発見しました。
(翻訳終わり)
※回答後、利用者より、「L'information」について調査したところ『週刊金曜日』2011年2月11日号「国際ニュース」に記事を見つけたとの連絡を受け、所蔵の【資料2】を確認した。記述の典拠は見つからなかった。
(引用)
「有給休暇は『ランフォルマシオン』という経済紙で技術部長を務めていた労組活動家デュラン氏が、1922年にイニシアティブをとって実現。この試みが同新聞に寄稿していたレオン・ブルムの目に止まり、1936年、ブルム率いる人民戦線政府樹立と200万人大スト・工場占拠運動を経て、世界初の年間15日間有給休暇が創設された」
(引用終わり)
(調査済資料)
【資料3】『観光大国フランス ゆとりとバカンスの仕組み』(青木幹生著 現代図書 2012)
【資料4】『知識人の責任 ブルム,カミュ,アロン』(トニー・ジャット著 晃洋書房 2009)p31-98「第一章 追放された予言者-レオン・ブルムの妥協の代償-」
【資料5】『人間から人間へ わが人民戦線の回想』(レオン・ブルム著 人文書院 1975)巻頭(i-v)久野収「レオン・ブルム-政治的責任の証言者-」、p181-198訳注、p199-207訳者あとがき、p114-128第六章
【資料6】『パリの石畳』(和田俊著 朝日イブニングニュース社 1979)
【資料7】白坂蕃「ヨーロッパの経験した観光開発と有給休暇制度」『立教大学観光学部紀要』(16)(2014年3月)p48-63(https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=9103&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1)
【資料8】渡辺和行「21世紀のフランス人民戦線史」『国際公共政策研究』18(1)(通号33)(2013年9月) p1-13(http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/50273/1/osipp_033_001.pdf)
【資料9】高橋伸夫「フランスにおけるヴァカンスの地理学的研究」『人文地理研究』16(筑波大学地球科学系 1992)p1-32(https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=36106)
【資料10】『20 世紀資本主義の生成―自由と組織化―』(権上康男[ほか]編 東京大学出版会 1996)p73-110廣田 明「両大戦間期フランスにおける余暇の組織化―フランス余暇政策史における有給休暇法の意義―」
【資料11】『レジャーと現代社会―意識・行動・産業―』(村串仁三郎,安江孝司編 法政大学出版局 1999)p73-85廣田明「フランスにおけるヴァカンス法制の発展」
【資料12】『希望と幻滅の軌跡―反ファシズム文化運動―』(中央大学人文科学研究所編 中央大学出版部 1987)p167-196廣田功「フランス人民戦線の〈文化革命〉の一側面―有給休暇と〈余暇の組織化〉―」
【資料13】『フランス―経済・社会・文化の位相―』(佐藤清編著 中央大学出版部 2005)p 1-32廣田功「20 世紀初頭フランス労働運動の労働時間短縮運動」
【資料14】『レジャーの誕生』(アラン・コルバン[著] 藤原書店 2010)
【資料15】『フランス人民戦線史 民主主義の擁護,1934-38年』(ジュリアン・ジャクスン著 昭和堂 1992)p61-71「レオン・ブルム」、p149-156「障壁の破壊-余暇と人民-」
【資料16】鈴木宏昌「フランスのバカンスと年次有給休暇」『日本労働研究雑誌』No.625(2012年8月号)(http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2012/08/pdf/045-054.pdf)
【資料17】飯田芳也「フランスバカンス制度についての一考察-日本での長期休暇普及のために何を学ぶか-」『城西国際大学紀要』16(6) p15-32(http://www.jiu.ac.jp/books/bulletin/2007/tour/05_iida.pdf)
【資料18】Baecque, Antoine de "Et Blum créa les «vacances payées»" Libération, 20 juin 2006
(http://www.liberation.fr/grand-angle/2006/06/20/et-blum-crea-les-vacances-payees_41864)
→一見して新聞と思われるタイトルは見当たりませんでした。
【資料19】向井 喜典「フランスの年次有給休暇制度の成立過程--1936年夏の「余暇の組織化」政策との関連」『 大阪経済法科大学経済学論集』 24(1)( 2000.9)p 50-75
(内容未確認の文献情報)
【資料20】『「休暇」労働法の総合的研究』(野田進 九州大学 1994)
→「科学研究費助成事業データベース」に概要あり。
(https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06620039/)
【資料21】『フランスにおける労働時間短縮と余暇に関する史的研究』(廣田功 東京大学 1996)
→「科学研究費助成事業データベース」に概要あり。
(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08630073/)
【資料22】Bénigno, C. Allons au-devant de la vie : la naissance du temps des loisirs en 1936. F. Maspero, 1981
【資料23】Ory, P. La belle illusion : culture et politique sous le signe du Front populaire, 1935-1938. Plon, c1994
【資料24】平松佳子「フランス人民戦線期、CGTが摸索した民衆ツーリズムについての一考察」『学習院史学』45(2008)
(インターネット最終アクセス:2016年6月29日)
- 回答プロセス
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(1)県立図書館蔵書検索
以下の検索によりヒットした【資料3】から【資料5】を調査。
ア 件名=”フランス 休暇”を含む(中間一致)
イ 全項目=”フランス バカンス”を含む(中間一致)
ウ 件名=”Blum Leon”を含む(中間一致)
エ 著者名=”Blum Leon”を含む(中間一致)
(2)【資料3】『観光大国フランス ゆとりとバカンスの仕組み』に挙げられていた文献
【資料6】『パリの石畳』を調査
(3)国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)検索
ア 件名「フランス 休暇」による検索
【資料7】「ヨーロッパの経験した観光開発と有給休暇制度」の他、【資料20】【資料21】がヒット。
イ 件名「Blum Leon」による検索
英語、フランス語とみられる図書、既出『知識人の責任』の他、【資料8】「21世紀のフランス人民戦線史」がヒット。
ウ 著者・編者「Blum Leon」による検索
日本語文献で既出以外に該当が見込まれる資料は、ヒットせず。
(4)【資料7】「ヨーロッパの経験した観光開発と有給休暇制度」で挙げられていた文献
【資料9】から【資料13】を調査。
【資料11】『レジャーと現代社会―意識・行動・産業―』p83に人民戦線期における有給休暇に対する政府と民間非営利団体の取組み状況について詳しい資料として、【資料22】が挙げられている。
(5)【資料8】「21世紀のフランス人民戦線史」で挙げられていた文献
【資料14】【資料15】を調査。【資料24】も挙げられている。
※【資料14】『レジャーの誕生』は2000年の版が挙げられていたが、新版2010年を確認。
【資料14】p446に「パスカル・オリーによれば、有給休暇が法律に書き加えられるのは、レオン・ブルムの個人的提唱によるところが大きかった。ブルムは「一九一九年から、この問題に関して大胆な行動が必要だと公に宣言していた唯一の大物政治家であった。」」との記述があり、この部分の注として【資料23】が挙げられている。
(6)NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp/)、CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/) 検索
NDL-OPAC 雑誌記事 論題名「フランス 休暇」
CiNii Articles タイトル「フランス 休暇」
【資料19】を調査。
(7)Google「blum leon vacance」による検索
【資料1】、【資料16】から【資料18】を調査。
- 事前調査事項
- NDC
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- 労働経済.労働問題 (366 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】Congés payés(Wikipédia)(https://fr.wikipedia.org/wiki/Cong%C3%A9s_pay%C3%A9s)
- 【資料2】山本三春「有給休暇や最低限所得保障を発明したこの国で新たに提唱された「最低限所得」は実現するか」『週刊金曜日』848号(2011年2月11日)p13
- キーワード
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- 休暇(キュウカ)
- 新聞(シンブン)
- フランス(フランス)
- Blum, Léon(ブルム, レオン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000200970