レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/12/25
- 登録日時
- 2011/03/22 02:14
- 更新日時
- 2011/06/06 11:17
- 管理番号
- 埼熊-2010-109
- 質問
-
解決
「買芝居(かいしばい)」について定義・発生時期などを知りたい
明治13年東京・京橋区木挽町2丁目13番地の中村千升という人を呼んで芝居を行ったことがある。
- 回答
-
「買芝居(かいしばい)」とは、江戸時代以降、農村や漁村で行われた「村芝居」のうち、玄人による芝居のこと。
「旅芝居」「旅まわり芝居」ともいう。これに対して、農村や漁村で行われた素人の芝居は「地芝居」と呼ばれる。
なお、昔は「芝居」とか「狂言」といえば「歌舞伎」を指した。(一部「人形芝居」も含むという説あり。)
参考になる資料として以下のものを紹介する。
(一般図書)
『旅芝居の生活 (生活史叢書 25)』(村松駿吉著 雄山閣出版 1972)
前身(p11)、村芝居の発生(p15)、買芝居と呼ばれたいわれ(p41)など概要がまとめてある。
『幕末維新と民衆社会』(青木美智男編 阿部恒久編 高志書院 1998)
p287-324「文明開化期の村芝居の統制と展開」という論文あり。明治10年代前後の村芝居について新潟の例を中心に詳しい記述あり。「買い芝居」の名称も出てくる(p306)。
江戸期に隆盛したという記述が注などに見られる。p321の注には江戸期の村方による歌舞伎芝居についての論文(「新潟県立文書館研究紀要第4号」:県立未所蔵)紹介があり、その中で「買芝居」の定義についても触れている。
『村芝居 近世文化史の裾野から 叢書演劇と見世物の文化史』(守屋毅著 平凡社 1988)
買芝居という名称も出てくる(p8)。発生から分布・方法まで詳しい。赤城山麓の富士見村の例も取り上げられている。
『愛すべき小屋 村芝居と舞台の民俗誌』(景山正隆著 冬樹社 1990)
買芝居などの用語の確認あり(p54-55)。地方の村芝居の調査が中心。群馬の緊急調査もある(p191-)。
『新城村芝居探訪記 山本宏務写真集』(山本宏務著 新葉社 1992)
村芝居についての解説は少ないが、写真で記録性あり。
(歴史事典)
『国史大辞典13 ま-も』(吉川弘文館 1992)
p679「村芝居」の項に買芝居の記述もある。
「近村から地役者の一座を買って上演してもらうこともあり、そのために巡回する旅役者の集団があった。」などの説明あり。
(インターネット情報)
《Google》を〈買芝居〉で検索する。
158件。筆頭の2件で定義の基本的説明あり。それ以降にも類似の説明多数あり。
・「地芝居」と「地歌舞伎」
「江戸時代以来、全国津々浦々の農山漁村で、村人たちが自ら芝居 ( 昔は「芝居」とか「狂言」といえば「歌舞伎」を指した ) を演じて楽しんできましたが、そうした素人の芝居を、玄人の「旅芝居」「旅まわり芝居」あるいは「買芝居」という」 などの記述あり。
(http://www.asahi-net.or.jp/~tq7k-wtnb/kageyama1.htm 2011/01/27最終確認)
・祭りと女装(日本の祭り13)
「玄人の芝居を「旅芝居」「旅まわり芝居」 あるいは「買芝居」というのに対して、農村や漁村で行われた素人の芝居(昔は「芝居」とか「狂言」といえば「歌舞伎」を指しました)を「地芝居」と呼んできました。「地芝居」と「買芝居」 を総称して「村芝居」と呼ぶこともあります。」などの記述あり。
(http://inuiyouko.web.fc2.com/folklore/j-maturi13.html 2011/01/27最終確認)
- 回答プロセス
-
《Google》を〈買芝居〉で完全一致検索し〈買芝居〉の他に〈旅芝居〉、〈旅まわり芝居〉というキーワードを得る。
上記キーワードで資料検索し、回答の情報を得る。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 演劇史.各国の演劇 (772 9版)
- 参考資料
-
- 『旅芝居の生活 (生活史叢書 25)』(村松駿吉著 雄山閣出版 1972)
- 『幕末維新と民衆社会』(青木美智男編 阿部恒久編 高志書院 1998)
- 『村芝居 近世文化史の裾野から 叢書演劇と見世物の文化史』(守屋毅著 平凡社 1988)
- 『愛すべき小屋 村芝居と舞台の民俗誌』(景山正隆著 冬樹社 1990)
- 『新城村芝居探訪記 山本宏務写真集』(山本宏務著 新葉社 1992)
-
『国史大辞典13 ま-も』(吉川弘文館 1992)
- キーワード
-
- 演劇(日本)-歴史
- 大衆演芸
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000082500