レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/10/24
- 登録日時
- 2021/11/27 00:30
- 更新日時
- 2021/11/27 00:30
- 管理番号
- 6001052843
- 質問
-
解決
イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルが、自分のうつのことを「黒い犬」と呼んでいたことがわかる資料はあるか。また、その「黒い犬」との付き合い方について、記載されている資料はあるか。
- 回答
-
以下の資料に記載がありました。
・『天才はいかにうつをてなずけたか』(アンソニー・ストー/著 今井幹晴/訳 求龍堂 2007.3)
「第1章 チャーチルの黒犬 うつ病の理解にむけて」(p.13-78)
「本章では、チャーチルの生き方について、事実はこうだったのではないかという推測を展開してみる。(中略)あくまで仮説とみなしてほしい。」(p.15-16)と前置きがありますが、「ウィンストン・チャーチルは、(中略)長い間、繰り返し発症するうつ病の発作に苦しんできた。(中略)チャーチルは自分のうつ病のことを「黒犬」と呼んだ。」(p.18)とあり、章にわたって、うつ病の原因やうつ病からどのように自分自身を守ってきたか等について考察されています。
・『天才たちの死:死因が語る偉人の運命』(ハンス・バンクル/著 関田淳子/[ほか]共訳 新書館 1992.8)
「7 チャーチル 毛沢東 天寿を全うした人々」(p.211-248)
p.233に以下の記述があります。
「チャーチルは抑鬱期を「黒い犬」と呼び、たいてい午前中は特に無表情で、「黒い犬がまたあらわれた」と言っていた。しかし、食事や酒、そして気に入った人々との会話に元気づけられて、少なくともときどきは活気がみなぎってくるのだった。かつては乗馬や賭け事に興じ、よく南フランスやマラケシュで日光浴を楽しみ、絵を描こうとしていた。」
・『チャーチル(祥伝社新書)』(ソフィー・ドゥデ/著 神田順子/訳 祥伝社 2015.9)
「1 舞台と舞台裏」(p.9-19)
p.18-19に以下の記述があります。
「やがて出現する彼の活動過多で自己中心的な性向、度を越した野心、加えての鬱的傾向(彼自身はこれを「黒犬(ブラックドッグ)」と呼ぶことになる)は、子供時代の満たされぬ思いや、親を失望させることや失敗することへの恐れが昇華したものであることは明らかだ。」
「7 塹壕体験を経て武器を磨くまで」(p.74-82)
p.74に以下の記述があります。
「メランコリア。黒胆汁〔中世で憂鬱や陰気の原因と考えられていた〕。心の暗闇。アリストテレスもヒポクラテスも、天才につきものと考えた憂鬱質。ミケランジェロを悩ませた心の病。偉人を打ちのめし、深淵の縁に追いやる病。チャーチルは塞ぎこんでいた。自分はすべてを失った、父親と同じく自分も落魄したと考えているチャーチルの気を紛らわせ、絶望から引き出すことは何をもってしても、誰が試みても不可能だった。チャーチル自身が「黒犬」と呼ぶこの気分は彼にまとわりつき、(後略)」
また、p.75に以下の記述があります。
「しかし、チャーチルの楽しみとなり、彼の精神に均衡をもたらし、壊れそうになっていた心を慰めてくれたのは、まさに絵画であった。海軍相を辞めてから間もなくの一九一五年六月二十日(中略)水彩画に挑戦してみた。」
・『世界を動かした21の演説:あなたにとって「正しいこと」とは何か』(クリス・アボット/著 清川幸美/訳 英治出版 2011.2)
「第Ⅲ部 力は正義 第11章 総力戦とは何か―極限状況を戦いぬいた英国の覚悟」(p.230-248)
p.232に以下の記述があります。
「彼は大仰な言葉を使い、カリスマ性に欠け、アルコール依存症であり、スタッフに対しては横柄なことが多かった。終生うつ病とも戦っていた(彼はこれを「私の黒い犬」と呼んでいた)。」
・『現代史を支配する病人たち』(P・アコス/[ほか著] 須加葉子/訳 新潮社 1978)
「7 チャーチル(ウィンストン)-主治医によって守られた不治の心臓」(p.95-104)
p.97、p.101、p.104に以下の記述があります。
「かくて、彼の性質が見えてくる。(中略)その半面、憂鬱そのものになることもある。そんな時は「黒い犬」(意気沮喪)を持っているのだと、彼は言っていた。」(p.97)
「彼は「黒い犬」(鬱病)に襲われるまま抵抗するすべもなかった。」(p.101)
「チャーチルの「黒い犬」は、モーラン卿の心配とはうらはらに、彼を食い尽くしはしなかった。」(p.104)
・『一流の狂気:心の病がリーダーを強くする』(ナシア・ガミー/著 山岸洋/[ほか]訳 日本評論社 2016.2)
「第4章 荒れ野を逃れて―チャーチル」(p.83-99)
チャーチルの精神疾患について考察されており、「黒い犬」については、以下の記述があります。
「チャーチルに実際にあった症状を調べてみよう。チャーチルに何回か重いうつ状態の時期があったのは間違いない。彼自身もそのことを隠さずに述べている。彼はうつ状態のことを、サミュエル・ジョンソンに倣って、「黒い犬」と呼んでいた。(後略)」(p.86)
・『チャーチル・ファクター:たった一人で歴史と世界を変える力』(ボリス・ジョンソン/著 石塚雅彦/[ほか]訳 プレジデント社 2016.4)
「第6章 ノーベル文学賞を受賞した天才」(p.101-120)
p.118に以下の記述があります。
「チャーチルは創造的で憂鬱質な性格であった。書くこと(あるいは絵を描いたり、レンガを積んだりすること)はうつ病の「黒い犬」を寄せ付けないための方法でもあった。」
「第22章 100万ドルの絵」(p.463-483)
p.475に以下の記述があります。
「チャーチルがゴダーミング近くのホー・ファームという田舎家を借りて油絵を始めたのは一九一五年で、ガリポリ後のうつ状態にあるときだった。」
[事例作成日:2021年10月24日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- ヨーロッパ (283 10版)
- 内科学 (493 10版)
- 参考資料
-
- 天才はいかにうつをてなずけたか アンソニー・ストー∥著 求龍堂 2007.3 (13-78)
- 天才たちの死 ハンス・バンクル∥著 新書館 1992.8 (233)
- チャーチル ソフィー・ドゥデ‖著 祥伝社 2015.9 (18-19,74,75)
- 世界を動かした21の演説 クリス・アボット∥著 英治出版 2011.2 (232)
- 現代史を支配する病人たち P・アコス∥[著] 新潮社 1978 (97,101,104)
- 一流の狂気 ナシア・ガミー‖著 日本評論社 2016.2 (83-99)
- チャーチル・ファクター ボリス・ジョンソン‖著 プレジデント社 2016.4 (118,475)
- キーワード
-
- チャーチル(チャーチル)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000308072