レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/5/30
- 登録日時
- 2008/10/25 02:12
- 更新日時
- 2008/10/25 09:33
- 管理番号
- D2008F0424
- 質問
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解決
京都方広寺の鐘に書かれている文言のうち、「四海施化」「万歳伝芳」「子孫殷昌」の読み方が知りたいとの問い合わせがありました。
典拠
『炎いくたび』内村幹子、新人物往来社
- 回答
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御照会の四字熟語について、大坂の陣に関する資料を調べたところ、返り点と送りがなを付した鐘銘の全文がありましたが、読みは付されていませんでした(下記1)。そこで漢和辞典、四字熟語辞典、国語辞典等(下記2~12)を調べたところ、当該の漢語がそれぞれ二字熟語として『大漢和辞典』ほか(下記2、3)に掲載されていましたので、参考までに紹介いたします。
【評点の付いた当該銘文】
(前略)四-海 施シ>化ヲ、万-歳 傳フ>芳ヲ、君-臣 豐-樂シ、子-孫 殷-昌(後略)
*本文は縦書き。「>」は「レ」点を示す。
出典:『大日本史料 第12編之14』(p.467)(下記1)
【読みについて】
四海施化
四海=「しかい」 出典:『大漢和辞典』3巻(p.6)(下記2)
施化=「せけ」 出典:『仏教語読み方辞典』(下記3)
「音 施は慣用音にてセと読み、化は呉音ケに読む 釈 教化を施ししくことをいう(法華玄義 一)」(p.719)
なお、この「施化」について、「化を施し(=「か」を「ほどこ」し)」と読みを付している資料(下記4)があります。
万歳伝芳
万(萬)歳=「ばんざい」 出典:『大漢和辞典』9巻(p.744)
伝(傳)芳=「でんぱう(=でんぽう)」 出典:『大漢和辞典』1巻(p.906)
「美名を後世に残す」意味
*伝:つたへる
芳:はう 「かをり 好い名声、ほまれ、きこえ」の意味(『同』9巻p.552)
子孫殷昌
「しそん いんしょう」 出典:『日本の歴史 12』(p.45)(下記5)
【調査した資料】
1.『大日本史料. 第12編之14』 東京大学史料編纂所編 東京大学 1996 1130,4p 1910年刊の復刻 (GB22-7)
方広寺の鐘銘の全文(翻刻):慶長19年8月5日〔近藤文書〕:pp.464~468
2.『大漢和辞典』修訂第2版 大修館書店 1990~2000 15冊(補巻、索引、語彙索引共) (KF4-E18)
3.『仏教語読み方辞典』有賀要延編著 国書刊行会 1989 1153p (HM2-E15)
4.『周易参同契』鈴木由次郎著 明徳出版社 1977.7 199p (HB25-8)
該当箇所:第八章(讃序):p.197
5.『日本の歴史 : 集英社版. 12』児玉幸多〔ほか〕編 集英社 1992 342p
12: 江戸開幕 / 藤井譲治著 (GB71-E54)
末尾の( )は当館の請求記号です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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調査済みの資料
『片桐且元』曽根勇二著、吉川弘文館 2001年
『林羅山』堀勇雄 吉川弘文館 1990年
『日本歴史大辞典』8 日本歴史大辞典編集委員会編 河出書房 1985
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 参考資料
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- 6.『日本戦史. 〔第2〕』参謀本部編 日本戦史編纂委員撰 元真社 1911 247p (210.498-Sa591n) 銘文の全文(返り点付き)が収録されています(pp.16~20)
- 7.『日本国語大辞典』日本国語大辞典第二版編集委員会,小学館国語辞典編集部編 第2版 小学館 2000~2002 13冊 (KF3-G103)
- 8.『大漢語林語彙総覧』 鎌田正,米山寅太郎著 大修館書店 1993 390p(KF4-E43)
- 9.『岩波四字熟語辞典』岩波書店辞典編集部編 岩波書店 2002 1冊(KF5-H1)
- 10.『四字熟語・成句辞典』竹田晃著 講談社 1990 669p (KF5-E19)
- 11.『日本漢文学大事典』近藤春雄著 明治書院 1985 894p (KG812-1)
- 12.『日本名言名句の辞典』尚学図書編 小学館 1988 1261p (US57-E8)
- キーワード
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- 歴史
- 江戸初期
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000048411