レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20150511
- 登録日時
- 2015/05/11 18:59
- 更新日時
- 2022/08/31 19:40
- 管理番号
- 吹-70-2015-006
- 質問
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未解決
映画「王様と私」の原作本を日本語で読みたい。
- 回答
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原作の邦訳は見つからなかった。
(英訳なら回答プロセス9を参照。)
- 回答プロセス
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1.
アメリカ議会図書館Library of congressで 『The King and I [motion picture] 』を検索したところ、(film or videoとなっている)その書誌情報では、
“Based on the musical play of the same title by Richard Rodgers and Oscar Hammerstein ,Ⅱand on the book Anna and the king of Siam, by Margaret Landon.”
http://catalog.loc.gov/vwebv/holdingsInfo?searchId=811&recCount=25&recPointer=59&bibId=11651116
(最終確認2015.5.11)
2.
『翻訳図書目録』(日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ)の明治・大正・昭和戦前期から2011-2013を、著者名で検索したが見つからず。
3.
サイトIndex TranslationumでLandon,Margaretを検索したが、邦訳は見つからず。
http://www.unesco.org/xtrans/
(最終確認2015.5.11)
4.
聞蔵Ⅱ(朝日新聞データベース)2000年2月10日映画評論家浅野潜執筆の、2000年2月日本公開の『アンナと王様』についての記事によると、
“もともと19世紀半ばの英国女性によるシャム(タイ)での体験記。これまで2度映画化され、1946年『アンナとシャム王』1956年『王様と私』の題名で封切られている。この2作はマーガレット・ランドンの小説の映画化。”
5.
国会図書館の国会サーチで著者名Margaret Landonを検索すると、原書「Anna and the king of Siam」は神奈川県立図書館等に所蔵されているが、邦訳は見つからず。
同じくタイトル「王様と私」「アンナとシャム王」「アンナと王様」を検索したが、ランドンの邦訳は見つからず。
6.
2000年2月日本公開の『アンナと王様』に関する下記の図書を見たが、邦訳に関する情報はなし。
・『アンナと王様』(エリザベス・ハンド/著 竹書房 2000.1)
*標題紙下の情報によると、“ANNA AND THE KING:A Novel by Elizabeth Hand based on the screenplay written by Steve Meerson and Peter Krikes“となっている。 アンナの名前が、アンナ・ハリエット・レオノーウェンズとわかる。
・『アンナと王様・フォトストーリー』(セシリア・ホーランド/著 竹書房 2000.2)
7.
国会図書館の国会サーチのキーワードで「レオノーウェンス」で検索すると、
・小泉順子執筆『アンナ・レオノーウェンスが問いかけるもの』という論文と、それを収めた
・『歴史叙述とナショナリズム タイ近代史批判序説』(小泉 順子/著 東京大学出版会 2006.2) が見つかる。
図書の方を大阪府立図書館から取寄せて見たところ、レオノーウェンスとランドンの著作の解説、レオノーウェンスの経歴、タイでの映画批判など詳しいが、ランドンの小説の邦訳については記述がない。
レオノーウェンスは国王の子供たちの家庭教師として1862年から1867年までシャムに滞在し、その体験を基に1870年『The English Governess at the Siamese Court:Being Recollections of Six Years in the Royal Palace at Bangkok』と、1872年『The Romance of the Harem』を書いた。前者は、30章あり、第3章以降大半がシャムの社会や文化の描写。後者は31章のうち第1・2章を除き、王室の女性たちにふりかかかった出来事をとりあげた物語が主要な部分を構成。ランドンはこの2冊の著作を1冊に合わせ、1944『Anna and the King of Siam』を出版した。これは2冊の要約ではなく、シャムに来る前・去った後のアンナの人生、かつての教え子との書簡の交換や再会などレオノーウェンス自身の著作になかった記述を挿入。この作品をランドンは「75%は事実で25%は事実に基づいたフィクション」と評していた。その後1946年の映画のストーリーは、レオノーウェンスの著作からもランドンの著作からも逸脱していたとのこと。
この内容だと、レオノーウェンス・ランドンの著作とも、小説というよりノンフィクションであると思われる。5.の神奈川県立図書館所蔵の『Anna and the king of Siam』のNDC(分類番号)を確認すると、292.37(タイの地誌・紀行)だった。
8.
国会図書館の国会サーチで著者「レオノーウェンス」を検索すると、
『妾室の悲劇 拷問・暴行・邪淫に抵抗して』(レオノウェンス女史著 鳳映社 1958) NDC935.9(935は英語の日記・書簡・紀行)という図書が見つかる。
大阪府立中之島図書館でこの図書がデジタルで閲覧できるので2014年7月14日見たところ、訳者の前書きに“アンナ・レオノーウェンスが見聞や体験を書きとめ1873年に発表した『アンナとシャム王』から4篇を選んで訳出した。”とある。レオノーウェンスが発表した著作は、7.の『歴史叙述とナショナリズム』によると『The English Governess at the Siamese Court(初版1870年)』と『The Romance of the Harem(初版1872年)』、ランドンの著作は『Anna and the King of Siam(初版1944年)』なので、前書きにある原書の著者名と書名と発表年が合わない。この図書の前書きは昭和33年で、奥付の出版年は1933年となっている。4篇は「素裸へのムチ」「女奴隷の哀歌」「老勇士の死とその娘」「美女ツプティムと僧」というタイトルとなっている。この翻訳図書の原書がランドン著の『Anna and the King of Siam』なら、抄訳ではあっても「王様と私」の原作の邦訳となるが、原書がレオノーウェンスの著書なのかランドンの著書なのかわからなかった。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1696233
(最終確認2015.5.11)
9.
サイトProject Gutenberg でレオノーウェンスの『The English Governess at the Siamese Court』の英文版ならば読める。http://www.gutenberg/org/ebooks/8678(2014年7月27日最終確認)
『The Romance of the Harem』はない。
もし著作権切れの著作物がこのサイトに載るのなら、ランドンは、朝日新聞データベース聞蔵Ⅱによると、1993年12月4日に死去なので、『Anna and the King of Siam』が載る可能性は当分ない。
- 事前調査事項
- NDC
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- 映画 (778 8版)
- 参考資料
- キーワード
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- 『王様と私』(映画)
- Leonowens, Anna Harriette, 1834-1914
- Landon,Margaret
- レオノーウェンス、アンナ・ハリエット
- ランドン、マーガレット
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000174425