レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月15日
- 登録日時
- 2020/03/28 10:32
- 更新日時
- 2020/03/29 13:00
- 管理番号
- 千県中参考-2019-17
- 質問
-
未解決
母音・子音の種類が多く、全世界の言語の発音ができる言語があるか知りたい。図書や論文などで、それを裏付ける資料が掲載されているとよい。
- 回答
-
「全世界の言語の発音ができる言語が存在する」という内容が記載されている資料は見つかりませんでした。
なお、子音・母音を最も多く持つ言語として、「コオ語(コン語、!Xóõ )」、「クン語(!Kung、!Xü)」、「ウビフ語(Ubyx)」を挙げている資料がありましたので、以下に紹介します。
○論文
【資料1】中川裕著「コイサン諸語のクリック子音の記述的枠組み」(『音声研究』 第2 巻第3 号 1998 .12)p52-62
インターネットで閲覧可能
(https://doi.org/10.24467/onseikenkyu.2.3_52)
p60「クリック子音の数だけを見てもコイサン語は破格的であるが, これらの言語には決して少なくない非クリック子音も存在する。 両音類を合計すると子音数は, コン語が159, グイ語が90, ジュー語が92 であり, いずれも, 世界の言語における極端な例外といえる。」
【資料2】八杉佳穂「漢字仮名交じり表記考」(『国立民族学博物館研究報告』 33巻2号 2009.1)p139-225
インターネットで閲覧可能
(http://doi.org/10.15021/00003936)
p171「音素数がもっとも多い言語は、アフリカのコイサン諸語のクン語!Xüで、141も音素があるという」
○図書
【資料3】『言語学が好きになる本』(町田健著 研究社出版 1999)当館資料番号:0105503346
クン語の音について、p19「子音はなんとおよそ百個もあり、世界の諸言語を紹介した本によれば、知られている限りでは、世界の言語の中でも子音の数が一番多いということでした」と記載されています。
【資料4】『ギネスブック ’85』(ノリス・マクワーター編 講談社 1985)当館資料番号:9102509398
p199「最も多くの子音を持つ言語」の項に「ソ連のカフカズ語族に属するウビフ語は80-85の子音を持つ」と記載されています。
○インターネット
【資料5】地球ことば村「最も子音の多い言語」
(http://www.chikyukotobamura.org/muse/wr_column_1.html)
「最も子音の多い言語として,長い間,カフカースの言語ウビフ語(英:ubykh language,仏:L’oubykh,独:Ubychische Sprache,露:Убыхский язык)の 80(研究者により,81 ~ 84 と異なる)だったが,今では,ボツアナとナミビアの約 4,000 人によって話されるコオ語[kǃxõː˥],,〔原文ママ〕あるいは,ター語 Taa,独:Taa-Sprache,露:Къхонг)の子音音素(分析にもよるが 84 から 159)がそれに取って代わることになった。」
【資料6】中山俊秀・言語研究工房「母音の数と子音の数」
(http://lab.toshinak.com/?p=297)
「母音の数が一番多いのはアフリカのボツワナで話されている!Xõõで、31の母音を区別すると言われます。」
「世界で一番子音が多いのは、母音が一番少ないUbyxで、81子音を持つとされます。ただ、このUbyxは1992年に最後の話者が亡くなって以来死語となってしまいました。現在も話されている言語の中でもっとも子音が多いのは77子音を持つ!Xõõです。この!Xõõは、母音・子音を合わせて世界最多の112音を使い分けます。」
上記サイトの出典には、【資料7】「Vistawide World Languages & Cultutres」
(https://www.vistawide.com/languages/language_statistics.htm)が挙げられています。
- 回答プロセス
-
当館の開架にあった以下の資料を確認したが、母音・子音の種類が多い言語について、情報を得ることができなかった。
『言語の事典』(中島平三編集 朝倉書店 2005)
『世界言語百科』(ピーター・K.オースティン編 柊風舎 2009)
『事典世界のことば141』(梶茂樹編 大修館書店 2009)
『ことばのおもしろ事典』(中島平三編集 朝倉書店 2016)
『世界の文字事典』(庄司博史編 丸善出版 2015)
『世界の文字大事典』(Peter T.Daniels[編] 朝倉書店 2013)
Googleで「子音 最も多い 言語」で検索したところ、【資料5】がヒットした。ウビフ語(Ubyx)が挙げられていたため、「Ubyx 子音 最も多い」でGoogle検索すると、【資料6】がヒットした。
コオ語(コン語、!Xóõ )やクン語( !Kung、!Xü )についての資料も調べるため、【資料5】から得たキーワード「コイサン諸語」を用いてCiNiiの論文検索をすると、【資料1】が見つかった。
また、「コイサン諸語 子音 最も多い」でGoogleBooksを検索すると、【資料2】、【資料3】がヒットした。
世界一を掲載している資料ということで、「ギネスブック」が思い当たり、当館で所蔵しているギネスブックの内容を確認したところ、【資料4】にも記述があった。
(インターネットの最終アクセス:2020年1月13日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 言語学 (801 9版)
- その他の東洋の諸言語 (829 9版)
- アフリカの諸言語 (894 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】中川裕著「コイサン諸語のクリック子音の記述的枠組み」(『音声研究』 第2 巻第3 号 1998 .12)p52-62
- 【資料2】八杉佳穂「漢字仮名交じり表記考」(『国立民族学博物館研究報告』 33巻2号 2009.1)p139-225
- 【資料3】『言語学が好きになる本』(町田健著 研究社出版 1999)(0105503346)
- 【資料4】『ギネスブック’85』(ノリス・マクワーター編 講談社 1985)(9102509398)
-
【資料5】地球ことば村「最も子音の多い言語」
(http://www.chikyukotobamura.org/muse/wr_column_1.html) -
【資料6】中山俊秀・言語研究工房「母音の数と子音の数」
(http://lab.toshinak.com/?p=297) -
【資料7】「Vistawide World Languages & Cultutres」
(https://www.vistawide.com/languages/language_statistics.htm)
- キーワード
-
- シンハラ語(シンハラゴ)
- コオ語(コオゴ)
- クン語(クンゴ)
- ウビフ語(ウビフゴ)
- コイサン諸語(コイサンショゴ)
- 母音(ボイン)
- 子音(シイン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000279703