レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年01月07日
- 登録日時
- 2021/05/13 12:27
- 更新日時
- 2021/06/09 10:18
- 管理番号
- 京歴-588
- 質問
-
未解決
正倉院御物で、ポツポツと花が刺繍されている鬘帯(かつらおび)のようなものを見たい。
かなり昔に展覧会で見たが、その花が菫(すみれ)かどうかを確認したい。
- 回答
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正倉院宝物検索データベース(①)によると、御物のうち刺繍を施した帯には次の3点がある。(括弧内は所蔵倉と倉別番号)
1)紫皮裁文殊玉飾刺繍羅帯残欠(中倉95)
2)間縫刺繍羅帯 残欠(中倉104)
3)刺繍羅帯(中倉109)
このうち質問者の記憶と合致した2)の「間縫刺繍羅帯 残欠(まぬいのししゅうらのおびざんけつ)」については、①によると、これまで計4回にわたり正倉院展に出品されている。直近の第67回の目録(②)pp.62-63は同帯について解説し、花の文様を花卉文(かきもん)、団花文(だんかもん)としている。即ち花の種類が特定されないことを記している。
その前に出品された第50回の目録(③)の展示品解説(p.59)も花の種類には触れていない。
なお、③には「刺繍羅帯(ししゅうらのおび)」として採録されているが、倉別番号等からこの両者は同じものを指していると思われる。
一方、『正倉院紀要』の第25号(④)に「間縫刺繍羅帯残欠(中倉104)の復元的考察」(pp.67-80)と題する論文が掲載されており、同帯の経緯や組織、文様の配置等について子細に述べているが、やはり花文様については「唐花」「花卉」とするのみで具体的な言及はない。
花名は判明しなかった。
- 回答プロセス
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開架に配している『正倉院裂(京都書院美術双書 日本の染織1)』(⑤)や『能装束(京都書院美術双書 日本の染織8)』(⑥)を案内し、イメージに合うか確認してもらった。
⑤のp.84にある「紫皮裁文殊玉飾刺繍羅帯残欠」や、⑥のp.81にある「桜枝文様鬘帯」が近いとのことだった。
次にgoogleでキーワード「正倉院 データベース」で検索したところ、正倉院宝物検索(①)がヒット。
同データベースでキーワード「刺繍 帯」として検索すると、上述の1)~3)がヒット。順に見てもらうと、どうやら「間縫刺繍羅帯 残欠」が探していたもののようだったため、これについて調査した。
データベースに記載のある出陳年と掲載誌を手掛かりに、当館の蔵書検索システムで資料を検索した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 芸術政策.文化財 (709 10版)
- 参考資料
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- ①『正倉院宝物検索』(https://shosoin.kunaicho.go.jp/search/) (最終確認日:2021-06-02)
- ②『正倉院展, 第67回』(平成27年)奈良国立博物館編 奈良国立博物館, 2015 (当館請求記号:||709.1||N51||67)
- ③『正倉院展, 第50回』(平成10年)宮内庁正倉院事務所編 奈良国立博物館 1998 (当館請求記号:||709.1||N51||50)
- ④『正倉院紀要, 第25号』(2003年)宮内庁正倉院事務所編 (当館請求記号:||シヨウ)
- ⑤『正倉院裂(京都書院美術双書 日本の染織1)』松本包夫[著] 京都書院 1993 (当館請求記号:||753.2||N71||1)
- ⑥『能装束(京都書院美術双書 日本の染織8)』切畑健[著] 京都書院 1993 (当館請求記号:||753.2||N71||8)
- キーワード
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- 正倉院
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000298227