レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年03月02日
- 登録日時
- 2011/04/06 12:45
- 更新日時
- 2011/04/15 10:31
- 提供館
- 岐阜県図書館 (2110001)
- 管理番号
- 岐県図-1299
- 質問
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未解決
三好学博士が命名した桜の和名について「ノナカザクラ」「ノナカノサクラ」のどちらが適切な和名か、また種小名を含む学名は何か。
- 回答
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所蔵資料で確認したところ、ご質問にありましたように「ノナカザクラ」「ノナカノサクラ」両方の表記がありました。和名については特別な命名の規約がないため、当館の調査ではどちらが適切かを断定することはできかねます。なお、所蔵する三好学の著作を確認したところでは、かな書きで和名を表記したものは見つからず、漢字で「野中櫻」と表記していました。
○「野中櫻」に関する記載のあった三好学著作
1 『日本巨樹名木図説』(刀江書院,1936)
… p.418~419に写真と所在、樹種、特徴などの概要が記されています。名称は「極樂寺ノ野中櫻 Prunus Sachalinensis(Fr.Schm.)Miyos.f.macropetala Miyos.」となっています。また、文献として「天然記念物調査報告 植物之部 第七輯。三好学,日本ノ桜ニ関スル研究其二(植物学雑誌第三六巻第三項)」が挙げられていますが、当館では所蔵しておらず、内容を確認できませんでした。
2 『櫻』(冨山房,1938(1980復刻))
… p.237~238に「極樂寺の野中櫻 新潟縣東蒲原郡上條村」として簡単な紹介があります。学名の表記はありませんでした。
また、原木自体は「極楽寺の野中ザクラ」(ごくらくじののなかざくら)として国指定天然記念物に登録されています。
国指定文化財データベース(文化庁 http://www.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp?register_id=401&item_id=838)
一方、『日本のサクラの種・品種マニュアル』(日本花の会,2002)では、「ノナカノサクラ 野中の桜 Prunus sargentii Rehd. cv. Macropetala, comb. nov.」となっています(p.183)。同書の凡例によると「種、品種名などは「栽培植物に関する国際命名規約」に準拠した。和名は片仮名およびローマ字(ヘボン式)を用い、漢字名は従来文献で紹介され現在最も妥当性のあるものを採用した。」とされています。
同じく、大場秀章(ほか)『新日本の桜』(山と渓谷社,2007)でも「ノナカノサクラ(野中の桜)Cerasus sargentii 'Macropetala'」と記載されています(p.211)
なお、属名を「Cerasus」としているものと「Prunus」としているものがありましたが、大場秀章編著『植物分類表』(アボック社,2009)ではサクラ属の属名は「Cerasus」を主としており、「Prunus」を旧称としていました。
またサクラの学名については以下の論文もありますが、当館では該当の号を所蔵しておらず、内容を確認できませんでした。
・大場秀章「日本のサクラ属植物の学名〔英文〕」(植物研究雑誌 67(5), p276-281, 1992-10)
・大場秀章「サクラ属の新学名」(植物研究雑誌 82(4), 244-247, 2007-08)
植物研究雑誌(株式会社ツムラ http://www.tsumura.co.jp/kampo/plant/top/index.html)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 被子植物 (479 9版)
- 参考資料
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『日本巨樹名木図説』三好学/著 刀江書院,1936年/発行 (郷土:G472/ミ)
- 『櫻』三好学/著 冨山房,1938年/発行(1980年/復刻))
- 『日本のサクラの種・品種マニュアル』日本花の会,2002年/発行 (一般:627.7/ニ)
- 『新日本の桜』大場秀章(ほか)/著 山と渓谷社,2007年/発行 (一般:479.7/シ)
- 『植物分類表』大場秀章/編著 アボック社,2009年/発行 (一般:471.8/オ)
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『日本巨樹名木図説』三好学/著 刀江書院,1936年/発行 (郷土:G472/ミ)
- キーワード
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- 三好学
- 野中桜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000084330