レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/02/19
- 登録日時
- 2019/03/25 00:30
- 更新日時
- 2019/03/25 00:30
- 管理番号
- 6001037318
- 質問
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解決
天然酵母を使ったパンの方が健康的なイメージがあるが、市販のイーストとの違いや仕上りの特徴はなにか。
- 回答
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以下の資料にイーストと天然酵母の違い、特徴についての記載がありました。
いずれの資料も、自然界に存在し化学合成されたものではない天然の酵母菌という点では同じであり、単一種か複数種かの違いであるとの見解です。
・『パン「こつ」の科学 パン作りの疑問に答える』(吉野精一/著 柴田書店 1993.7)
P.29 「天然酵母 天然酵母のパンはなぜ酸っぱいのですか」より
「培養の段階で工業的に特定の菌のみを純粋培養したものが市販されているイーストです。穀物や野菜、果実を培地として不特定多数のイーストや細菌類を雑多に培養したのが天然酵母で、ヨーロッパでは、区別せず「種」もしくは「発酵種」と呼ばれています。」
「天然の発酵種を使用したパンが、市販のイーストを使用したパンと比べて酢っぱく感じるのは、発酵種の中にはイーストを含めて乳酸菌や酢酸菌といった細菌類が多く繁殖しているからです。」
・『天然酵母 歴史とパンづくりへの応用』(灘吉利晃/著 ホームメイド協会 2005.4)
P.66-68 「第5章 Ⅲ イーストと天然酵母との違い」
「どちらも自然界に存在する酵母から選んだものですから違いはありません」
「イーストは最も有益な酵母を工業的に選び、その酵母を最も効率的に、有効に培養した結果、最も有益な酵母だけが残されました。(中略)特定の酵母だけで構成されているので「単一酵母」と言われています。」
「天然酵母には、自然増殖させた結果、「アルコール発酵」させる本来の目的の酵母のほかに、酢酸菌や乳酸菌などの微生物が混在しています。それで、「複合酵母」「野生酵母」とも言われています。」
「(酵母の原料となる「培地」として)使う原料によって、でき上がるパンの風味や食感は違ってくるのです。」
・『パンの事典』(井上好文/監修 旭屋出版 2007.9)
P.223-224 「パン酵母」の項
「製パンに適した酵母のこと。イースト」「製パン上で一般に「パン酵母」と呼ばれているものは、その中でもサッカロミセス属セレビシエ種に属する、とりわけパン作りに有効な酵母菌を純粋培養したものを特定していることが多い。」
P.232-234 「野生酵母」の項
「俗に天然酵母と呼ばれるが、パンに使われる酵母には天然と人工の区別はなく適切な表現ではない」
「特に乳酸菌と酵母菌は相性がよく、乳酸菌が生地を酸性にすることで(中略)パンはやや酸味をおびた複合的な風味になる。」
「発酵種のほうが、原料、作り手の技術、環境などの影響をうけやすく、種の管理が難しかったり、有害菌が発生したり、発行力が安定しないため形にムラがでたり、酸味がきつくなったりと、抱えるリスクも多い。」
[事例作成日:2019年2月19日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 10版)
- 参考資料
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- パン「こつ」の科学 吉野/精一∥著 柴田書店 1993.7 (29)
- 天然酵母 灘吉/利晃∥著 ホームメイド協会 2005.4 (66-68)
- パンの事典 井上/好文∥監修 旭屋出版 2007.9 (223-224、232-234)
- キーワード
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- 天然酵母(テンネンコウボ)
- イースト(イースト)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000253685