レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/27
- 登録日時
- 2021/03/20 00:30
- 更新日時
- 2021/03/20 00:30
- 管理番号
- 6001048460
- 質問
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解決
等春が描いた「瀟湘八景図」について、展覧会では一部しか展示されていなかったので八景全ての絵を見たい。また、等春について書かれた資料があればそれも見たい。
- 回答
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1)等春作「瀟湘八景図」
・『正木美術館名品図録』(正木美術館/編集 正木美術館 2018.9)
p.44-45 図版42 瀟湘八景図 等春筆
画題が付された全八幅の図版(カラー)を掲載。ただし、画像はやや小さめ。p.106に解説あり。
・『水墨画・墨蹟の魅力』(正木美術館/編 吉川弘文館 2008.10)
口絵2(カラー) 瀟湘八景図 等春筆 正木美術館
八幅すべての画像(カラー)あり。ただし、こちらも画像はやや小さく、また画題等の解説がないため、どの絵が何を描いたものか、この資料だけでは不明。
p.116-120 板倉聖哲「column03 瀟湘八景」では瀟湘八景の歴史について解説されているが、p.119で等春にも言及があるものの、存在に触れているのみ。
また次の資料で、一部ではあるが等春作「瀟湘八景図」が掲載されている資料がわかったので、併せて紹介。
・『日本絵画名作レファレンス事典 1 古代~近世』(日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 2011.9)
p.288「等春 とうしゅん」の項目に「瀟湘八景図」の掲載資料について記載。掲載資料は次のとおり。
瀟湘八景図 紙本墨画 八幅 各22.0×31.7 16世紀前半 [正木美術館]
・『日本美術全集 第13巻 雪舟とやまと絵屏風』(講談社 1993.10)
図82(カラー・部分)「瀟湘八景図 平沙落雁」
図83(カラー・部分)「瀟湘八景図 江天暮雪」
・『日本水墨名品図譜 3 雪舟と友松』(海老根聡郎/[ほか]編集 毎日新聞社 1992.12)
図27-30(カラー) 解説p.130-131 白黒で全図掲載あり(画題も記載あり)
内訳:図27「瀟湘八景図 山市晴嵐」/図28「瀟湘八景図 洞庭秋月」/図29「瀟湘八景図 平沙落雁」/図30「瀟湘八景図 江天暮雪」
・『水墨美術大系 第7巻 雪舟・雪村』(講談社 1977.8)
p.35 図21(カラー)「瀟湘八景図 江天暮雪」
p.133 図87(白黒)「瀟湘八景図 漁村夕照」/図88(白黒)「瀟湘八景図 平沙落雁」
p.178 掲載三図の解説あり
2)等春について
等春だけの評伝、研究書のようなものは見つからず。
〈人名事典〉
等春について判明している事実は非常に少なく、長谷川等伯の「等伯画説」による情報がほとんどで、事典の内容は概ね共通。次の『美術家人名事典』が最もまとまっている。
・『美術家人名事典:古今・日本の物故画家3500人』(日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 2009.2)
p.400 等春 とうしゅん 画家 〔出生地〕備前国(岡山) 〔別名等〕別号=出中
主な解説は次の通り。
■奈良の大工の子で、のちに雪舟に入門。師とともに加賀・能登を訪れ、同地の守護大名・富樫氏、畠山氏と交流を持ったと伝わる。
■「花鳥人物押絵貼屏風」は周防の大名・大内義興が所蔵と伝わっており、大内氏との交流もあったと推察。
■もとは備前国で牧童をしていたという説もあり、偶然、彼の馬の絵を見た周文に画技をみとめられたという逸話あり。
・『朝日日本歴史人物事典』(朝日新聞社/編 朝日新聞社 1994.11)
p.1125 等春 とうしゅん
・『岡山人名事典』(日本文教出版 1978)
p.260 とうしゅん 等春
〈論文〉
・山本英男「等春再考」『国華』1277(国華社 2002.3)p5-17、p.3図版一 等春筆 維摩図(カラー)
・『日本絵画史論集』(田中一松/著 中央公論美術出版 1966)
p.383-449「等春画説」
・『新編名宝日本の美術 20 永徳・等伯 (小学館ギャラリー)』(小学館 1991.7)
「二 模倣と創造」の中にある「『等伯画説』のなかの等春」「等伯の見解」(p.121-125)では、『等伯画説』の等春の逸話を引用しつつ、当時の水墨画家の作品制作の様子について考察している。p.122-123には、等春の「瀟湘八景図」のうち「遠浦帰帆」「瀟湘夜雨」「江天暮雪」の3点(いずれも白黒)を掲載。
上記出典となる『等伯画説』は次の資料に収録。
・『日本思想大系 23 古代中世芸術論』(岩波書店 1973)
p.697-710 「等伯画説」(赤井達郎校注)
等春についての記述は章段ごとの通し番号で次の部分:6(p.699)、59-62(p.706-707)、73(p.707-708)、86(p.709)
[事例作成日:2021年1月27日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本画 (721 10版)
- 参考資料
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- 正木美術館名品図録 正木美術館‖編集 正木美術館 2018.9 (44-45)
- 水墨画・墨蹟の魅力 正木美術館∥編 吉川弘文館 2008.10 (口絵2)
- 日本絵画名作レファレンス事典 1 日外アソシエーツ株式会社∥編集 日外アソシエーツ 2011.9 (288)
- 日本美術全集 第13巻 講談社 1993.10 (図82、83)
- 日本水墨名品図譜 3 海老根/聡郎∥[ほか]編集 毎日新聞社 1992.12 (図27-30、130-131)
- 水墨美術大系 第7巻 講談社 1977.8 (35、133、178)
- 美術家人名事典 日外アソシエーツ株式会社∥編集 日外アソシエーツ 2009.2 (400)
- 朝日日本歴史人物事典 朝日新聞社∥編 朝日新聞社 1994.11 (1125)
- 岡山人名事典 日本文教出版 1978 (260)
- 国華 国華社 1277 (3、図版一)
- 日本絵画史論集 田中一松著 中央公論美術出版 1966 (383-449)
- 新編名宝日本の美術 20 小学館 1991.7 (121-125)
- 日本思想大系 23 岩波書店 1973 (697-710)
- キーワード
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- 水墨画(スイボクガ)
- 画家(ガカ)
- 八景(ハッケイ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物・団体,図・絵
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000295542