レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年07月21日
- 登録日時
- 2021/10/12 17:24
- 更新日時
- 2021/10/20 11:56
- 管理番号
- 企-210004
- 質問
-
解決
生徒からの依頼。外国人が日本の華道、茶道、書道についてどう思っているのか知りたい。
- 回答
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【文化全般について】
・『見出された「日本」 ロチからレヴィ=ストロースまで』大久保喬樹著 平凡社 2001
19世紀から20世紀にかけて来日した5人のフランス人文学者・哲学者による日本像を解説した本。第5章では西欧文化と日本文化の比較について言及されており、「レヴィ=ストロースが最も強調するのは、日本が一面でこれだけ近代化、西欧化したにもかかわらず、もう一面では、古代以来の伝統的文化、心性を生き生きと残存させていることである。」(p205)等の記述がある。
・『ドイツに渡った日本文化』寺澤行忠著 明石書店 2017
p.48~51 ドイツにおける茶道の普及について記述がある。
p.52~55 ドイツにおける生け花の普及について記述がある。
p.198「日本文化の特質」より「時間の経過の中で、すべてが移ろい変化していく現実を前に「もののあはれ」の優美で優しい情感は、「無常」の自覚を生み、「無常」を乗り越えるものとして、特に芸能や武術方面では、技量の上達と共に人間としての完成を目指す「道」の思想が生まれた。茶道、華道、書道、香道、柔道、剣道、合気道、神道、仏道、武士道…。(中略)優美を基調とする美意識とこの厳しい「道」の思想がいわば表裏をなして、日本文化の根幹を形成してきたのである。」という記述がある。
なお、当館所蔵の次の資料については、索引を確認してみたが、参考になるような記述は無い。
『事典 外国人の見た日本』富田仁編 日外アソシエーツ 1992
【茶道について】
・『外国人の見た茶の湯』岡田章雄著 淡交社 1973
ジョアン・ロドリゲス、ブルーノ・タウトなど、キリシタン宣教師から明治・大正期に日本を訪れた外国人が日本文化を論じた記事から、茶道を中心にまとめられている。
・『売茶翁の生涯』ノーマン・ワデル著 樋口章信訳 思文閣出版 2016
禅僧で煎茶の祖とあおがれる売茶翁の生涯をまとめたもの。英文著作「Baisao, The Old TeaSeller: Life and Zen Poetry in 18th Century Kyoto」を翻訳。プロローグに「売茶翁という江戸時代の文化人が欧米でいま注目されつつあるのは私にとって大変よろこばしいことである。」とある。
・『国際日本学の可能性 国際日本学シンポジウム報告書 第5回』お茶の水女子大学大学院人間文化研究科国際日本学専攻・比較社会文化学専攻 2004
「セッション3 比較文化論としての茶道」では、熊倉功夫が「茶の湯をめぐる国際交流史」の中で、近世から近代にかけての外国人の茶道に対する好意的・批判的な意見を紹介しています(p.1-33~34)。また、1977年にアメリカの茶道教授者4人に、茶道を学ぶ人の興味等について尋ねたインタビューを紹介しています。さらに、1967年頃の裏千家ニューヨーク出張所でのアンケート「どうして茶道に興味をもつようになったのか」「茶道のなかでどこが一番たのしめるか」等について回答を簡易に紹介(p.1-37~38)。
鈴木禎宏による「イギリス人による茶道理解の試み:バーナード・リーチの場合」では、リーチの茶道に対する認識を紹介(p.1-47)。
なお、当館所蔵資料の他にインターネットで検索したところ、以下の資料がヒット。
「日本文化は本当に中国で受け入れられているのか」PDFファイル
『自治体国際化フォーラム』2016年8月 vol.322
http://219.109.36.105/j/forum/forum/pdf_322/04_sp.pdf
p.5~6「『茶道』が中国人に受け入れられる理由」(茶道裏千家北京駐在主任 張南攬)で、茶道の重要な要素である「礼儀」への関心や、茶道に付随する「お茶」「着物」「和菓子」「和食」「陶磁器」など多くの象徴的な日本文化や日本の生活習慣、建築、哲学などへの関心をきっかけに茶道をはじめる人がいることなどを紹介。また「落ち着いた雰囲気、洗練された雰囲気」が中国人の心を掴むとしている。
「世界に広がる日本の茶文化」PDFファイル
『自治体国際化フォーラム』2018年11月vol.349
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_349/04_sp.pdf
p.4~5「フランスとその周辺国における抹茶に対する再認識と茶道文化への意識の高まり」では、道具の文化として関心を持つ層に加え、抹茶を好む視点から関心を持つ層が見られるようになったこと、男性は道具や歴史的背景について、女性はお茶のたて方や所作に関する質問が多いことを紹介。
「令和 2 年度 生活文化調査研究事業(茶道) 報告書」文化庁地域文化創生本部事務局 2021年
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/seikatsubunka_chosa/pdf/93014801_06.pdf
p.22~「1 海外から捉えた茶道」では、16世紀以降の外国人の茶道への認識がまとめられている。
【華道】
上記に挙げた資料
『ドイツに渡った日本文化』寺澤行忠著 明石書店 2017
p.52~55 ドイツにおける生け花の普及について記述がある。
「令和 2 年度 生活文化調査研究事業(華道) 報告書」文化庁地域文化創生本部事務局 2021年
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/seikatsubunka_chosa/pdf/93014801_04.pdf
p.20~「1.華道の国際的な評価について」に、明治以降の外国人による華道への評価がまとめられている。また、現代の国際発信の状況から華道が広く海外に受け入れられ、愛好されているという記述がある。
【書道について】
林朝子著「留学生の書道体験における気づき : 書字への意識と書表現の捉え方」(『三重大学国際交流センター紀要』第12号 p.127 – 139 2017年3月)
http://hdl.handle.net/10076/00017033
書道体験のない留学生を対象に実施した体験学習について報告している。p.137の「おわりに」では、「深い部分で日本の文化を感じることができた」等の感想を紹介。
馬場裕子著「〈研究ノート〉留学生教育コースにおける日本文化理解授業 日本文化書道実践報告」(『日本語・日本文化』第46号 p.115-128 2019年3月)
https://doi.org/10.18910/71689
国立大学で実践された、外国人留学生対象の「日本文化理解」の授業の取り組みを報告。「4.結果と考察(目標の達成度)」(p.123~125)では「日本はペンと同じ持ち方です。中国でまっすぐ筆を持ちます。これも「和中折衷」の一つではないでしょうか。」「書いていたら楽しくてもっと上手になりたいと思い始めました。」等の感想を紹介。
・レファレンス協同データベースより
「外国人旅行者がなぜ日本に来るのか」神奈川県学校図書館研究会
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000237852
参考文献が掲載されている。
リストの中から、当館所蔵資料『日本人の考え方世界の人の考え方』池田謙一編著 勁草書房 2016
の目次を確認しましたが、茶道などに関する記述は無い。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『NHK 「COOL JAPAN」』堤和彦 NHK出版 2013
『NHKクールジャパン 外国人が感激したニッポンの魅力』アスコム出版 2007
該当の記述は無い。
- NDC
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- 日本史 (210)
- 社会学 (361)
- 茶道 (791)
- 参考資料
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大久保喬樹 著 , 大久保, 喬樹, 1946-2020. 見出された「日本」 : ロチからレヴィ=ストロースまで. 平凡社, 2001. (平凡社選書 ; 214)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003013952-00 , ISBN 4582842143 -
寺澤行忠 著 , 寺沢, 行忠, 1942-. ドイツに渡った日本文化. 明石書店, 2017.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028585799-00 , ISBN 9784750345758 -
富田仁 編 , 富田, 仁, 1933-. 事典外国人の見た日本. 日外アソシエーツ, 1992.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002199510-00 , ISBN 4816911413 -
岡田章雄 著 , 岡田, 章雄, 1908-1982. 外国人の見た茶の湯. 淡交社, 1973. (淡交選書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001282265-00 -
ノーマン・ワデル 著 , 樋口章信 訳 , Waddell, Norman, 1940- , 樋口, 章信. 売茶翁の生涯 = The Life of Baisao. 思文閣出版, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027491475-00 , ISBN 9784784218455
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大久保喬樹 著 , 大久保, 喬樹, 1946-2020. 見出された「日本」 : ロチからレヴィ=ストロースまで. 平凡社, 2001. (平凡社選書 ; 214)
- キーワード
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- 日本研究
- 日本文化
- 華道
- 茶道
- 書道
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 高校生
- 登録番号
- 1000305986