レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20210923
- 登録日時
- 2021/10/28 14:53
- 更新日時
- 2021/11/27 15:36
- 管理番号
- 島根郷2021-028
- 質問
-
解決
1.宍道湖が遊泳可能だった時代の、水辺の賑わいの様子がわかる資料はあるか。2.また、宍道湖は現在も遊泳禁止なのか知りたい。
- 回答
-
質問1については、当館所蔵資料を紹介し、回答とした。
質問2は、所蔵資料では判明しなかったため、宍道湖に関係している行政に照会した結果を伝え、回答とした。
1.宍道湖が遊泳可能だった時代の、水辺の賑わいについて
当館資料を検索したが、まとまった資料は見つけることができなかった。
以下の資料に、関連した記述がある。
・資料2 p.1617 大正6年松江市灘町に設けられた市営水泳場で、小学生の水泳指導が行われていたことが書かれている
・資料3 p.127 「宍道湖市民遠泳大会」が明治33年~昭和31年まで開催されていた。
なお、「(昭和)三十三年七月宍道湖での遊泳は禁止された」ともある。
・資料4 p.84-88 大正初年御船屋地区での暮らしについて
御船屋川での水泳、「中の島の先端にケンザキという水泳場があった」
・資料5 p.110-111「天神裏の水泳場(白潟公園)」
「当時天神埋立と言っていた白潟公園の青年センター付近が市営の水泳場であった」
夏休み前におこなわれた水泳指導の回想など。スケッチあり。
・資料6
p.36 昭和20年後半水中参道の様子
p.40 昭和20年代の白潟埋立地、末次競輪場跡地の写真 舟や水遊び中の子どもたちが写っている。
・資料7
p.18-19 明治期の写真。子どもたちが水遊びしている様子
p.22 明治42年ころ、遠泳大会の様子
p.30 大正~昭和初期 天神裏にあった水泳場で飛び込みをしている様子
・資料8 『山陰新聞』記事
資料2の情報から、地元の新聞である『山陰新聞』の大正6年7~8月を見たところ、宍道湖の遊泳や、水泳講習会に関する記事があった。
※大正6年1~6月の『山陰新聞』は所蔵がなく、確認できていない。
7/2 3面「湖上が賑わって来た」:7月に入り、宍道湖でレジャーを楽しむ人が増えた旨
7/16 2面「私立松江水泳会」:7/22~8/10に宍道湖上の白潟埋立地西方で小学3年生以上を対象に水泳講習会を開く旨
7/18 3面「聯合水泳場」:灘町裏の水泳場は22日オープンに向けて急ぎ工事中
7/22 3面「観海流の水泳」:7/16に報道された講習会の講師インタビュー
8/3 3面「水泳場披露」:一畑軽鉄が新しい事業として、沿線宍道湖畔水泳場を8/1に開場。場所は東村、園停留所の近く
資料8の「一畑軽鉄」は現在の一畑電気鉄道で、水泳場が設けられた東村は旧平田市(現出雲市平田町)である。
このことから、『平田市誌』や『一畑電気鉄道百年史』も確認したが、水泳場についての記述はなかった。
2.宍道湖は現在も遊泳禁止かどうか
島根県(環境政策課宍道湖・中海対策推進室)、松江市(環境保全課)、出雲市(政策企画課)、国土交通省出雲河川事務所に電話で問い合わせたところ、いずれも宍道湖を遊泳禁止と定めてはいない、との回答であった。
松江市からは、下のような説明があった。
・資料1にある通り、昭和33年に、水質悪化の問題から、教育委員会が市内の小中学校に警告を出したことはあるが、行政として、宍道湖遊泳禁止を制定した事実は確認できなかった
・現在の宍道湖の水質は、環境省の定める水浴場の基準をクリアしているものの、宍道湖全域を調査しているわけではなく、全域が常に安全だとは言い切れない
・実際、宍道湖で水上スポーツをおこなう場合も、許可制ではない。(ただし、船舶免許が必要なボート類は別である)
・水質調査は今後も続けていくが、現在のところ、松江市が宍道湖に遊泳場を設けるなどの計画はない
昭和33年以降、宍道湖で遊泳した記録として、資料9を紹介した。
これは1989年~1998年にかけて、筆者が宍道湖横断遠泳をおこなった記録である。
p.11によれば、1997年、1998年には宍道湖横断遠泳大会が開催され、1998年の第2回大会は島根ふれあい県民運動協議会(島根県環境生活部県民課)から助成金を得たとのこと。
同じく第2回大会には、「県環境保全課、建設省出雲工事事務所の人達」からの応援があり(p.16)、「県農水部は部長以下10名が大挙参加した」(p.17)とある。
- 回答プロセス
-
インターネット検索により得られた松江市のページ(資料1)には、宍道湖の遊泳禁止は、昭和33年7月に松江市教育委員会が小中学校に警告したのが始まりで、その理由は水質汚染だったこと書かれている。
これを踏まえて、主に大正~昭和初期の、宍道湖沿岸地域の生活について書かれている資料を調べた。
- 事前調査事項
-
『山陰中央新報』2008年6月30日「明窓」記事は、質問者が確認済。ここに、宍道湖沿岸に水泳場があったことが書かれている。しかし、具体的な時期は書かれていない。
- NDC
-
- 中国地方 (217 8版)
- 観光事業 (689 8版)
- 水上競技 (785 8版)
- 参考資料
-
- 【資料1】「松江市だんだん市長室平成24年度第5回(平成24年6月8日)」 http://www1.city.matsue.shimane.jp/shisei/kouhou/dandan/h24_5.html (最終アクセス2021/10/28)
-
【資料2】松江市誌編さん委員会 編 , 松江市. 新修松江市誌. 松江市, 1962.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001042391-00(当館請求記号:郷貸出217.3/マ62) -
【資料3】森口 保/編著. 松江365日. ハーベスト出版, 2002-06.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I052930630-00(当館請求記号:郷貸出217.3/モ02) , ISBN 9784938184247 -
【資料4】松江市東本町五丁目町内会 編 ; 島田成矩 ; 勝部正郊 著 , 松江市東本町五丁目町内会 , 島田成矩 , 勝部正郊. 雷電・御船屋・漁師町 : 松江市東本町五丁目町内会誌. 松江市東本町五丁目町内会, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069428225-00(当館請求記号:郷貸出291.72/117) -
【資料5】漢東種一郎 文 ; 福田茂宏 絵 , 漢東種一郎 , 福田茂宏. 松江 わが町. 今井書店, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069457437-00(当館請求記号:郷貸出291.7/140) - 【資料6】湖都松江:松江文化情報誌. 湖都松江編集委員会/編 , 松江市文化協会 vol.3(当館請求記号:郷貸出SZ05/コ/3)
-
【資料7】今岡弘延 編著 , 今岡, 弘延. なつかしの松江 : 明治・大正・昭和初期絵葉書コレクション : 松江絵葉書MUSEUM. ワン・ライン, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069507103-00(当館請求記号:郷貸出217.32/イ12) , ISBN 9784948756670 - 【資料8】山陰新聞 (マイクロ資料)
-
【資料9】橋谷博 編著 , 橋谷博. 宍道湖に遊ぶ : 遠泳と嫁が島. たたら書房, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069354291-00(当館請求記号:郷貸出519.8/ハ99)
- キーワード
-
- 宍道湖
- 水浴場--歴史--島根県
- 松江市--歴史--近代
- 照会先
-
- 島根県環境政策課宍道湖・中海対策推進室
- 松江市環境保全課
- 出雲市政策企画課
- 国土交通省出雲河川事務所
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000306643