レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/09/07
- 登録日時
- 2022/10/21 00:30
- 更新日時
- 2022/10/21 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-220113
- 質問
-
解決
なぜ,福島県の発電が東京電力管轄,新潟県への売電が東北電力になったのか,また,宮城県の発電・売電の決定経緯について知りたい。
- 回答
-
※【 】内は当館請求記号
1 福島県の発電が東京電力管轄になったこと,新潟県への売電が東北電力になったことについて
資料1に電力再編成をめぐる東北電力と東京電力の対立の経緯がまとめられている。
(pp.461-481)「第二編第七章 福島県の電気事業史」-「第三節 只見川電源開発夜話」の項
「電力再編成をめぐって発電所,変電所,水利権の帰属問題が全国的に持ち上がり,利害対立したのであるが,東北電力は東北六県と新潟の七県を管轄することになった。ところが福島県内の猪苗代湖水系の発電所は東京電力が帰属することになった。東北電力はそれを不服として七県を背景に頑張ったが,東京電力は大正時代から猪苗代湖水系の発電所を建設し,その電力を使用していた実績をタテにとって公益委を動かし,ついに管内におさめたのである。」
また,第一節は『東北電力の20年』(東北電力株式会社福島支店発行),第二節は資料2より,第三節は資料3よりそれぞれ抜粋したと注釈がされている。
なお,『東北電力の20年』は当館に所蔵はない。
このほか,資料4から資料8で只見川水系の電源開発を巡る経緯について触れられている。
資料4には,「第2章 第2節 開発と政争」に,只見川開発計画や通商産業省の調整案に対する批判などの資料,「第3章 第3節 工業化の拡大と中小商工業及び金融」に,電力対策に関する資料が収録されている。
資料5には,昭和9年から昭和42年までの福島県開発計画の関係資料が事項別に収録されている。「一 戦前の東北開発計画」の章には,参考資料として,東北振興電力株式会社年譜(pp.43-45),東北興業株式会社年譜(pp.45-46)が収録されている。「三 只見電源開発」の章には,電源開発の経過や水利権を巡る紛争等の資料が収録されている。
資料6から資料8に「1950年代前半に激化した只見川上流域の大規模な未開発電源の帰属を巡る地域間対立の顛末をみるが,(中略)1950年代半ばからの東北振興運動の盛り上がりとどのような関連があったかという点の解明に主眼を置いている。」と掲載されている。資料6(pp.98-99)に電力再編成にともなう各発電所の帰属が問題となった経過にも触れられている。
また,電気事業再編に関連して,下記の資料9から資料11を紹介した。
資料9は,再編された9地区の電力会社の社史がまとめられており,東北電力の箇所では電源の帰属等に関する記述がある。
資料10の「第4章 第4節 電気事業再編成」には,電力会社の再編についての経過がまとめられている。
資料11は,通商産業省がまとめた電気事業再編成に関する資料である。
2 宮城県の発電・売電について
資料1に下記の記述がある。
ア 「第二編 電気事業変遷史」のうち,「第五章 宮城県の電気事業史」(安孫子麟)(pp.338-382)に東北配電株式会社設立(昭和17年)までの宮城県内の電気事業の変遷について詳述されている。
イ 第二編のうち,「第九章 国家統制時代の電気事業史」(岩本由輝)において,(pp.542-575)に東北振興電力株式会社の設立(昭和11年)から東北配電株式会社の設立と展開について記述されている。
ウ 巻末の「東北地方電気事業統廃合図」のうち,(p.580)に宮城県における戦前期の電気事業統廃合図が掲載されている。
資料2の第三編第一章第一節「電気事業の再編成と東北電力の創立」に,「東北電力は日発の東北地区設備と東北配電の全設備を承継して発足した。」との記述がある。
<調査資料一覧>
資料1 白い国の詩編『東北の電気物語』東北電力, 1988【540.92/1988.7】
資料2 『東北地方電気事業史』東北電力, 1960【540.9/ト2】
資料3 松坂清作編著『電力県ふくしま : 県民葬参加の記録』福島民友新聞社, 1973【517.8/マ1】
資料4 新潟県編『新潟県史』資料編20 : 現代一 : 政治経済編, 新潟県, 1982【214.1/ニ5/20A】
資料5 福島県編『福島県史』第14巻 : 近代資料4, 福島県, 1969【212.6/フ3/14】
資料6 仁昌寺正一「復興期に於ける只見川電源帰属問題と東北開発(上)」『東北学院論集. 経済学』東北学院大学学術研究会 123号(1993.9)【P051.1/ト】
資料7 仁昌寺正一「復興期に於ける只見川電源帰属問題と東北開発(中)」『東北学院論集. 経済学』東北学院大学学術研究会 124号(1993.12)【P051.1/ト】
資料8 仁昌寺正一「復興期に於ける只見川電源帰属問題と東北開発(下)」『東北学院論集. 経済学』東北学院大学学術研究会 128号(1995.3)【P051.1/ト】
資料9 戦後電気事業史編纂委員会編纂『戦後電気事業史』経済往来社, 1972【540.9/テ7】
資料10 橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』名古屋大学出版会, 2004【540.92/2004.X】
資料11 通商産業省公益事業局編『電気事業再編成20年史』電力新報社, 1971【540.9/ツ1-2】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 電気工学 (540 9版)
- 参考資料
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- 白い国の詩/編. 東北の電気物語. 東北電力, 1988【540.92/1988.7】:
- 戦後電気事業史編纂委員会/編纂. 戦後電気事業史. 経済往来社, 1972【540.9/テ7】:
- 松坂 清作/編著者. 電力県ふくしま. 福島民友新聞社, 1973【517.8/マ1】:
- 新潟県/編集. 新潟県史 資料編 20. 新潟県, 1982【214.1/ニ5/20AB】:
- 福島県/編集. 福島県史 第14巻. 福島県, 1969【212.6/フ3/14】:
- 東北学院論集編集委員會 東北学院大学文経学會. 東北學院論集 創刊 [1] 號 (昭24.3)-3號 (昭25.10). 東北學院論集編集委員會, 1949-1950【P051.1/ト/2019】:
- . 東北地方電気事業史. 東北電力, 1960【540.9/ト2】:
- 橘川/武郎∥著. 日本電力業発展のダイナミズム. 名古屋大学出版会, 2004.10【540.92/2004.X】:
- 通商産業省公益事業局/編. 電気事業再編成20年史. 電力新報社, 1971【540.9/ツ1-2】:
- キーワード
-
- 東北電力株式会社
- 東京電力株式会社
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000322851