レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年4月17日
- 登録日時
- 2018/05/06 10:44
- 更新日時
- 2018/05/10 11:46
- 管理番号
- 県立長野-18-010
- 質問
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解決
県立長野図書館所蔵の「丸山文庫」に記載のある『古器考 勾玉考石剣頭考』について、『勾玉考石剣頭考』の刊行年が明和3年となっているが、現在知られている安永3序より古いものとなるので、確認してほしい。
- 回答
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「丸山文庫」は古文書の部、典籍の部ともに長野県立歴史館へ移管しており、当館ではマイクロフィルム(一部はまだマイクロ化されていない)として所蔵している。
当該資料をマイクロフィルムで確認すると、資料の題箋は『古器考』となっており、内題に『勾玉考』とある部分の末に『附 石剣頭考』がある。その最後に「橋千蔭蔵本」から文化10年に伴直方が書写したという記述がみられるが、その後他の資料との合本や書写が繰り返されたとみられる。また、文字の裏写りも激しいため、マイクロフィルムからは判別がつかないので、研究されるようなら、現在の所蔵館である長野県立歴史館に問い合わせるよう伝えた。
- 回答プロセス
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1. 現在、「丸山文庫」は古文書の部、典籍の部ともに長野県立歴史館へ移管しており、当館ではマイクロフィルム(一部はまだマイクロ化されていない)として所蔵している。問い合わせのものは、古文書の部、「古器・金石」に分類されているもので、丸山清俊写となっており、写本と思われる。マイクロフィルムで所蔵しているので、フィルムから確認する。
2. マイクロフィルム上で確認していくと、『勾玉考 附石剣頭考』『勾玉問答』『三器図略説』『三器略説』の4点を合冊、写本しているようである。結果、合冊したものの外題を『古器考』としたように思われる。『国書総目録』補訂版 で確認していくと、やはりそれぞれ単一の刊本とわかる。『賀茂真淵全集4』p.3917-3938で確認したが、賀茂真淵による『古器考』とは別のものと思われる。
3. 『古器考』のマイクロの本文を見ると内題に『勾玉考』、続いて本文があり、それに続けて、附『石剣頭考』とあり、本文がある。その末に「明和丙戌之歳□月 洞津 谷川士清識」とある。続けて、「右勾玉考石剣頭考者請乞橋千蔭蔵本而直方便家□書寫之畢文化十酉年十二月 伴 直方」となっていた。
その後丁を変えて『勾玉問答』『器図略説』『三器略説』と続き、「青柳種信識 文化十三年丙子三月十日」としている。それに続けて、「右一巻筑州之岡崎文右衛門□蔵之本寫畢干時文化十四年丁丑晩夏下七日 斎藤則正」とあり、弘化四年に鈴木清郷、嘉永四年に原昌吉、明治三年六月に矢嶋、明治三年十月に丸山清俊が写している。
なお、丸山文庫に所収されるこの資料が原本でもなく、単体の写本でも無いため、明和3年の記述がある『勾玉考 附石剣頭考』の素性がはっきりしない。さらに、写しが繰り返されているため、どこで4点の刊本が合冊されたか確定できない(斎藤氏以前か?)が、『勾玉考 附石剣頭考』に関しては少なくとも6人の手を経ており、伴直方が書写したという「橋千蔭蔵本」を確認したほうが良いと思われる。
【その他調査した資料】
・『百家叢説 第三編』田辺勝哉編 国書出版協会 【049.1/84/3】 p.9-13 「勾玉考」「附石剣頭考」
・『国書総目録』補訂版 岩波書店 【025/39a】
・『賀茂真淵全集4』賀茂真淵著 弘文館 1904 【N121/147/4】p.3917-3938
- 事前調査事項
- NDC
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- 歴史補助学 (202 8版)
- 一般書誌.全国書誌 (025 8版)
- 参考資料
- キーワード
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- 考古学
- 丸山文庫
- 写本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000235421