レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月21日
- 登録日時
- 2016/03/16 16:43
- 更新日時
- 2016/06/30 13:39
- 管理番号
- ASN2015-20
- 質問
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解決
月並会→二五日会→万丈会(ばんじょうかい)→藻社。
これらについて具体的な活動を知ることができる資料が知りたい。
あるいはこれらの会の内容について知りたい。
※下記の関連質問"ASN2015-17 「月並会」の意味が知りたい。"の回答を受けての質問。
【利用者からの情報】
硯友社系の作家サークルである。
「月並会」「二五日会」「万丈会」「藻社」というように、会の名前が変遷していると思われる。
【関連質問】
ASN2015-15 「春星会」の意味が知りたい。
ASN2015-16 「成珠者」の意味が知りたい。
ASN2015-17 「月並会」の意味が知りたい。
ASN2015-18 川上眉山と春星会の関係性と具体的な活動内容がわかる資料がみたい。
ASN2015-19 山岸荷葉と成珠会の関係性と具体的な活動内容がわかる資料がみたい。
ASN2015-21 尾崎紅葉の作品で大学病院が出てくる作品を知りたい。
ASN2015-22 明治時代の大学病院の位置づけについて知りたい。
- 回答
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「月並会」「二五日会」は、明治33(1900)年頃から尾崎紅葉が門弟たちを集めてひらいた文学研修の会の名称。
「万丈会」は前年末に作られた「月並会」を改称したもので、門弟たちのための雑誌『南枝北枝』を企画した。
「藻社」は翌年1月に、「万丈会」を改称したもの。『文藪』を発行。
このほか、尾崎紅葉の日記『十千万堂日録』にも手がかりがあるかもしれない。
詳細は回答プロセスを参照。
- 回答プロセス
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1.基本事項の確認
1-1.【★1】『JapanKnowledge』【契約データベース】
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻社 硯友社 尾崎紅葉 俳句 など>※全文検索
・「月並(み)会」(『デジタル大辞泉』収録)
"毎月きまって開く会合。多く和歌・連歌・俳句の会などにいう。"
・「尾崎紅葉」(『国史大辞典』収録)
"明治十六年(一八八三)大学予備門に入学、同十八年山田美妙・石橋思案らと硯友社を結成し、機関誌
『我楽多(がらくた)文庫』を創刊した。"
→参考文献:『尾崎紅葉』(福田清人著 日本図書センター 1987.10)
『尾崎紅葉の生涯と文学』(岡保生著 明治書院 1968.10)
・「硯友社」(『国史大辞典』収録)
→文章中に「紅葉の門(藻社)」と記載あり。
・「二五日会」「万丈会」 ⇒見つけられなかった。
1-2.レファレンス資料で調べる
『明治・大正・昭和作家研究大事典』(作家研究大事典編纂会編 桜楓社 1992.9 9103/S42)
p.115「尾崎紅葉」
→「研究史の展望」内に次の資料が記載されている。
"内田魯庵「硯友社の勃興と道程」(『おもひ出す人々』春秋社 大14・6)"
⇒本学図書館所蔵資料では次の資料に収録。該当の会の記述は見つけられなかった。
『明治文学全集98 : 明治文学回顧録集(一)』(臼井吉見編 筑摩書房 1980.3 9186/ME25/98)
<有力情報なし>
・『現代俳句大事典』(山下一海[ほか]編集委員 三省堂 2005.11 9113/Y44)
・『俳文学大辞典』(尾形仂[ほか]編 角川書店 1995.10 9113/O23-5)
・『日本近代文学大事典 第4巻:事項』(日本近代文学館編 講談社 1977.11 9103/N774/4A)
・『日本近代文学大事典 第5巻:新聞・雑誌』(日本近代文学館編 講談社 1977.11 9103/N774/5A)
2.本学所蔵資料から探す
2-1.[1-1]の参考文献より
・【★2】『尾崎紅葉』
p.141「第十章 人間紅葉 二 師として」
→紅葉の門を藻社と呼んだことや、藻社に所属していた人達の名前を記載。
・『尾崎紅葉の生涯と文学』(岡保生著 明治書院 1968.10 910268/O961-2)
⇒年譜には、「月並会」「二五日会」「万丈会」「藻社」の記述は見つけられなかった。
2-2.本学OPACで探す
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻会 硯友会 尾崎紅葉 年譜 自伝 伝記 など>
【★3】『作家の自伝 101 : 尾崎紅葉』
p.271「尾崎紅葉/年譜」
・明治三十三年(一九〇〇) 三十三歳
"この年の末頃から門弟たちを集めて文学研修の会を開き「月並会」または「二五日会」などと称した。"
・明治三十四年(一九〇一) 三十四歳
"前年末に作られた「月並会」を「万丈会」と改め、門弟たちのための雑誌「南枝北枝」を企画した。
また翌年一月、この「万丈会」を「藻社」と改称し、最後の意気込みを示した。"
p.279「『尾崎紅葉』編 解説 「十千万堂日録」」
→硯友社一門の同人・門弟の関係や文学研究会についての記述がある。
p.282には「月並会」「万丈会」「藻社」の記述あり。
"紅葉はそれら門弟たちのために新たに文学研究会を創立した。毎月二十五日に集まることとし、
「日録」三十四年一月二十五日には「晩に門弟の月並会あり」とあり、同年二月には「万丈会」
(気焰万丈による)と改称、新加盟の門人たちを参加させた(「年譜」参照)。「日録」三十四年
二月二十七日、春葉、紫明、斜汀たちと門弟たちの新同人雑誌「南枝北枝」の計画をたてる。
同年三月二十一日、「南枝北枝」の相談会あり、冊子の用紙を分配す――こうして原稿まで集めた。
ただし発刊までには至らなかった。翌三十五年一月二十六日、万丈会を「藻社」と改称、最後の
意気込みを示したが、さしたる収穫もなく、病気の進行とともに立ち消えた。"
※「十千万堂日録」は、紅葉の現在判明している唯一の日記。明治34年1月から36年10月、その逝去の
月の初めまで、晩年三か年の日記。また、資料によっては全部収録されているわけではないとの記述
もあり。(「病骨録」などの日記に該当する部分の条下に収録されている場合もあるとのこと。)
『作家の自伝 101 : 尾崎紅葉』では「十千万堂日録[抄]」を収録。
3.【★4】『NDLデジタルコレクション』で探す
3-1.[2-2]より「十千万堂日録」掲載資料を探す
『尾崎紅葉全集』第9巻(中央公論社 1942 書誌ID:000000689991) ※送信資料
3-2.「月並会」などの資料を探す
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻社 硯友社 など>
・『後期硯友社文学の研究』(伊狩章 矢島書房 1957 書誌ID:000000975927) ※送信資料
p.57~82「第二章 尾崎紅葉と「藻社」 第一節 藻社の概観」
→「二五日会」「月並会」「藻社」についての記述あり。
・『明治文壇回顧録』(後藤宙外 河出書房 1956 書誌ID:000000958003) ※NDL館内限定資料
⇒本学図書館所蔵資料では次の資料に収録。
【★5】『明治文学全集 99 : 明治文学回顧録集(二)』
p.186「丁酉文社時代-二-」
→「藻社」についての記述あり。
※「月並会」「二五日会」「万丈会」 ⇒これらのキーワードでは見つけられなかった。
4.新聞記事から探す
4-1.【★6】『ヨミダス歴史館(読売新聞)』【契約データベース】
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻社 など>
"[広告]雑誌 俳諧と文学「文籔」第3号/牛込横寺町 藻社" 1902.11.13 朝刊 6面
"[文壇昔話][箪笥町時代 付 藻社]=上/徳田秋声(連載)" 1918.11.26 朝刊 7面
"[文壇昔話][箪笥町時代 付 藻社]=下/徳田秋声(連載)" 1918.11.27 朝刊 7面
※「月並会」「二五日会」「万丈会」 ⇒該当記事は見つけられなかった。
4-2.『聞蔵Ⅱ(朝日新聞)』【契約データベース】
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻社 など>
「月並会」「二五日会」「万丈会」「藻社」 ⇒該当記事は見つけられなかった。
5.【★7】『CiNii Books』で発行雑誌の書誌情報を探す
<キーワード:月並会 二五日会 万丈会 藻社 など>
『文藪(ぶんそう)』の発行者として「藻社」の記載がある。(晩鐘會[編])
発行開始年と巻号:1902-, 1號 (明35.9)-
継続前誌:『俳藪(はいそう)』 晩鐘會[編] 晩鐘會, 1901-1902
1號(明34.8)-5號(明34.12) ; 寅1(明35.1)-寅7號(明35.8)
→『文藪』『俳藪』ともに、NDLデジタル化送信資料。
(『文藪』資料ID:000000021287、『俳藪』資料ID:000000019577)
※「月並会」「二五日会」「万丈会」 ⇒見つけられなかった。
以上
<Web最終確認日:2015/12/23>
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本文学 (91 9版)
- 参考資料
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- 【★1】契約DB『JapanKnowledge(ジャパンナレッジ)』(百科事典・辞書・ニュース・学術サイトURL集などを検索可能)
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【★2】福田清人 著 , 福田, 清人, 1904-1995. 尾崎紅葉. 日本図書センター, 1987. (近代作家研究叢書 ; 52)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001882372-00 , ISBN 4820506811 (当館請求記号:9108/KI421/52) -
【★3】佐伯彰一, 松本健一 監修 , 佐伯, 彰一, 1922-2016 , 松本, 健一, 1946-2014 , 尾崎, 紅葉, 1867-1903 , 伊狩, 章, 1922-. 作家の自伝 101. 日本図書センター, 2000. (シリーズ・人間図書館)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002950890-00 , ISBN 4820595474 (当館請求記号:91026/S42/101) - 【★4】『国立国会図書館デジタルコレクション』<http://dl.ndl.go.jp/>(国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービス)
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【★5】明治文学全集 99. 筑摩書房, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001469623-00 (当館請求記号:9186/ME25/99) - 【★6】契約DB『ヨミダス歴史館』(読売新聞記事検索)
- 【★7】『CiNii Books』<http://ci.nii.ac.jp/books/>(大学図書館の所蔵状況を調べる)
- キーワード
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- 月並会
- 二五日会
- 万丈会
- 藻社
- 尾崎紅葉
- 硯友社
- 文藪
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 日本文学
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000189375