レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年05月15日
- 登録日時
- 2019/11/13 12:58
- 更新日時
- 2019/12/17 17:37
- 管理番号
- ASN2018-15
- 質問
-
未解決
太刀で胸を一突き(すばやく突いてすばやく引いた)場合と小刀で胸をゆっくり一突きする場合の血の飛び散り方、
出血量は異なるかを調べたい。
【情報源・背景】
芥川龍之介『藪の中』 の登場人物の中から犯人を特定したい。
先行研究では、凶器が太刀か小刀か意見がわかれている(凶器が異なれば犯人が変わる)。
本文中の死体の状態から、おそらく血しぶきは見られないと推測している。太刀と小刀の血の飛び散り方が
わかれば、犯人特定につながるのでは、と考えている。
【該当する本文】
「・・・一刀とは申すものの、胸もとの突き傷でございますから、死骸のまはりの竹の落葉は、蘇芳に滲みたやうで
ございます。」
- 回答
-
太刀の場合と小刀の場合の血の飛び散り方、出血量を記載している資料を当館蔵書で確認することが
できませんでした。調査過程で見つけたいくつかの資料が、参考になるかもしれません。
詳細は、回答プロセスを参照ください。
- 回答プロセス
-
1.基本情報(芥川龍之介、『藪の中』)を確認する <キーワード:芥川龍之介、藪の中>
『日本近代文学大事典 第1巻』(日本近代文学館編 講談社 1977 9103/N774/1A)
p.25-28 「芥川龍之介」
p.26 3段目 「藪の中」(『新潮』大正11.1)
『今昔物語』にヒントを得ているが、形式はむしろ、ロバート=ブラウニングの物語詩集のなかの
『指輪と本』などから借りている。
客観的真理に対する作者の深い懐疑的心情を物語化している。
JapanKnowledge [契約データベース]
「藪の中[書名]」(『デジタル大辞泉』)
"芥川竜之介の小説。藪の中で起こった殺人について、目撃者や当事者たちが語るが、その内容がそれぞれ
食い違うために真相はわからないままとなる。大正11年(1922)発表"
2.図書
2-1. OPAC検索 <キーワード:科学捜査、検屍、死亡原因、法医学 / 件名:法医学>
『「藪の中」の死体』(上野正彦著 新潮社 2005.4 4989/U45-3)
p.49-50 死体の傷口や現場の出血痕などを法医学の観点から分析。
『ヒトは、こんなことで死んでしまうのか:監察医・上野正彦が死因の不思議を科学する!』
(上野正彦著 インデックス・コミュニケーションズ 2004.9 4989/U45-2)
p.101-103 時代劇の剣劇シーン、切腹についての死因を法医学の観点から分析。
『法医学の話』(古畑種基著 岩波書店 1958.9 080/I/323)
p.86-89 「Ⅴ殺人事件と血痕検査 1.現場における血痕の形状の検査」
2-2. ブラウジング <分類:490(医学)、4989(法医学)など>
次の資料では、関連する記述を確認できませんでした。
『死体の教科書 : 「8何の原則」が謎を解く』(上野正彦著 朝日新聞出版 2013.9 アサヒ/ウ19-4)
『江戸期文化人の死因』(杉浦守邦著 思文閣出版 2008.7 490/SU48)
『死因事典 : 人はどのように死んでいくのか』(東嶋和子著 講談社 2000.11 490/TO27)
『図説死因百科』(マイケル・ラルゴ著 紀伊國屋書店 2012.7 498/L32)
『科学が死体に語らせる : 驚異の法医学捜査最前線』
(マイクル・ベイデン, マリオン・ローチ著 ; 春日井晶子訳 早川書房 2002.11 4989/B14)
『法医学の基礎知識』(古田莞爾 南江堂 1975 4989/F94)
『科学捜査』(Samuel M. Gerber, Richard Saferstein編 ; 山崎昶訳 丸善 2000.2 4989/G36/2)
『法医解剖』(勾坂馨著 文藝春秋 2000.4 4989/S16)
『臨床医のための法医学マニュアル』(塩野寛著 新興医学出版社 1987.10 4989/SH75)
2-3. 国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/ <キーワード:血痕 / 絞込検索:図書、4類>
下記の資料は、図書館送信資料として閲覧できます。
『ナースに必要な法医学』(野田金治郎著 医学書院 1955.5 書誌ID:000000940519)
p.18-22 「第2章 物体検査 第1節 血痕検査 1.現場に於ける血痕検査」
現場に残された血痕の位置、形状、量などからの犯行状況の推定する方法が記載
『臨床家に必要な法医学』(野田金治郎著 医学書院 1955.6 書誌ID:000000931421)
p.22-25 「I. 現場に於ける血痕検査」
血痕の形状を図で確認できる(第1~5図)
『法医学』(上野正吉著 弘文堂 1959 書誌ID:000000931421)
p.161-181 「第16章 血痕検査」
血痕の形状による見極め方のほか、血痕附着の時期、現場の血液の量に関する記述
2-4. 周辺事情を調査中に見つかった資料
『無冤録述』(河合甚兵衛源尚久 [訳・編]. 1768?) 江戸時代の検死のテキストの一つ
→ 次の資料などの中に収録。国立国会図書館デジタルコレクションにて閲覧可
『刑罪珍書解題』(尾佐竹猛著 犯罪科学書刊行会 1934 書誌ID:000000917379 インターネット公開)
p.1-92「無冤録述 (巻之上)(巻之下)」
刀傷死に関する章あり(p.60-64)
3.論文 <キーワード:血痕、出血量、科学捜査、範囲、法医学 など>
3-1. 医中誌Web [契約データベース]
齋藤 祐介ほか"出血痕の面積と推定出血量に関する検討(会議録)"
日本臨床救急医学会雑誌 20(2) p.391 2017.4
3-2. NDL ONLINE https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/
【雑誌記事検索】
岸 紘一郎"法医学点描-8-血痕検査"治療 75(5) p.1459-1464 1993.05 など
【図書中の文献】
『防犯科学全集. 第2巻』(中央公論社 1935.10) など
以下のデータベースでは、該当する記事を確認できなかった
CiNii Articles https://ci.nii.ac.jp/
J-stage https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
以上
<Web最終確認日:2019/11/21>
- 事前調査事項
- NDC
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- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 10版)
- 小説.物語 (913 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 太刀
- 小刀
- 出血量
- 血
- 凶器
- 藪の中
- 芥川龍之介
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 法医学
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000265162