レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年02月26日
- 登録日時
- 2011/06/01 16:52
- 更新日時
- 2011/11/12 09:45
- 管理番号
- 中央-1-00151
- 質問
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解決
四酸化三鉄は、Feの酸化数をxとすると、
3x+(-2)×4=0 より、 x=8/3
と聞いたのだが、酸化数は整数でなければならないのではないか? また、Fe3O4が、四酸化三鉄とも、酸化二鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)とも呼ばれる理由は何か。
- 回答
-
1.四酸化三鉄の酸化数
酸化数の考え方については下記の本が参考になる。
・『暗記しないで化学入門 無機化学編』 平山令明著 講談社 2006.3
p72-94で酸化数についてやさしく解説している。
p84で酸化数を未知数xで表し、計算式で求めるやり方を紹介しているが、このやり方は「過酸化物のようなものには適用できません」となっている。また、「化学の問題を考えるときには、常にその化合物の構造そして結合に関わる電子に注意を払ってください。盲目的にルールを適用することは危険であるばかりか、化学の面白さを半減させてしまいます」ともある。
四酸化三鉄の場合、『元素大百科事典』(Perl Enghag著 朝倉書店 2007.11)の口絵9、p91によると、その構造は「Fe3O4=FeO・Fe2O3」で、Fe2+イオンとFe3+イオンの2種類のイオンを含んでいる。(Fe3O4=Fe2+[Fe3+]2O4)
2.Fe3O4が四酸化三鉄とも酸化二鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)とも呼ばれる理由
下記の資料によると、酸化二鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)と呼ばれるのは命名法によるもののようである。
・『化学辞典』 大木道則(ほか)編 東京化学同人 1994.10
p527「無機化合物の新しい命名法が1940年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)の委員会で提案され、この命名法では金属の酸化数の値をその金属の名称のあとに括弧内にローマ数字で入れて表すことになった。」
・『無機化合物命名法 IUPAC2005年勧告』 Neil G. Connelly(ほか)著 東京化学同人 2010.3
p68「元素の酸化数はローマ数字で示し、元素名の直後に続く丸括弧で囲む。」
・「化学命名法のやさしい解説その3」 山崎昶 『化学教育』32(6) p510-513 1984
p510「IUPAC命名法に忠実に、成分比がすぐにわかるように書くと、「酸化二鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)となる。(酸化数の大きいほうを先に記すことになっている。)このようなときには、非金属元素の二元化合物のところで述べた、成分原子比をつけた名称のほうが簡明でわかりやすいであろう。つまり「四酸化三鉄」としたほうが、初学者のためには明快ではるかによい。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 無機化学 (435)
- 参考資料
- キーワード
-
- 四酸化三鉄
- 酸化数
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000087019