レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/24
- 登録日時
- 2020/01/24 00:30
- 更新日時
- 2020/01/24 00:30
- 管理番号
- 6900004528
- 質問
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解決
『教訓 お伽夜話 前編』の中にある絵を描いた人が誰か知りたい
- 回答
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『教訓 お伽夜話 前編』の絵を描いた画家を特定することはできなかった。しかし、以下の調査により、その画家は初山滋であると推定できる。
調査内容は以下のとおり。
1.『教訓 お伽夜話 前編』(巌谷小波/著 博文館 1919.9)を確認したところ、資料の奥付等に明確な画家の名前は見当たらなかったが、口絵や挿画などいくつかのイラストに「TANOSUKE」「Tanosuke」「たのすけ」「田之介」のサインがあった。
2.前掲書の緒言(前書き)には次の記載があったが、ここでも画家の名前は不明。
「挿画は一切省きましたが、其代り各篇のはじめに、それぞれ其話材に因んだカツトを挿入して、趣味を饒かにすることに注意しました、別刷の挿画と、口絵とは今度縮刷するに就いて、新らしく意匠したものです。」
3.次に、同シリーズの後編『教訓 お伽夜話 後編』(巌谷小波/著 博文館 1920.7)を確認したところ、以下の記載があったため、このシリーズ全体の画家が初山滋ではないかと考えた。なお、後編の中にもいくつか絵はあったがそれらにサインはなかった。
・前書き「挿画はすべて省略しましたが、其代りに各篇のはじめに、新式のカツトを挿入して置きました。之等は皆新進画家初山滋君の手を煩したものです」
・奥付の後にある広告『教訓 お伽夜話 前編』に「画は新進画家が腕にヨリかけての揮毫」
4.そこで初山滋について調査したところ、初山滋の初期の筆名に「初山田之介」があることが分かった。
・『日本児童文学大事典 第二巻 人名 な~わ 事項・逐次刊行物』(大阪国際児童文学館/編 大日本図書 1993.10)p.75「初山 滋(はつやま しげる)」に以下の記載がある。
「十六年六月、『少年倶楽部』の口絵に『月下非曲』が掲載される。この時の筆名は、初山田之介。十九年四月、『おとぎの世界』(文光堂)が創刊されるとともに、その嘱託社員となり、毎号表紙や挿絵を描く。創刊号の筆名は初山田之介、二号より初山滋の名を用いた。」
5.また、『初山滋:永遠のモダニスト(らんぷの本)』(竹迫祐子/編 河出書房新社 2019.8)p.156「初山滋―書誌目録」に以下の記載があった。
・「【1920年(大正9)】7月『お伽夜話』巌谷小波 博文館(挿絵)」
以上の調査結果から、『教訓 お伽夜話 前編』の画家は同後編と同じ初山滋と推定した。
[事例作成日:2019年11月24日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 漫画.挿絵.児童画 (726 10版)
- 参考資料
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- 教訓 お伽夜話 前編 巌谷/小波∥著 博文館 1919.9
- 教訓 お伽夜話 後編 巌谷/小波∥著 博文館 1920.7
- 日本児童文学大事典 第二巻 人名 な~わ 事項・逐次刊行物 大阪国際児童文学館∥編 大日本図書 1993.10 (75-77)
- 初山滋 竹迫/祐子‖編 河出書房新社 2019.8
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000272910