レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/06/21
- 登録日時
- 2013/01/23 02:00
- 更新日時
- 2013/04/29 22:37
- 管理番号
- 6000004643
- 質問
-
解決
かつて豊中市と大阪市の境を流れる神崎川には橋がなく、渡し船で川を渡る「渡し場」が何箇所かあったと聞いた。どこにどのような渡し場があったかわかる資料はあるか。
- 回答
-
『とよなか歴史・文化財ガイドブック』『とよなかの史跡・余話』などによると、豊中市域に存在した神崎川の渡し場は「目いぼ(小曽根)の渡し」「三国の渡し」「洲到止の渡し」の3か所。
- 回答プロセス
-
郷土資料の書架を探す。
『とよなか歴史・文化財ガイドブック』(豊中市教育委員会)付録の「とよなか歴史・文化財マップ」を確認すると、豊中市域では神崎川に上流から「目いぼの渡し」「三国(みくに)の渡し」「洲到止(すどうし)渡し場」の跡に碑が建っていることがわかる(「三国の渡し」碑は大阪市淀川区内)「目いぼの渡し」は同書p70に解説と碑の写真があり、これによると目いぼの渡しは『豊島郡誌』にも「目疣渡」として記載があるもので、別名を「小曽根(おぞね)の渡し」といい、大坂天神橋から能勢郡吉野へ向かう吉野嶺道(よしのみねみち)を対岸の十八条村(現在の大阪市淀川区)との間でつないでいたとのこと。また「洲到止渡し場」はp75に解説があり、もとは現在の位置よりさらに下流の洲到止八幡宮の南にあったとの伝承があり、当時は三津屋村(現在の大阪市淀川区)から大坂の高麗橋と西宮を結ぶ中国街道へ出ることができたとのこと。大正9(1920)年の阪急神戸線の開通の際に現在の位置に移り、さらに昭和10(1935)の神洲橋(かみすばし)の完成で公設の渡し船は廃止となったとあり。
『とよなかの史跡・余話』(瀧健三)p101-103「目いぼの渡し碑」には、碑の内容があり。和明治末頃まで渡し船が用いられており、船頭の右目の上に大きないぼがあったため「目いぼの渡し」と呼ばれたとのこと。碑の建立は平成元年(1989年)また「三国の渡し」は別名「三首の渡し」とも呼ばれ、明治11(1878)年に三国橋がかけられるまでは大阪市中津を起点とする能勢街道の道筋として渡し船が利用されたとあり。
『わたしたちの郷土 野田』(豊中市立野田小学校)p60「川と陸の交通1 神崎川と猪名川」には、同校の近隣に三国の渡しと洲到止の渡しがあったことの記載と、三国の渡し付近の写真があり。
『郷土 庄本の歴史を中心として』p64「神崎川」によると、明治の初め頃には、神崎川には「江口村江口渡」「十八条村榎木渡」「小曽根渡」「蒲田村三国渡」「加島村神崎渡」の5か所の渡し場があったとのこと。
『日本歴史地名大系28 大阪府の地名1』(平凡社)p593「榎木渡(えのきのわたし)」によると、この渡し場は西成郡十八条村(現在の大阪市淀川区)と豊島郡榎坂村(現在の吹田市)を結ぶもの。またp606「江口村」に江口渡についての記載があり。江口村(現在の大阪市東淀川区)と一津屋村(現在の摂津市)を結ぶもの。なおp585「神崎橋」およびp36「神崎川」によると、神崎渡は加島(現在の大阪市淀川区)と神崎(現在の兵庫県尼崎市)を結んでいた。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 『とよなか歴史・文化財ガイドブック』豊中市教育委員会生涯学習推進室地域教育振興課/編集 豊中市教育委員会生涯学習推進室地域教育振興課
- 『とよなかの史跡・余話』瀧 健三/編集 瀧 健三
- 『わたしたちの郷土 墅田』野田小学校教職員一同/著作・編集
- 『郷土』森本 吉道/著 郷土の歴史研究会
- 『日本歴史地名大系 28‐[1]』平凡社
- キーワード
-
- 豊中(トヨナカ)
- 神崎川(カンザキガワ)
- 歴史(レキシ)
- 交通(コウツウ)
- 渡し場(ワタシバ)
- 河川(カセン)
- 街道(カイドウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- このほか、『文学にみる豊中の古迹』(鹿島友治)p32「小曽根の渉場」によると、小曽根の渡し付近で神崎川に流れ込む高川(たかがわ)の右岸堤防の上に「大くもの松」と呼ばれる松の大木があり、大きな蜘蛛がこの松から西側の天竺川の松に巣をかけて鳥獣を捕らえ、人の往来を妨げたとの伝承が「浪花の梅」に見られるとのこと。また『豊中の伝説と昔話』(鹿島友治)p27「河虎の渡し」には、神崎川には四か所の渡し(上流から小曽根、三国、榎木、かわたろう)があり、豊島郡島村と西成郡三津屋を結ぶかわたろうの渡しにはかつて水底に棲んで子どもたちの命をとる「かわたろう」がいた。退治したのちにも怨霊が残ったため、「河虎の宮」という祠を建てたので、阪急電鉄神崎川鉄橋の少し下流にあったこの渡しを「河虎の渡し」というとの記載があり。位置から推察するところでは、洲到止の渡しにまつわる伝説か。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000127056