レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年12月20日
- 登録日時
- 2019/01/08 10:48
- 更新日時
- 2019/03/18 16:15
- 管理番号
- 埼久-2018-068
- 質問
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解決
なぜ鹿肉の鍋を「もみじ鍋」と呼ぶのか知りたい。
- 回答
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諸説あったため、それぞれについて資料を紹介した。
(1)百人一首の歌を由来とする説
『海の幸・山の幸大百科 3』(望月賢二[ほか]監修 ぎょうせい 1990)
p192-193「しか」の項目に、「古くから親しまれてきた獣だけに、文学とのつながりも強い。(中略)『百人一首』の猿丸大夫「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」はあまりにも有名である。なお、この歌からシカ肉は、別名「紅葉」とよばれるようになった。」とあり。
『精進料理と日本人』(鳥居本幸代著 春秋社 2006)
p243「「鹿肉を紅葉と称す」とあるが、猿丸太夫が詠んだ「奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき」(『古今集』)に由来して「紅葉」と呼ばれたようで、禁忌の獣肉を植物に譬える江戸庶民の粋さが感じられる。」とあり。
(2)花札を由来とする説
『日本国語大辞典 第12巻』(日本国語大辞典第二版編集委員会編 小学館国語辞典編集部編 小学館 2001)
p1374-1375「もみじ」の解説に、「鹿の肉。鹿には紅葉が取り合わせであるところからいう。」「花札で一〇月を表す札。紅葉に鹿の図柄の一〇点札、紅葉に短冊の五点札と、一点札二枚がある。」とあり。
『日本の食風土記』(市川健夫著 白水社 1998)
p168「鹿の肉は「紅葉」、猪の肉は「牡丹」と、花札のデザインから愛称されていた。」とあり。
- 回答プロセス
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1 自館所蔵の参考資料を調べる。
『海の幸・山の幸大百科 3』(回答資料)
『日本国語大辞典 第12巻』(回答資料)
2 自館目録をNDC分類〈383.8〉で検索する。
『精進料理と日本人』(回答資料)
『江戸味覚歳時記』(興津要著 時事通信社 1993)
p136-140「薬食い」
p138「猪の肉は、「牡丹に唐獅子、竹に虎」という文句にちなんで牡丹とし、鹿の肉は、「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」(『古今和歌集』)という古歌からとって紅葉と呼んだ。」とあり。
『日本の食風土記』(回答資料)
『江戸食べもの誌』(興津要著 作品社 1981)
p14「肉を〈しし〉と読み、猪肉は、〈牡丹に唐獅子、竹に虎〉の文句にちなんで〈牡丹〉、鹿肉は〈奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くぞ秋はかなしき〉の古歌から〈紅葉〉と呼んだ。」とあり。
3 自館目録を〈俗語〉で検索する。
『江戸風俗語事典』(三好一光編 青蛙房 2002)
p118「牡丹と紅葉」
「牡丹は猪、紅葉は鹿の肉。二種類の鍋を食べさせていた見世で、牡丹と紅葉の行燈はかなり諸所にあったらしい。」とあり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
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- 『海の幸・山の幸大百科 3』(望月賢二[ほか]監修 ぎょうせい 1990) , ISBN 4-324-01939-8
- 『精進料理と日本人』(鳥居本幸代著 春秋社 2006) , ISBN 4-393-75122-1
- 『日本国語大辞典 第12巻』(日本国語大辞典第二版編集委員会編 小学館国語辞典編集部編 小学館 2001) , ISBN 4-09-521012-5
- 『日本の食風土記』(市川健夫著 白水社 1998) , ISBN 4-560-04067-2
- 『江戸味覚歳時記』(興津要著 時事通信社 1993) , ISBN 4-7887-9343-1
- 『江戸食べもの誌』(興津要著 作品社 1981) , ISBN 4-87893-076-4
- 『江戸風俗語事典』(三好一光編 青蛙房 2002) , ISBN 4-7905-0510-3
- キーワード
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- 料理(肉)
- 鍋料理‐日本
- 日本語-俗語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000249891