レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年7月31日
- 登録日時
- 2010/09/02 15:04
- 更新日時
- 2011/03/18 16:50
- 管理番号
- 相大-H22-0015
- 質問
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解決
金子みすずの“みすず”という名前は、万葉集の歌からつけられたものらしいが何の歌か。
- 回答
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『金子みすずの生涯』 矢崎節夫/著 JULA出版局 1993 P176に「枕詞“みすず刈る”からとった」とある。
『日本国語大辞典第12巻 第2版』 小学館 2001の「みすずかる」の項によると、
「賀茂真淵などが「万葉集」の“水(三)薦苅(みこもかる)”を“水(三)篶苅(みすずかる)”の誤りとした語」とあり、
「現在では、“薦”の字のままでコモと読む節が有力になっている」とある。
したがって、『萬葉集 全訳注原文付』 中西進/著 講談社 1984 【S06276828 911.12】より
96 「み薦刈る信濃の真弓我が引かば貴人さびていなと言はむかも」(みこもかる しなののまゆみ わがひかば うまひとさびて いなといわむかも)
97 「み薦刈る信濃の真弓引かずして強作留行事を知ると言はなくに」(みこもかる しなののまゆみ ひかずして しいざるわざを しるといわなくに)
の2首ということがわかった。
※【 】は自館資料コードと請求記号
- 回答プロセス
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・金子みすずの資料を詩の書架(911)から探す
①『金子みすずの生涯』 矢崎節夫/著 JULA出版局 1993 【S10822351 911.5】を確認したところ
P176に「ペンネームの“みすず”は“信濃の国”にかかる枕詞“みすず刈る”からとった。」
「“みこも刈る”の“みこも”を江戸時代に 賀茂真淵が“みすず”と誤読したことによってこの枕詞が生まれた」
「今は“みこも”と読むのが定説であるが、明治・大正にかけて、アララギ派の歌人たちは“みすず”と読むことを支持」とあり。
・参考資料の書架から探す
②『日本国語大辞典第12巻 第2版』小学館 2001 【S17534884 R813.1】
P684の「みすずかる」の項によると、「賀茂真淵などが『万葉集』の“水(三)薦苅(みこもかる)”を“水(三)篶苅(みすずかる)”の誤りとした語」とあり、
「現在では、“薦”の字のままでコモと読む節が有力」なっている〕とある。
③『枕詞辞典』高科書店 1989 【S07479249 R911.1】
P258「みすずかる」の項に、「『万葉集』96番の“水薦苅(みこもかる)”を“みすずかる”と訓んだことによる」とあり。
④『和歌大辞典』明治書院 1986 【S05946041 R911.1】
・P941「みすずかる」の項に、「“水(三)薦刈”の訓みミコモカルを冠辞考で賀茂真淵が改訓し、
“信濃”の枕詞として流布したもの、すでに鹿持雅澄の万葉集古義などにミスズ訓む例なしとその誤りが指摘されている」とあり。
・P940「みこもかる」の項に、「国名“信濃”にかかる。ミは美称の接頭語で、コモの群生する地の意で産物を称辞したもの。
賀茂真淵がミスズカルと改訓して以来、篠・竹と類似音の“信濃」”」が連想としてかかるとする説が一般に流布している。」とあり、
次の歌が記載されている。
万葉集96「水薦刈信濃の真弓我が引かばうま人さびて否と言はむかも」
万葉集97「三薦刈信濃の真弓引かずして弦はくるわざを知るといはなくに」
⑤『万葉集事典』 伊藤博/編 有精堂出版 1975 【S05991070 R911.12】
・枕詞(みすずかる)で探したが見つからず。
・P466「みこもかる」・・・原文の「み薦刈」を「みすずかる」と読む説がある、と記載あり。
巻2の96・97番の記載あり。
・地名(しなの)で探したところ、巻2の96・97番とあり。
⑥『萬葉集 全訳注原文付』中西進/著 講談社 1984 【S06276828 911.12】
P92・93に96番97番の記載あり。
96番 「み薦刈る信濃の真弓我が引かば貴人さびていなと言はむかも」
97番 「み薦刈る信濃の真弓引かずして強作留行事を知ると言はなくに」
・以上の経緯と万葉集96番・97番の2首を紹介した。
※【 】は自館資料コードと請求記号
- 事前調査事項
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以前ドラマで放送されていたのを見た。記憶が曖昧だが「みすずかる しなのの ・・・」という歌だった。
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 金子みすず
- 万葉集
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 名前
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000070699