レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年06月23日
- 登録日時
- 2016/06/23 15:38
- 更新日時
- 2016/06/23 15:47
- 管理番号
- 104
- 質問
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解決
「住吉大社神代記」について考察する尼崎市立地域研究史料館紀要『地域史研究』掲載論文に、同史料に登場する播磨国の浜の名称が「阿閉津浜」(あへつはま)となっているが「阿閇津浜」(「閉」ではなく「閇」)ではないか。平凡社の日本歴史地名大系29Ⅱ『兵庫県の地名』Ⅱなどを見ても、地名の表記は「阿閇津」となっている。
- 回答
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住吉大社(大阪市住吉区所在)に伝来する「住吉大社神代記」に登場する「阿閇津浜」(阿閉津浜、あへつはま)は、現兵庫県加古郡播磨町の海浜部を表す地名で、播磨町本荘には阿閇神社(あえじんじゃ)が現存しています。
「閇」は異体字で正字は「閉」になります。いずれの文字を使うかは、史料を翻刻する際の考え方・ルールによります。ご指摘の史料館紀要『地域史研究』掲載論文は、翻刻に際して原則として常用漢字を用い、異体字は正字に置き換えるというルールにしたがって翻刻・表記している例です。
一方、かならずしも常用漢字に置き換えず原史料(この場合は「住吉大社神代記」)が用いる文字そのままに翻刻するというルールにしたがっている場合、あるいは後年まで使用される固有名詞としての地名である点を重視して異体字であっても置き換えないという考え方により翻刻する場合は、「阿閇津浜」となります。ご指摘の平凡社日本歴史地名大系29Ⅱ『兵庫県の地名』Ⅱや、『兵庫県史』史料編古代1などは、この考え方に沿って翻刻ないし表記していると考えられます。
- 回答プロセス
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1 「阿閉津浜」と表記する論文
◆高橋明裕「『住吉大社神代記』の神領記述の歴史性」
尼崎市立地域研究史料館紀要『地域史研究』第115号(2015.10)掲載
2 「阿閇津浜」と表記する文献
◆日本歴史地名大系29Ⅱ『兵庫県の地名』Ⅱ 平凡社(1999)
「播磨町」の項目
◆『兵庫県史』史料編古代1 兵庫県(1984)
「住吉大社神代記」を全文翻刻
3 正字・異体字の確認
漢和辞典類による
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216 9版)
- 音声.音韻.文字 (811 9版)
- 参考資料
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高橋明裕「『住吉大社神代記』の神領記述の歴史性」
尼崎市立地域研究史料館紀要『地域史研究』第115号(2015.10)掲載 (逐次刊行物) - 日本歴史地名大系29Ⅱ『兵庫県の地名』Ⅱ 平凡社 1999 (当館請求記号 290/H/二-29-2)
- 『兵庫県史』史料編古代1 兵庫県 1984 (当館請求記号 219/H/ヒ-7)
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高橋明裕「『住吉大社神代記』の神領記述の歴史性」
- キーワード
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- 住吉大社神代記
- 阿閇津浜
- 阿閉津浜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 漢字用例
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000193753