レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2002/11/26
- 登録日時
- 2005/02/11 02:27
- 更新日時
- 2010/02/12 10:27
- 管理番号
- 埼川-2002-026
- 質問
-
未解決
丁鶴年作と思われる次の詩について、その背景や出典、解釈を知りたい。「蓮を採り復た蓮を採る 藉も亦た棄つ可からず 中に不断の糸有り 妾が纏綿の意に似たり 蓮を採り復た蓮を採る 湖水清く且つ深し 徒だ能く妾が面を照らすも 妾が心を照らす能はず」(はすをとりまたはすをとる ぐうもまたすつべからず なかにふだんのいとあり しょうがてんめんのいににたり はすをとりまたはすをとる こすいきよくかつふかし ただよくしょうがかおをてらすも しょうがこころをてらすあたわず)。
- 回答
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丁鶴年は元末から明初の詩人で詩集「海草集」があり、「元詩選」の中に所収。いずれも県立未所蔵。県立川越(当時)所蔵の資料では記述のある資料は見つからなかった。
- 回答プロセス
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『東洋人物レファレンス事典』p420に著者「丁鶴年」についての解説あり。元末から明初の詩人で詩集「海草集」があり、「元詩選」の中に所収。いずれも県立未所蔵。
「元詩選 1~8」(中華書局 1987-2001)は、県内では文教大学越谷図書館で所蔵。
『近世詩集』(『中国文明選 9』)に丁鶴年の項はあるが、作者の解説と詩「雁題」の記述のみ。
以上の情報を提供し、打ち切りとする。
追記:《ゆにかねっと》を著者〈丁鶴年〉で検索すると、「景印文淵四庫全書 第1217冊 欷部 156 別集類」(台湾商務印書館 1985 「鶴年詩集附丁孝子伝」収載:熊本県図)及び「丁鶴年集」(丁鶴年撰 台湾商務印書館 1966:京都府立総合資料館)がヒットする。ただし、質問の詩が収録されているかどうかは不明。また、原書であることから日本語による解釈等は期待できない。
追記:備考欄コメントにしたがい、調査資料の県立所蔵を確認する(2009/05/26)。
『中国の名詩鑑賞 9 元・明詩』(明治書院 1976)
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 漢詩-元時代-中国
- 丁 鶴年(テイ カクネン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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近畿大学中央図書館よりコメントをいただく(2009/05/26)。以下、調査情報の本文。
下記の文献に収録されていました。
元・明詩 / 福本雅一編 明治書院 , 1976 (中国の名詩鑑賞 9)
p.30-31
採蓮曲は楽府清商曲辞、江南弄七曲中の一つ。内容はほとんど男女相思の情を述べ、梁の武帝を始め、南朝末期にこの作は多い。『海巣集』巻一。五言古詩。
採蓮曲六首 其三 丁鶴年
採蓮復採蓮 藕亦不可棄
中有不断絲 似妾纏綿意
蓮をつみまた蓮をつむ、藕(ぐう)もまた捨ててはいけない。中には断ち切れない糸があって、わたしのひたむきの思いに似ているから。
(藕 はすの根、蓮根。同音の偶の字に意味を通わせる。偶は一組になったもの、つれあい。)
其五
採蓮復採蓮 湖水清且深
徒能照妾面 不能照妾心
蓮をつみまた蓮をつむ、湖の水は深く澄んで、ただわたしの顔を映すことはできても、わたしの心までは映せない。
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000016282