レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/09/22
- 登録日時
- 2015/11/29 00:30
- 更新日時
- 2015/12/01 18:29
- 管理番号
- 0000001220
- 質問
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解決
dietの国会という意味の語源について
- 回答
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(1)『英語慣用語源・句源辞典』(モートン・S.フリーマン著 松柏社 2000)によると、「・・・dietという語には二つの別個の意味があり、その一つは制限された食事の摂取とは関連がないからである。教会職員の審議会や国会の会合のことをdietという。その意味の語は、ラテン語のdies(日)からきていて、中世のラテン語dieta(一日の旅または一日の賃金)で、その元になる意味は、会合のメンバーは一日(あるいはもっと長い)旅のあとで参会したからである。やがてdietは一日の旅だけではなく、会合そのものにも使われるようになり、会合の意味でヨーロッパ中に広く受け入れられた。日本ではDietがまだ国会のことである。」(p107-108)とあります。
(2)なぜ、国会がDietという英訳を採用したかについては、麻生茂「国会の英訳Dietについて」(『国立国会図書館月報』167 1975)という論文があります。
これによると、「議会を意味する英語のdietは、day(日)即ち中世ラテン語のdieta 更にラテン語のdiesと関連がある。他方独語のTagは、元来日(day)を意味するが、これが会議、指定された日に会議するもの即ち議会(又は裁判所)を意味するように発展した。その動詞のtagenは会議をする、会議を開く意味である。英語のdietは、この独語のTagの翻訳借用語であると。従って独語のDiatにはこの意味がない」(p17)とあります。
また、「わが国の憲法は、英仏流の憲法でなく、ドイツ流の憲法を模範としてわが国の国体や実情に即したものを制定しうるという確信を強め・・・明治11年ドイツの法学者ヘルマン・ロェスレルが外務省の法律顧問として招へいされた・・・明治20年4月30日伊藤博文の手もとに独語で書いた「日本帝国憲法草案」を提出した。その第二章は、Vom Reichstageとあり、これは「国会」と訳され・・・」(p18)とあり、最終的にこのドイツ語が日本語で「帝国議会」、英訳してThe Imperial Diet とされ、戦後Imperial が削除され、Dietとなった経緯が記されています。
(3)ご参考までに、
浅野 雅巳「Parliament, Congress, Dietを中心とする呼称についての諸問題」(『時事英語学研究』18 1979)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaces1962/1979/18/1979_45/_article/-char/ja/ 確認日:2014-09-22)という論文もインターネット上で閲覧できます。
- 回答プロセス
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GoogleBooksにより『文藝春秋』, 第 61 巻、第 8 号 1983がヒット。(http://books.google.co.jp/books?id=z-O7AAAAIAAJ&q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9B%BD%E4%BC%9A+diet%E3%80%80%E7%94%B1%E6%9D%A5&dq=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9B%BD%E4%BC%9A+diet%E3%80%80%E7%94%B1%E6%9D%A5&hl=ja&sa=X&ei=5cMfVKO7Asre8AXWjIKICg&ved=0CD0Q6AEwBA 確認日:2014-09-22)
柿澤弘治「リーダーとウェイター」の記事を確認。記事の出展として『国立国会図書館月報』があげられている。
- 事前調査事項
- NDC
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- 英語 (83 9版)
- 参考資料
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- 1 英語慣用語源・句源辞典 モートン・S.フリーマン著 堀口/六寿訳 松柏社 2000.12 832/10002
- 2 「国会の英訳Dietについて」(『国立国会図書館月報』167 麻生茂 国立国会図書館 1975 p16-20
- キーワード
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- ダイエット
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000184683