レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年07月18日
- 登録日時
- 2021/07/18 16:50
- 更新日時
- 2023/12/24 14:16
- 管理番号
- 北九2021中央045
- 質問
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解決
昭和7年に行われた、板櫃川の流路改修に関する典拠資料を探している。
①福岡県の公共事業として昭和7年12月着工、翌8年実施。完成昭和9年10月。響灘(平松浜)、日明、到津神社とを一直線に結ぶ。
②当地に陸軍造兵廠が東京より移設し、小倉工廠と称され、小倉の急激な発展により広域宅地造成敷地の確保が緊要であった。
③当時の板櫃川下流地区は、低湿地帯にて慢性的に水害被害を被っており、その対策が叫ばれていた。
④当時は不景気が続いており、失業者対策事業は重要であった。
⑤平松浜から屈曲して大門を経由してJR九州日豊線にほぼ沿っていた旧河川2500メートルが直線に変えられた為、約1000メートルの短距離となり、60000余坪の新市街地の確保、該地区洪水に対する防備、総延べ人員17万餘人の雇用創生、などが実現できた。
- 回答
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当館所蔵のマイクロフィルムで調査した結果、以下の新聞記事が確認できた。
大阪朝日新聞九州朝日 北九州版
昭和9年8月4日「板櫃川の改修 本日中に完成」
昭和9年9月27日「新土地六萬坪 見事な新河川 板櫃川付替工事竣工」
昭和9年10月7日「来賓二百名を迎へ 盛大に竣工式」
- 回答プロセス
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まず、『北九州市土木史』(p123)に、板櫃川流路変更工事についての記載があり、1932年(昭和7)福岡県会において板櫃川改修費が決定され、1934年(昭和9)10月6日に板櫃川竣工式を行っていることが分かった。
また、『 詳説福岡県議会史』に、昭和7年度の予算に失業救済費として板櫃川改修費が計上されていること(p523)、昭和8年度の予算に板櫃川の河川改修費が含まれていること(p578)が分かった。
その後、当館所蔵の『伸びゆく小倉の歩みし跡』(昭和9年7月〜昭和9年12月の新聞切抜を集めたスクラップブック)に、「板櫃川付替工事」の記事を3つ見つけることができた。
掲載日、記事名は以下のとおり。
「昭和9年8月4日、板櫃川の改修 本日中に完成」
「昭和9年9月27日、新土地六萬坪 見事な新河川 板櫃川付替工事竣工」
「昭和9年10月7日、来賓二百名を迎へ 盛大に竣工式」
メモ書きで(九朝)との記載があったため、当館所蔵の朝日新聞九州版のマイクロフィルムを確認した。
なお、質問者のかたには、その他の参考文献として以下の資料提供した。
②について
『小倉城下町調査報告書』(p233)より、板櫃川流域に水害が多いことが読み取れる。
④について
『福岡県史 近代研究編〔1〕』から、土地区画整理事業に失業救済事業をからめた、との記述あり。
- 事前調査事項
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『北九州市史 近代・現代 産業経済 1』『北九州市史 近代・現代 産業経済 2』『小倉市誌 続編 』『小倉市誌 補遺』には記述無し。
『 板櫃川 北九州市の川』には改修の概要のみで、詳しい記述無し。
- NDC
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- 九州地方 (219)
- 河海工学.河川工学 (517)
- 参考資料
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小倉市立記念図書館/編 井手 伊親/編 . 伸びゆく小倉の歩みし跡 16 昭和9年 下. 小倉市立記念図書館, 1935年.
(当館請求記号 K211.3, 当館資料番号 1007010045984
(小倉記念図書館の井出氏による新聞スクラップ)) - 福岡県議会事務局/編集. 詳説福岡県議会史. 福岡県議会, 1957. (当館請求記号 K314/フ/3/1, 当館資料番号 0017948985)
- 北九州市産業史・公害対策史・土木史編集委員会土木史部会/編集. 北九州市土木史. 北九州市, 1998. (当館請求記号 A020/キ/, 当館資料番号 0015241417)
- 北九州市小倉北区役所まちづくり推進課/編集. 小倉城下町調査報告書. 北九州市小倉北区役所まちづくり推進課, 1997. (当館請求記号 K240.110/コ/, 当館資料番号 0013785183)
- 小倉市勢要覧 昭和9年版. 小倉市役所, 1934. (当館請求記号 K351.113/コ/34, 当館資料番号 1007010041231)
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小倉市立記念図書館/編 井手 伊親/編 . 伸びゆく小倉の歩みし跡 16 昭和9年 下. 小倉市立記念図書館, 1935年.
(当館請求記号 K211.3, 当館資料番号 1007010045984
- キーワード
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- 板櫃川
- 板櫃川付替工事
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000301921