レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2008/09/19 02:11
- 更新日時
- 2008/09/19 02:11
- 管理番号
- B2007F0974
- 質問
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解決
ギリシア時代の数学者であるエウドクソス(ユードクソス)が取り上げた「取り尽くし法」(積尽法)が実無限を使っていることについて書かれた本を紹介して欲しい。また、「取り付くし法」そのものについて書かれている資料を紹介して欲しい。
- 回答
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当館東京本館が所蔵する数学史に関する図書を調査しましたが、「エウドクソスが取り上げた「取り尽くし法」(積尽法)が実無限を使っている」という記述のある資料は見当たりませんでした。
当館NDL-OPACを件名「積分 歴史」やタイトル「古代数学史」で検索して得られた資料を確認しました。以下にエウドクソスの取り尽くし法と無限論に関する記述の部分を紹介します。【 】内は当館請求記号です。
『積分の歴史 : アルキメデスからコーシー,リーマンまで』(V.A.ニキフォロフスキー著 馬場良和訳 京都 現代数学社 1993 222p 【MA112-E87】)
“エウドクソスが開発した比例論と取りつくし法は,古代の数学に多くのあいまいさを持ち込んだ(物理的に存在する)実無限を拒否した.アリストテレスは書いている.「実無限を否定するわれわれの理論は,数学者たちから彼らの研究を取り上げたわけではなかった.彼らは,そうした無限を必要ともしなかったし,使いもしなかったではないか.彼らに必要なのは,彼らの欲するだけの長さの有限な曲線であって,数学者たちは,その最大の大きさと同じ比で他の任意の大きさを分割できるのである」”(p.6-7)
『微積分の歩んだ道』(安倍斉著 森北出版 1989 252p 【MA25-E42】)
“さて,ここで注意すべきことは,エウドクソスの創意による「取り尽くしの方法」と「2段階帰謬法(間接法)」による「ユークリッド原論」に見られる巧妙な証明法はその当時のギリシャ人の思考が有限の世界(注:原文のとおり)にとどまって無限の世界(注:原文のとおり)を回避するということから生まれたという事実である。”(p.10)
『数学の誕生 : 古代数学史入門』(近藤洋逸著 京都 現代数学社 1977 274p 【MA25-66】)
8.搾作法
“曲線図形の典型ともいえる円の求積が異常な困難をはらんでいたことは,前に述べたように,その厳密な求積が無限操作化するかもしれないところにあった.無限分割は不合理だとするゼノンの逆説は,その操作の困難を端的に示しているが,いったい操作を無限に続けることができるのであろうか.こうした困難を打開するのがエウドクソスである.
彼は無限操作に訴えることなしに求積する方法,後に“搾出法”(method of exhaustion)とか“取りつくし法”と呼ばれた方法を案出したのである.”(p.145)
NDL-OPACの最終アクセス日は2007年12月21日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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典拠:バナットタルスキー『パラドックス』
- NDC
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- 解析学 (413 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 取り付くし法
- 積分学 -- 歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 公共
- 登録番号
- 1000047445