以下の文章を提示
上野大輔「鑑賞曲こぼれ話 魔王」『中学生の音楽 1 研究編』p75
該当事項:「この歌にはもとになった詩の存在が知られています。…J.G.ヘルダーが、
1778年に出版した民謡集に収録されたデンマーク民謡「榛の木の王の娘」(Erlkönigs
Tochter)というものです。」
補足事項:同文章は、短いながら、「魔王」の成立についての複雑な事情が的確に述べ
られている。
◆最近の音楽教科書の有名曲の解説には、他では得られない情報が的確に述べられて
いる場合があるので、本件に限らず有名曲の検索・調査では準ツールとして外せない資料
となりつつある。
◆埼玉県立久喜図書館レファレンス事例(埼川-1999-083)「シューベルトの歌曲「魔王」(歌詞
ゲーテ)のもとになった話が詳しく書かれているものが見たい」
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000031302 には、大変参考
になるデータが掲載されている。
◆三上かーりん「ことばと解釈-ディトリヒ・フィッシャー=デイスカウのこと」『みすず』 2012.8月号
No.607 p.8 には、
元の詩[デンマーク語 Ellerkonge(妖精の王)]→ヘルダーの独訳[Erlkönig(はんの木の王)]→[誤訳
「はんの木の精霊」というイメージの広い受容]→ゲーテの詩[Erlkönig]→日本語訳「魔王」[デンマーク語
に近いが、ゲーテの木から精霊が浮かぶというイメージが抜け落ちる]という詩の翻訳や受容の問題点につ
いての極めて重要な指摘が見られる。(一段が長く引用できないが、原文[『みすず』掲載記事]の確認は本
件調査にとって必須と言える。)