レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/3/23
- 登録日時
- 2018/10/30 09:50
- 更新日時
- 2023/01/09 14:51
- 管理番号
- 中央-郷-2018-0040
- 質問
-
解決
広島銘菓「大石餅」の由来について知りたい。
- 回答
-
由来は諸説あるようです。
資料①~⑤には、赤穂浪士の一族または大石内蔵助の一族が餅屋を開業し作った餅がはじめであるとの記載がありました。
資料⑥には、大石内蔵助の妻が国泰寺の供養塔にお参りする際に備えた白い餅を戦前大石餅と呼んでいたとの記載がありました。
資料⑦~⑨、⑫には、大石餅は草津の名物で、播磨屋惣右衛門・お国という夫婦が餅商をはじめ、その店頭に大きな石があったことから大石餅と呼ばれていたとの記載がありました。
資料⑨、⑫には、「一説には寛保、延享のころ、播州赤穂の浪人寿平なる者来りて、現在の地にて播磨屋と称し売出せるを始祖とすと謂う」の記載がありました。
資料⑩には大石餅は「「オイシイ餅」にかかる」の記載がありました。
資料⑫には、「其の名の由来とする処は・・・巨石の家側に在ると、祖先の赤穂武士なるとに因るぞかし」の記載がありました。
- 回答プロセス
-
1. 自館所蔵資料を「大石餅」のキーワードで検索したところ、以下の資料が見つかりました。
①『ひろしまふるさと銘菓』 藤井 昭典/編 広学図書 1984年
p.116~117「大石餅 広島・大石餅本店」
「・・・赤穂浪士の一族がつくったことから「大石餅」と名付けられた。文政年間(一八一八~二九)の創業というから、広島では歴史のある餅菓子。・・・毎年、十二月の討ち入りの日や義士忌が近づくと、お茶の趣向によく使われて、品薄になるという。」の記載がありました。
②『和菓子彩彩』 仲野 欣子/著 淡交社 1996年
p.452「大石餅【大石餅本店】」
「大石内蔵助の二男が商人となって餅屋を開業したのが初めで、子孫があとを継いで商いを続けています。・・・」の記載がありました。
③『食の風俗民俗名著集成 1』 東京書房社 1985年
p.173「・・・まず広島に大石餅がある。これは四十七士の一人大石良雄の一族(初代良勝の二男)がこの地で餅を作ったのが、この餅のはじめである。」の記載がありました。
④『食の風俗民俗名著集成 10』 東京書房社 1985年
p.316~317「大石餅」
「・・・元禄忠臣蔵の総帥大石良雄の一族が創製したのでその名をとったものである。・・・この人が初代の大石内蔵助義勝であった。長男良雄は家督をつぎ、二男、三男は母に従って浅野候本家の広島に行き三男大三郎は藩主に従ったが、二男は商人となり郊外草津で餅屋を開業した。のち、広島に移住して「大石餅」と名のって現在まで続いている。・・・」の記載がありました。
⑤『日本の伝統産業 物産編』 通産企画調査会/〔編〕 通産企画調査会 1978年
p.569~570「大石餅」
「・・・大石良雄には二人の弟がいた。このお菓子の創始者である弟は、次男浅野家本来の広島に移って餅屋を開業した。・・・」 の記載がありました。
2. 自館所蔵資料を「菓子」のキーワードで検索したところ、以下の資料が見つかりました。
⑥『47都道府県・和菓子/郷土菓子百科』 亀井 千歩子/著 丸善出版 2016年
p.252「大石餅(広島市)」
「広島浅野家は赤穂浅野家の本家で、赤穂浪士討ち入りの後、広島浅野家に預けられた浪士の家族に大石内蔵助の妻がいた。妻は国泰寺の供養塔にお参りする際白い餅を供えていた。その餅が戦前「大石餅」とよばれ名物となった。戦争で途絶えたが、近年三河屋により復元された。江戸期からあった別の「大石餅屋」は1998(平成10)年に廃業した。」の記載がありました。
⑦『城下町ひろしまのお菓子』 広島県生菓子工業会 2013年
p.107~108「草津名物の大石餅」
「・・・この草津に大石餅という名物がありました。大石餅は文政年間に創業したと伝えられ、・・・名を大石餅というのは、文政年間に播磨屋惣右衛門・お国といふ夫婦が餅商を始めたとき、店頭に大石があったので名付けられました。・・・」の記載がありました。
3. 自館所蔵資料を「銘菓」のキーワードで検索したところ、以下の資料が見つかりました。
⑧『Grande ひろしま 2015年冬号』 グリーンブリーズ 2015年
p.44~45「地方の銘菓 和菓子と西国街道」
「・・・草津の町・・・旅人が楽しみにしていた餅屋があった。その店頭に大きな石があったことから「大石餅」と呼ばれていた。明治天皇、伊藤博文らが買いあげたとも伝えられるが、平成10年(1998年)に閉店となり、現在は駐車場となっている。・・・」の記載がありました。
4. 自館所蔵資料を「草津」のキーワードで検索したところ、以下の資料が見つかりました。
⑨『ガンス夜話 がんす横丁 完結篇』 薄田 太郎/著 薄田 純一郎/編 たくみ出版 1973年
p.67~69「大石のある店」
「・・・草津といえば大石餅・・・その名を大石餅と称するは、文政年間播磨屋惣右衛門お国と言う夫婦者小店の餅商を始め、店頭に大石ありしによりて名づけしに依ると謂ふ。・・・現代にては宇品、己斐などに支店を設け・・・(一説には寛保、延享のころ播州赤穂の浪人寿平なる者来りて、現在の地にて播磨屋と称し売出せるを始祖とすと謂う)・・・大石餅を売る店は己斐にもあったようにいわれているが、筆者の記憶では・・・大須賀町の吉川旅館の隣に忠臣蔵の大石を思わす二つ巴をあしらった絵看板が掲げられ・・・駅売りもあったように思う。」の記載がありました。
⑩『草津まち歴史の散歩道』第二版 草津まちづくりの会/編集 広島市草津公民館 2010年
「大石餅跡」
「草津の西の海岸端に大石があり、その石のそばの茶店で餅を作り「大石餅」として売っていた。大石餅の創業は文政年間(1818~1830・江戸時代)で、大石餅は「オイシイ餅」にかかる。・・・平成10年餅店は廃業された。」の記載がありました。
⑪『草津 20周年記念誌』 広島市草津公民館/編 広島市草津公民館 1996年
p.114「大石と大石餅」
「・・・草津の名産である大石餅を食べ・・・」の記載がありました。
⑫『草津案内』 草津町/編 草津町役場 1924年
p.26「大石餅」
「・・・大石餅は実に草津の名物・・・其昔寛保、延享の頃・・・播州赤穂の浪人壽平(姓不詳)なる人来りて現在の位置に播州屋と称して売出したるを大石餅の始祖とす(一説には文化年間・・・播州屋於國婆と云う人大石の側にて小店を開き、餅を商ひしに始まると伝ふるも何等文献の徴するもの無し或は関係あらむか)・・・其名の由来とする処は・・・巨石の家側に在ると、祖先の赤穂武士なるとに因るぞかし・・・現今は・・・宇品及己斐に支店を設け・・・」の記載がありました。
以下の資料では確認できませんでした。
・『和菓子百楽』 仲野 欣子/著 里文出版 1983年
・『大石理玖・国泰寺関係資料』 国泰寺/〔編〕 国泰寺 〔出版年不明〕
・『豊岡と大石内蔵助夫人』 内海 定治郎/著 瀬戸谷 晧/編 新訂 豊岡と大石内蔵助夫人復刻刊行会 2001年
・『赤穂事件と広島』 広島城/編 広島市市民局 2006年
・『市商連三十五年史 上巻』 広島市商店街連合会/〔編〕 広島市商店街連合会 1984年
・『ひろしまの商店街と観光』 広島市商店街連合会/編 広島市商店街連合会 1965年
- 事前調査事項
- NDC
-
- 食品.料理 (596 9版)
- 食品工業 (588 9版)
- 商業経営.商店 (673)
- 参考資料
-
-
藤井昭典 編 , 藤井, 昭典, 1929-. ひろしまふるさと銘菓. 広学図書, 1984. (ひろしま文庫 ; 5)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001813419-00 -
仲野欣子 著 , 仲野, 欣子. 和菓子彩彩 : 日本の銘菓1300選と伝統工芸の器. 淡交社, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002584464-00 , ISBN 4473015068 -
江馬‖務. 食の風俗民俗名著集成 1. 東京書房社, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I023450882-00 -
守安‖正. 食の風俗民俗名著集成 10. 東京書房社, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I023450891-00 -
通産企画調査会. 日本の伝統産業 物産編. 通産企画調査会, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001395490-00 -
亀井千歩子 著 , 亀井, 千歩子. 47都道府県・和菓子/郷土菓子百科. 丸善出版, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027025175-00 , ISBN 9784621089750 -
広島県生菓子工業会. 城下町ひろしまのお菓子 : 安芸国広島の城下、其繁華美麗なる事、大坂より西にてはならぶ地なし。. 広島県生菓子工業会, 2013.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025520874-00 , ISBN 9784990725907 -
薄田太郎 著 ; 薄田純一郎 編 , 薄田, 太郎 , 薄田, 純一郎. ガンス夜話 がんす横丁 完結篇. たくみ出版, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082558113-00 -
草津まちづくりの会 編集 , 草津まちづくりの会. 草津まち歴史の散歩道. 広島市草津公民館、広島市西区役所, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082298459-00 -
広島市草津公民館 編 , 広島市草津公民館. 草津 : 20周年記念誌. 広島市草津公民館, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I081816292-00 -
草津町 編 , 草津町. 草津案内 : 水産試験場支場開設記念. 草津町役場, 1924.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082357152-00
-
藤井昭典 編 , 藤井, 昭典, 1929-. ひろしまふるさと銘菓. 広学図書, 1984. (ひろしま文庫 ; 5)
- キーワード
-
- 大石餅
- 銘菓
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000244585