当館所蔵資料中で、昔の杣人の民俗について記述されているものは以下のとおり。ただし、年代が明らかでなく、伝統的なものを受け継いだと思われるものの、明治以降の近・現代のものを紹介した資料がほとんどである。藩政期の杣道具、服装等について明確に記された史資料は見当たらなかった。
『秋田杣子造材之図』 野添憲治/著 能代文化出版社 2001(651/ノア/郷)※質問中の「秋田杣子造材之画」の解説書。
『秋田杉への郷愁』 長岐喜代次/著 東北紙工KK東京工場 1969(650.2/ナア/郷)※p.118~121「杣夫の七つ道具」の項で、伐木に用いる道具、服装について説明されている。
『日本林業技術史の研究』 脇野博/著 清文堂 2006(652/ワニ/郷)※p.38~44「第三節 杣高と職人身分」の中で道具について言及されている(畿内地方の事例)、p.138~147「第二節 幕府武州御林における御用材伐出」の中で「斧」「(金偏に夫という漢字)」「前引(鋸)」という道具が出てくる(武州秩父郡の事例)。
『民具ものがたり』 田口清/著 無明舎出版 1983(383.9/タミ/郷)※p.28~39にかけて「木楔」「木挽き鋸」「大割斧」等、山仕事に関する工具が説明されている。
『秋田杉を運んだ人たち』 野添憲治/著 社会評論社 2006(652/ノア/郷)※大正・昭和期の林業従事者の聞き書き資料。
『菅江真澄』 田口昌樹/著 秋田文化出版社 1988(請求記号:380.1/タス/郷)※菅江真澄の紀行文に沿い各地の習俗を解説した資料。p.68~70の「木こり」の項、p.276~279の「杣夫の民具」の項で、山で炊事に使用する秤、杓子についての説明と図版が記載されている。工具については文章中に「一貫二百匁のまさかり」が登場する程度である。
上記資料はいずれも相互貸借可能。また、能代市にある「井坂記念館」(url:
http://www.city.noshiro.akita.jp/old/kankou/miru_asobu/kankou100/isaka/kinen.html)では、民俗資料、木材産業資料などの展示を行っており、昔の工具等についてもある程度分かるのではないかと思われる。