レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年05月26日
- 登録日時
- 2012/05/26 16:39
- 更新日時
- 2015/03/29 15:44
- 管理番号
- 愛知県図-03175
- 質問
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解決
犬に血液型はあるか。
- 回答
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資料1~5によると、ヒトの血液型にABO式・Rh式等があるようにイヌにも様々な血液型があり、代表的なものはDEA(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)式です。DEA式血液型の分類数は、資料により8、9、13種類以上と記載が異なっています。
また、輸血時に検査が求められる抗原として資料1、5では「DEA1.1,DEA1.2,DEA7」があげられていますが、動物病院等のウェブサイトなど(資料7~10)によれば、「DEA1.1が陽性か陰性か」のみを確認するのが通例となっているようです。
- 回答プロセス
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(1)図書
図書でNDC645(家畜)、649(獣医学)、489.56(動物学、イヌ)を調査。
資料1には「「犬の血液型についていくつかの分類方法が提唱されているが,現在最もよく用いられているのはDEA(Dog erythrocyte antigen)による分類である.抗血清によって,DEA1.1,DEA1.2,DEA3~8の項減退が存在する」との記述がある。輸血時の有害反応についてもふれられており、「供血動物の血液型として,DEA1.1,DEA1.2,DEA7抗原について陰性であることが求められる.」とある。
資料2~5に血液型についての記載があるがが、簡単な説明しかないものが多く、分類数も異なる。
[資料2] 「犬はDEA(dog erythrocyte antigen)1~8システムのほか、Dシステムなどが…」
[資料3] 「その型は厳密には13種類以上あるともいわれますが、日本では9種類に分類されています(国際的には8種類)。」
[資料4] 「犬には9つの血液型があるが、DEA1.1型、1.2型が最も重要である」
[資料5] (「臨床上重要と思われる主な血液型」として)「犬:DEA1.1 1.2 7」
レファレンス事例集を検索したところ、国立国会図書館作成のデータに「さまざまな動物の血液型(ABO式)が載っている本を探しています」という類似質問があった。回答中の資料で当館が所蔵している図書が1冊あり。
[資料5]
項目「イヌの血液型」に6つの式(方式)があり、そのうち「国際的に統一された赤血球型」として「DEA1.1,1.2,3…8」の8種類、続けて「N1…N8」の8種類が書かれている。
なおDEA式について、p201,202に「それぞれの研究者によって独自に開発された赤血球型を、国際ワークショップにおいて整理したイヌの血液型である」「DEAシステムは、今後さらに若干の追加や変更はあるものと予想される」とあり、出版されてから年月が経過しているため変更されていることも考えられる。
(2)インターネット
Googleで「イヌ 血液型」等を検索。資料8~11の4件には、図書よりも詳細な情報が掲載されている。
資料8、9は血液型が13種類とあるが、資料8には「DEA1.3」は入っていない。資料10は「DEA1.3」は入っているが9種類である。
[資料8]
「分類法としては国際的に犬赤血球抗原(Dog Erythrocyte Antigens:DEA)によるものが一般的です。このDEAと呼ばれる血液型分類は13の系列に分けられています。」として、「DEA1.1、DEA1.2、DEA3…DEA13」の記載あり。
また、「現在では「DEA1.1」というものに対して陰性か陽性かということで評価をすることが多くなってきています。」とあり、血液型検査の方法が画像入りで紹介されている。
[資料9]
「犬の血液型(DEA=Dog Erythrocyte Antigen=犬赤血球抗原)にはDEA1~13の13型がある。特にDEA1にある1.1、1.2、1.3の3つのサブタイプの中の、1.1が重要である。このDEA1.1が陰性であれば、ドナー(供血犬)として供与可能である。」
[資料10]
「犬の血液型は…(中略)…13種類以上あると言われています。そのほとんどは赤血球の表面に存在する複数の抗原タイプによって分類されますが、その中でも代表的なDEA(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)での分類が国際標準となっています。このDEA方式での血液型は、現在9種類(DEA 1.1、1.2、1.3、3、4、5、6、7、8)に分かれています。 」
「日本でも国際的に認知されている犬血液型判定キット(犬赤血球抗原:DEA1.1の有無を判定)が入手可能となり、ドナーとレピシエントの血液を混ぜて肉眼的に適合を評価するクロスマッチ試験結果と合わせてより詳しい適合判定ができるようになりました。」
[資料11]
「「適合輸血確保のための血液型判定および交差適合試験」
(GigerによるKirk’s Current Veterinary Therapy第13巻、pp396-399,BonaguraJ.編著、2000:日本小動物獣医師会要約)」として
「イヌの血液型は赤血球抗原に関連した12種類のグループシステムが報告されており、いわゆるDEA:Dog Erythrocyte Antigenに分類される。DEAは例えばDEA1、2やDEA3のように表され、それぞれについて陽性と陰性が存在する。」
(3)雑誌記事
国立国会図書館雑誌記事索引、CiNii Articlesで「イヌ 血液型」等を検索。
資料12を見つけたが、当館では掲載雑誌を所蔵しておらず内容は未確認。
- 事前調査事項
- NDC
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- 家畜.畜産動物.愛玩動物 (645 9版)
- 獣医学 (649 9版)
- 哺乳類 (489 9版)
- 参考資料
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【資料1】獣医内科学 小動物編. 第2版 文永堂出版 2014.10 p462
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I054948634-00 (1110971144) -
【資料2】新獣医学辞典編集委員会 編. 新獣医学辞典. チクサン出版社, 2008. p361
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009257320-00 , ISBN 9784885006548 (1109516264) -
【資料3】矢沢サイエンスオフィス 編 , 矢沢事務所. もっともくわしいイヌの病気百科 改訂新版. 学習研究社, 2007.p39
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008485939-00 , ISBN 9784054030671 (1109134912) -
【資料4】石田卓夫 著 , 石田, 卓夫, 1950-. 伴侶動物の臨床病理学. チクサン出版社, 2008.p112-113
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009630372-00 , ISBN 9784885006609 (1109573752) -
【資料5】長谷川篤彦, 山根義久監修 , 長谷川, 篤彦 , 山根, 義久. メルク獣医マニュアル 第8版. 学窓社, 2003-05.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000509067-00 , ISBN 4873621151 (1108669590) -
【資料6】レファレンス協同データベース:レファレンス事例「さまざまな動物の血液型(ABO式)が載っている本を探しています。」
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000082050 (最終確認日2015.2.19) -
【資料7】池本卯典, 向山明孝 編 , 池本, 卯典, 1930- , 向山, 明孝. 比較血液型学. 裳華房, 1985. p197-226
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001740326-00 , ISBN 4785359129 (1104209144) -
【資料8】「Topics 動物の血液」 とりい動物クリニック
http://www.torii-ac.com/topics/topics_200512.html (最終確認日2014.7.29) -
【資料9】「ペット豆知識No.45 救急疾患4 輸血・その1(2009年11月4日)」 たばる動物病院
http://tabaru.9syu.net/case/perm/86.htm (最終確認日2014.7.29) -
【資料10】「ペットクリニック病気と予防 Column 犬の輸血の現状[造血系]」 株式会社JPR
http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000129&CatgM=10 (最終確認日2014.7.29) -
【資料11】「獣医療におけるイヌ・ネコの血液型判定について」臨床獣医師のための情報フォーラム
http://www.ne.jp/asahi/takeuchi-vet/bamboo/page084.html (最終確認日2014.7.29) -
【資料12】「藤野泰人 「覚えておきたい!血液型と組み合わせ 輸血と血液型(特集 実践! 犬と猫の輸血)」
「Clinic note : journal of clinical daily treatment for small animals」 インターズー 9巻12号=101号 p6-10 2013.12 (未所蔵)
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【資料1】獣医内科学 小動物編. 第2版 文永堂出版 2014.10 p462
- キーワード
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- イヌ
- 犬
- 血液型
- 獣医学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000106507