レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年03月10日
- 登録日時
- 2010/03/13 08:59
- 更新日時
- 2010/12/16 15:52
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2010-004
- 質問
-
未解決
豊臣秀吉の河豚食用禁止令や江戸時代の河豚に関する禁止令の根拠となる史料が見たい。
- 回答
-
豊臣秀吉の河豚食用禁止令については、『図説魚と貝の事典』に「豊臣秀吉の朝鮮出兵の折、下関に参集した兵たちがフグ毒にあたり、落命者が続出した。そこで秀吉はフグの絵を描いた立て札に「この魚食うべからず」と、フグ禁止令を出したという」とあります。その他の百科事典などにも同様の記述がありますが、いずれも出典については明示されておらず、根拠となる史料については見つかりませんでした。
江戸時代の河豚に関する禁止令については、各藩でフグ食の禁止の取締りが行われ、その中でも特に長州藩と尾張藩の取締りが厳しかったようです。例えば、『藩法史料集成』所収の名古屋藩(尾張藩)の「盗賊之外御仕置御定」には「河豚魚致売買候者等咎品之事 河豚魚 捕来売捌候漁師 買取売捌候肴売 買請給候者 押込五日 右魚 貰ヒ請給候者 押込三日」とあります。
- 回答プロセス
-
(1)OPACで「河豚」で検索すると、『ふぐの文化』や『ふぐ百話』などがありました。これらに豊臣秀吉の河豚食用禁止令や江戸時代の河豚に関する禁止令についての記述はあったものの、その根拠となる史料については言及されていません。
(2)そこで、いくつか百科事典を調べてみると、豊臣秀吉の河豚食用禁止令について同様の記述がありましたが、根拠となる史料は示されていません。江戸時代の河豚に関する禁止令については、長州藩や尾張藩の取締りが特に厳しかったと記述しているものや、尾張藩の禁札(『大日本百科事典 第19』p.259)を紹介しているものもありました。
(3)豊臣秀吉の河豚食用禁止令については、文禄・慶長の役に関する資料や豊臣秀吉が発給した文書が年代順になっている『豊臣秀吉文書目録』などを調べてみましたが、見つかりませんでした。
(4)尾張藩の禁札については、『名古屋叢書』の法制編や『尾張藩公法史の研究』に収録されているのではないかと考えて索引で「河豚」を調べてみましたが、該当するものが見つかりません。そこで、書架で藩法関係の資料を探してみると、『藩法史料集成』に名古屋藩(尾張藩)の「河豚魚致売買候者等咎品之事」がありました。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 法制史 (322 9版)
- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
-
- 『図説魚と貝の事典』 望月賢二/監修 柏書房 2005年 p.332-333
- 『ふぐの文化』 青木義雄/著 成山堂書店 1999年 p.152-154,164-165
- 『ふぐ百話』 中原雅夫/著 西日本教育図書 1975年 p.88-89
- 『日本大百科全書 20』 小学館/[編] 小学館 1988年 p.161
- 『大日本百科事典 新版 第19』 小学館/編 小学館 1981年 p.258-259
- 『藩法史料集成』 京都大学日本法史研究会/編 創文社 1980年 p.48-57,239
- 『名古屋叢書 第3巻 法制編2』 名古屋市教育委員会/編 愛知県郷土資料刊行会 1982年 p.5-6
- 『尾張藩公法史の研究』 林董一/著 日本学術振興会 1962年
- キーワード
-
- ふぐ(河豚)
- 豊臣秀吉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000064604