レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年11月21日
- 登録日時
- 2013/01/25 14:22
- 更新日時
- 2013/03/21 13:35
- 管理番号
- 埼熊-2012-228
- 質問
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未解決
「竹箆(しっぺい)」という、宮中で用いられた刑(罰)具があるが、これ以外に宮中で刑具に用いられたものを知りたい。
- 回答
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「竹箆(しっぺい)」という禅宗で使用する道具、あるいは 「シッペイ」という罰についての記述はあったが、宮中との関係は確認できなかった。また、刑具については、歴史的な各種刑具は確認できたものの、それらの宮中での使用については確認できなかった。
〈竹箆(しっぺい)〉について調査
『日本民俗大辞典 上』(福田アジオ〔ほか〕編 吉川弘文館 1999)
p781〈シッペイ〉の項に、「ひとさし指となか指を揃えて相手の手首などを弾き打つこと。シッペともいう。(中略)シッペイの語は、禅宗で戒めに用いられる竹製の鞭、竹箆から来たものと考えられ。」とあり。 ※参考文献:『日本遊戯史』(酒井欣著 建設社 1935)
『日本遊戯史』(酒井欣著 建設社 1935)
目次には〈シッペイ〉〈竹箆〉の語なし。索引なし。
p674〈指抓(ハキ)〉の項に「シッペイは『異制庭訓往來』に、指抓と綴られている。これは人差指と中指とで相手の手の甲を打つのであって、(略)」またp869罰戯の項にも耳かけシッペイについての記述あり。 ※質問の内容とは異なる。
『日本を知る事典』(大島建彦〔ほか〕編 社会思想社 1971)
p590-591〈僧持物〉の項に、「禅僧の持物に如意(にょい)・払子(ほっす)・竹箆(しっぺい)などがあることもよく知られている。」「また禅僧の持物には警策(きょうさく)と竹箆があり、板や竹でつくった平棒で、座禅の眠気をさますためのものであるが、また禅僧の威儀をととのえる持物とされる。」とあり。
『世界大百科事典 12』(平凡社 2007)
p395〈しっぺい(竹箆)〉の項に、「禅家の用いる法具の一種。弓を半分に切ったような、竹製の〈へ〉の字形のもので、握りの部分に籐を巻き、多く漆塗りにする。〈しっぺい〉は漆箆の宗音とされる。」とあり。 ※刑具としての記述なし。
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 3』(ティビ-エス・ブリタニカ 1984)
p334〈竹箆(しっぺい)〉の項に、「禅宗で座禅のときに参禅者の指導に使用する竹製の道具。これで打ち驚かせて警覚を与える。」とあり。
『日本大百科全書 10』(小学館 1986)
p911〈竹箆(しっぺい)〉の項に、「禅宗で師家(しけ・禅の指導者)が修業僧を指導するために用いる仏具。(中略)現在では、修行僧の中の第一座(首座しゅそ)が、住持の命によって禅問答を取り交わす法戦式(ほっせんしき)に用いられる。」とあり。
〈刑(罰)具〉について調査
『世界大百科事典 8』(平凡社 2007)
p462-463〈けいぐ(刑具)〉の項あり。「刑罰に用いられる道具。拷問具や、在監者に対する懲罰用具、戒具を含めていうこともあり、この場合は獄具とも称する。」生命刑(死刑)・身体刑・自由刑・労役刑に分類。 ※竹箆について記述なし。宮中について触れていない。
『ブリタニカ国際大百科事典 6』(ティビ-エス・ブリタニカ 1984)
p439-441〈刑罰〉の項あり。竹箆や宮中について触れた記述なし。
『日本大百科全書 8』(小学館 1986)
p23-24〈刑具(けいぐ)〉の項あり。 「身体刑の主なものは笞・杖刑である。日本では、1853年(明治6)の改訂律例まではこれを刑種に採用しているが、80年の旧刑法では廃止した。新律綱領によれば、笞(むち)は竹片でつくったもので、長さ一尺八寸(54.5センチ)麻を入れて観世縒で巻く。」等の記述あり。竹箆・宮中について触れていない。
『平安時代史事典 本編 上』(古代学協会編 古代学研究所編 角川書店 1994)
p760〈刑罰〉の項あり。「律の基本刑は笞杖徒流死の五刑二十等である。笞と杖は、ともに木の細枝を以て受刑者の臀部を打つ刑で、笞は一〇より五〇、杖は六〇より一〇〇までおのおの五等ある。」とあり。〈シッペイ〉〈竹箆〉の項なし。
刑罰に関する資料を調査
『刑罰の歴史』(石井良助著 明石書店 1992)
p62奈良時代の笞・杖の罰について記述あり。〈シッペイ〉については記述なし。
p72平安時代について「刑種の変化としては、平安時代において、髠鉗の刑が行われたことが注目される。髠は剃髪すること、鉗は金属製の首枷であって、この刑は中国古代において行われたのであるが、平安時代に入って、これを模倣したのである。」との記述あり。
『平安時代史事典 本編 下』(古代学協会編 古代学研究所編 角川書店 1994)
p1623〈著釱政(ちゃくだのまつりごと)〉の項に次の記述あり。
「毎年5月と12月の吉日に検非違使官人が盗犯や私鋳銭などの輩(未決囚)を平安京の東西の市に引き出し、罪状を勘申し、著釱(鉄製の足かせでつなぐ)して獄舎に送る儀で年中行事。」
『(図説)日本拷問刑罰史』(柏書房 1996)
古代・中世・近世と分けて当時の刑罰と拷問を紹介しているが、〈竹箆〉〈宮中〉に関する記述なし。
p31-「杖の拷問」の節があり、p36「『和漢三才図会』(器用十二刑異説)によると、笞は竹、杖は何の木を用いたかわからないが荊の木を用いたとある。」とあり。
『和漢三才図会 4 東洋文庫 458』(寺島良安〔著〕 島田勇雄〔ほか〕訳注 平凡社 1986)
p374-「刑罰」の巻あり。〈笞杖(しもと)〉の項あり。ほかに道具として「鉗(くびかね)」「梏(てかし)」「桎(あしかし)」あり。 宮中で使用されたかは不明。『(図説)日本拷問刑罰史』に引用されている文章は確認できず。
『日本刑罰史蹟考』(重松一義著 成文堂 1985)
関連の記述なし。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 法制史 (322 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 刑罰-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000127402