レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年11月24日
- 登録日時
- 2014/09/14 17:00
- 更新日時
- 2018/04/07 16:08
- 管理番号
- 鎌中-2014076
- 質問
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解決
竜の指の数の意味を知りたい。日本と中国で違うのか?
- 回答
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中国では位(象徴する人)によって決まりがあったようだが、日本では位というより時代によって違い、室町時代以降に「妖怪めいたものの指の数」として三本に定まってきたようです。
◆中国
「皇帝の竜のみが、足に5つの鈎爪を持って描かれた。王子クラスでは鈎爪が4つ、宮廷の役人たちは3つの鈎爪しか許されなかった」
(『世界の神話百科 東洋編』)
「一見すると龍だが、皇帝の龍よりランクの低い蠎龍なのだ。爪の数を見ると確かに四本しかない」
(『図説 竜の歴史大事典』)
「指は五本が正しく、これは中国では皇帝の龍のデザインのしるしであったために、王侯貴族の龍の指は四本である」
(『図説 日本未確認生物事典』)
「中国では、大昔から龍は皇帝の象徴でしたので、一般庶民が龍を利用する(衣服の模様や家屋や調度品など)ことは禁じられていましたが、後世になって緩和されても、5本爪は皇帝のみが使用すると定められました。そうした理由で庶民は、3本爪を使用するようになりました」
(『龍の絵入門』)
◆日本
「鬼などの妖怪が三本指のため、妖怪視された近世の龍は三本の指であり、これが一般的となった」
(『図説 日本未確認生物事典』)
「中国の龍は足の指が三本なのに対して、日本では四本の指をそろえて書かれたものが多い」
「奈良時代の龍の指は鷲の脚をかたどったもので、指の数は五本、四本、三本と時によって異なっていたが、平安時代の龍は必ず四本で、熊手状に指がそろえられている。これが鎌倉時代になると四本、三本となり、室町時代以降は三本となる。鬼の指も室町時代には三本で、こうした妖怪めいたものの指は三本に定則化されていく」
(『図説 竜の歴史大事典』)
- 回答プロセス
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①神話・伝説の本を見る。
②民俗学の本を見る
③実際に絵を描く人が指の数が分からないと困るはずなので、7門の水墨画の本や、シンボル・モチーフを扱った本を見る。
- 事前調査事項
- NDC
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- 神話.神話学 (164 8版)
- 伝説.民話[昔話] (388 8版)
- 芸術理論.美学 (701 8版)
- 参考資料
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『図説 日本未確認生物事典』 笹間良彦 柏美術出版 1994 【R 388.1】
P78 龍蛇類の変化 -
『世界の神話百科 東洋編』 レイチェル・ストーン 山本史郎・山本泰子訳 原書房 2000【R 164.2】
p422 -
『図説 竜の歴史大事典』 笹間良彦 遊子館 2006 【R 388】
P73 P105 P120 -
『世界の怪物・神獣事典』 キャロル・ローズ 村松一男監訳 原書房 2004 【R 388.0】
p282 東洋の龍 - 『図説 世界シンボル事典』 ハンス・ビーダーマン 藤代幸一監訳 八坂書房 2000 【R701】
- 『龍の話』 林巳奈夫 中央公論社 1993 【388】
- 『龍を描く 新装版』 寺野丹齋 日賀出版社 2008 【724.1】
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『龍の絵入門 新装版』 干場哲鳳著 水野渥発行 耕文社 2008 (県内他館から借用)
p26 龍の足
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『図説 日本未確認生物事典』 笹間良彦 柏美術出版 1994 【R 388.1】
- キーワード
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- 龍
- 竜
- 指
- 神獣
- 妖怪
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000159782