レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年8月25日
- 登録日時
- 2016/11/29 12:46
- 更新日時
- 2016/12/27 09:49
- 管理番号
- 千葉中央084
- 質問
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解決
1865年設立の横浜仏語伝習所について、日々の生活等の記録・日記・関連記事はあるか。(メールによる質問)
- 回答
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横浜仏語伝習所に関する記事等の掲載が確認できた資料は下記の通り。
1 「横浜フランス語学所」
(『日仏文化交流史の研究 日本の近代化とフランス 増訂版』、P291~341、西堀 昭/著、駿河台出版社、1988年)
*横浜仏語伝習所に関して、「5.組織(教員.伝習生)」、「6.カリキュラム.学校規則」等の項目があり、当時の学校の様子を知ることができる。
「6.カリキュラム.学校規則」に勝安芳(勝海舟)の『陸軍歴史』下巻からの引用がある。
『陸軍歴史』下巻は当市の所蔵資料では『勝海舟全集』17巻(勁草書房、1977)に収載されており、「仏語伝習生人名の上申」(P229~236)、「仏語学校の規則」(P236~237)、「寄宿所規則」(P237~238)等が収録されている。
2 『幕末教育史の研究 2 諸術伝習政策』(倉沢 剛/著、吉川弘文館、1984.2)
*「第一章 幕末の語学伝習」の「第三節 横浜表のフランス語伝習」(P42~79)に「一 横浜語学所(仏学所)の開設」、「二 フランス語伝習生の横浜表派遣」、「三 フランス語伝習生を諸向へ派遣」という項目があり、当時の文書が複数引用されている。
3 『横浜ふらんす物語』(富田 仁/著、白水社、1991.11)
*「第二章 横浜仏蘭西語伝習所」(P39~55)に「1 横浜仏蘭西語伝習所の設立」、「2 メルメ・カションの足跡」という項目がある。
4 『ガス灯と赤い靴 横浜開化物語』(富田 仁/著、秋山書房、1984)
*「第五章 キリスト教と学校」に「横浜仏語伝習所」(P110~116)の項目がある。
学校の設立、授業内容、生徒の進路等についての記載がある。
5 『日本史のなかのフランス語 幕末明治の日仏文化交流』(宮永 孝/著、白水社、1998.5)
*「第三章 日本におけるフランス学」に「横浜のフランス学-横浜仏語伝習所」(P96~104)の項目がある。
学校の設立、教師、カリキュラム等についての記載がある。
6 『日本洋学史 葡・羅・蘭・英・独・仏・露語の受容』(宮永 孝/著、三修社、2004.6)
*「第五章 法朗西学-ドイツ語に続くフランス語」の「日本におけるフランス学」(P354~356)で横浜仏語伝習所について触れられている。
7 『サムライと横文字』(惣郷 正明/著、ブリタニカ出版、1977)
*「第六章 開国を迎えた洋学」の「横浜の英・仏学校」(P155~161)で横浜仏語伝習所について触れられている。
- 回答プロセス
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自館蔵書検索システムでキーワード「横浜仏語伝習所」、「横浜フランス語伝習所」、「仏語伝習所」、「フランス語伝習所」で全項目検索を行うが、該当なし。
利用者の事前調査資料『メルメ・カション 幕末フランス怪僧伝』を所蔵していたので内容を確認。参考文献の所蔵調査を行い、『横浜ふらんす物語』が見つかる。
『横浜ふらんす物語』の件名「横浜市-歴史」で検索。該当資料を調査し『ガス灯と赤い靴 横浜開化物語』が見つかる。
『国史大辞典』で「横浜仏語伝習所」を調査。『国史大辞典 12 ふ-ほ』(国史大辞典編集委員会/編、吉川弘文館、1991.6)の「仏蘭西学」の項目中に記述があり。この項目の参考文献から『日仏文化交流史の研究』が見つかった。また、『日仏文化交流史の研究』の記述内容から、『勝海舟全集 17』をあわせて紹介することとする。
自館検索システムでキーワード「仏蘭西学」及び「フランス学」で検索するが、所蔵資料では関連がありそうな資料はなし。
検索エンジンで「仏蘭西学」で検索。ウィキペディアの記事がヒットし、記述内容から「洋学」というキーワードを得る。
自館検索システムにてキーワード「洋学」で検索。該当資料の中から『日本洋学史』、『サムライと横文字』が見つかる。
これまでに見つかった資料の著者名や同一件名で再度、検索を試みる。
著者名「宮永孝」で検索したところ、『日本史のなかのフランス語 幕末明治の日仏文化交流』が見つかる。
同じ著者の資料で『プリンス昭武の欧州紀行 慶応3年パリ万博使節』(宮永 孝/著、山川出版社)があり。
『ガス灯と赤い靴 横浜開化物語』によると、横浜仏語伝習所の卒業生が徳川昭武のパリ万国博覧会でのナポレオン三世との会見の折、通訳を務めたり、随員として参加したとの記述があり。
『サムライと横文字』及び『日本史のなかのフランス語』に横浜仏語伝習所で教鞭をとったカションが徳川昭武のパリ万国博覧会参列の際に通訳や世話をしたという記述があり。
調査内容と関連が深そうなので目次を確認するが、横浜仏語伝習所に関する記述はないようだった。参考文献を見ると『幕末教育史の研究 2』があった。
横浜仏語伝習所の設立に関わった人物に、当時のフランス公使のレオン・ロッシュ、小栗上野介、栗本鋤雲が挙げられる。
これらの人物の伝記を調査したが、横浜仏語伝習所に関する記述量は少なく、内容も既に調査済の資料と重複し、ご質問の趣旨とも合わないため紹介しなかった。
以下は紹介しなかった資料。
・『幕末日本とフランス外交』(鳴岩 宗三/著、創元社、1997.5、P111~114)
・『小栗上野介』(村上 泰賢/著 平凡社、2010.12、P150~152)
・『幕末開明の人 小栗上野介』(市川 光一/著、東善寺、1994.10、P85~87)
・『栗本鋤雲』(小野寺 龍太/著 ミネルヴァ書房、2010.4、P136~138)
- 事前調査事項
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『メルメ・カション 幕末 フランス怪僧伝』(富田 仁/著、有隣堂、1980.4)
- NDC
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- 研究法.指導法.言語教育 (807 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 教育史.事情 (372 9版)
- 参考資料
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西堀昭 著 , 西堀, 昭, 1934-. 日仏文化交流史の研究 : 日本の近代化とフランス 増訂版. 駿河台出版社, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002069278-00 , ISBN 441102036X - 勝海舟全集 17 陸軍歴史 勝 海舟/著 勁草書房 1977
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倉沢剛 著 , 倉沢, 剛, 1903-. 幕末教育史の研究 2 (諸術伝習政策). 吉川弘文館, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001665081-00 , ISBN 4642032525 -
富田仁 著 , 富田, 仁, 1933-. 横浜ふらんす物語. 白水社, 1991.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002144782-00 , ISBN 456002863X -
富田仁 著 , 富田仁. ガス燈と赤い靴 : 横浜開花物語. 秋山書房, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I003546625-00 -
宮永孝 著 , 宮永, 孝, 1943-. 日本史のなかのフランス語 : 幕末明治の日仏文化交流. 白水社, 1998.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002690659-00 , ISBN 4560028109 -
宮永孝 著 , 宮永, 孝, 1943-. 日本洋学史 : 葡・羅・蘭・英・独・仏・露語の受容. 三修社, 2004.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007372581-00 , ISBN 4384040113 -
惣郷 正明/著 , 惣郷‖正明. サムライと横文字. ブリタニカ出版, 1977.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I004292514-00
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西堀昭 著 , 西堀, 昭, 1934-. 日仏文化交流史の研究 : 日本の近代化とフランス 増訂版. 駿河台出版社, 1988.
- キーワード
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- 横浜仏語伝習所
- フランス語
- 洋学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000200589