レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/06/01
- 登録日時
- 2020/08/02 00:30
- 更新日時
- 2020/08/16 10:21
- 管理番号
- 秋田-2487
- 質問
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解決
島崎藤村の『夜明け前』に平田延胤が秋田より伊那路を通行した記載箇所がある。随行者として鈴木新八郎、村田興之助、松浦友造の名前の記載があるが、各人の姓名が資料により異なっている。人物の姓名、略歴の調査、御地と『夜明け前』との関連資料や調査した論文の有無の調査もお願いしたい。
- 回答
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下記資料を案内。
①『平田篤胤と秋田乃門人』(桐原善雄/編、1976、A289/768)資料番号:110716628
②『気吹舎門人姓名録、上』(井上頼圀/校補、無窮会、〔明治年間〕写、12-ヘイセイ/1/420)資料番号:128975018
③『気吹舎門人姓名録、下』(井上頼圀/校補、無窮会、〔明治年間〕写、12-ヘイセイ/1/421)資料番号:128975026
④『歴史のなかの『夜明け前』、平田国学の幕末維新』(宮地正人/著、吉川弘文館、2015、121/ミレ/郷)資料番号:124504275
⑤『信州木曽贄川宿における平田篤胤没後門人について、草莽層形成の問題』(百瀬完治/編、A121/77)資料番号:110715323
⑥『知の共鳴、平田篤胤をめぐる書物の社会史』(吉田麻子/著、ぺりかん社、2012、121/ヨチ/郷)資料番号:124476862
⑦『幕末国学の展開』(芳賀登/著、塙書房、1963、A121/10)資料番号:110715166
⑧『明治維新と平田国学、特別企画』(人間文化研究機構国立歴史民俗博物館/編集、2004、121/コメ/郷)資料番号:128977972
⑨『論集島崎藤村』(島崎藤村学会/編、おうふう、1999、910.26/シロ)資料番号:121502439
⑩『木曽路文献の旅、〔正〕、『夜明け前』研究』(北小路健/著、芸艸堂、1977、910/803/1)資料番号:110631850
⑪『木曽路文献の旅、続、『夜明け前』研究』(北小路健/著、芸艸堂、1975、910/803/2)資料番号:110631868
⑫『雄勝年代記、大河上流筋を辿る』(湊寧/著、技術出版、1988、214.9/ミオ/郷)資料番号:124038753
- 回答プロセス
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所蔵資料検索にて“平田 門人”でキーワード検索。
下記資料該当。
①『平田篤胤と秋田乃門人』(桐原善雄/編、1976、A289/768)資料番号:110716628
→ P21 「二、秋田の門人」“桜田誠一郎”の個所に、気吹舎門人帳によれば、文久元年九月十九日に十九人と多くを紹介した物初である、その十九名の中に鈴木鉞助の名前記載あり。
桜田誠一郎が白川学校の学頭であったため白川家に文久二年三月入門、慶応四年に院内銀山、佐藤三右衛門、鈴木酉松、伊勢八兵衛、村田善左衛門、山本重五郎、松浦友蔵の六人を紹介し入門させている。平田門人で白川家に入門したものもいるとの記載あり。
→ P41・46・47・51 「没後の門人」の個所に以下の人物についての記載個所あり。
・(P41)入門年月日:嘉永三年三月 氏名:鈴木正右衛門(重則) 年令:四七 紹介者:村井正儀 備考:秋田山本郡鹿渡村
・(P46)入門年月日:文久四年九月十九日 氏名:鈴木鉞助 年令:二八 紹介者:桜田豊成 備考:秋田久保田
・(P47)入門年月日:慶応四年二月十五日 氏名:鈴木酉松(種重) 年令:二八 紹介者:村田興昌 備考:出羽国院内銀山
・(P47)入門年月日:慶応四年二月十五日 氏名:松浦友蔵(章) 年令:二一 紹介者:村田興昌 備考:出羽国院内銀山
・(P47)入門年月日:慶応四年二月十五日 氏名:村田忠三郎(景臣) 年令:二八 紹介者:村田興昌 備考:出羽国院内銀山
・(P47)入門年月日:慶応四年正月二九日 氏名:村田善左衛門(興昌) 年令:二五 備考:出羽国院内銀山
・(P47)入門年月日:慶応四年正月二七日 氏名:鈴木勇助(重政) 年令:二五 紹介者:辻吉忠 備考:出羽国山本郡鹿渡村
・(P51)入門年月日:慶応四年十二月 氏名:鈴木宇吉(重範) 年令:三八 備考:出羽国秋田久保田
・(P51)入門年月日:慶応四年十二月 氏名:鈴木松太郎(重長) 年令:十五 備考:出羽国秋田久保田
所蔵資料検索にて“気吹舎 門人”でキーワード検索。
下記資料該当。
②『気吹舎門人姓名録、上』(井上頼圀/校補、無窮会、〔明治年間〕写、12-ヘイセイ/1/420)資料番号:128975018
→ P66 秋田山本郡鹿渡村 嘉永三年三月六日 村井正儀紹介 鈴木正右衛門(穂積重則) 四十七歳
→ P119 信濃国伊奈郡飯田 後伊勢国川崎 文久三年三月三日 岩崎長世紹介 久保田禎造(信道)小川民五郎改 十七歳
→ P140 秋田久保田 元治元年九月十九日 櫻田豊成紹介 鈴木鉞助 二十八歳
→ P154 下總国相馬郡門倉村 慶應元年六月十九日 木村重義紹介 門倉宗之助(正良) 二十歳
〃 下總国相馬郡門倉村 慶應元年六月十九日 木村重義紹介 門倉俊蔵(光治) 十九歳
→ P157 武蔵国葛飾郡 慶應元年八月十四日 島村政次郎
→ P201 信濃国佐久郡落合村諏訪大明神主 慶應三年十月八日 柏原重禧紹介 水野丹波(藤原保豊)
→ P203 信濃国飯田 慶應三年十一月十五日 北原信質紹介 上柳益太郎(藤原久嗣) 十九歳
→ P210 武蔵国葛飾郡藤塚村 慶應四年正月十一日 政治政一兄 嶋村喜久太郎(道弘)二十五歳
〃 下總国相馬郡河原代邑 慶應三年十二月 門倉正一郎(正雄)二十四歳
→ P216 出羽国院内銀山 慶應四年二月十五日 村田興昌紹介 鈴木酉松(穂積稲重)三十八歳
〃 出羽国院内銀山 慶應四年二月十五日 村田興昌紹介 松浦友蔵(源章) 二十一歳
〃 出羽国院内銀山 慶応四年二月十五日 村田興昌紹介 村田忠(仲)三郎(源景臣) 三十八歳
→ P217 出羽国院内銀山 慶応四年二月十九日 村田善左衛門(源興昌) 二十五歳
〃 出羽国山本郡鹿渡村 明治元年正月廿七日 辻吉忠紹介 鈴木勇助 二十五歳
③『気吹舎門人姓名録、下』(井上頼圀/校補、無窮会、〔明治年間〕写、12-ヘイセイ/1/421)資料番号:128975026
→ P67 出羽国秋田久保田 明治元年十二月 鈴木宇吉(穂積重範) 三十八歳
〃 出羽国秋田久保田 明治元年十二月 鈴木松太郎(穂積重長) 十五歳
「亡胤影枠 宮和田太郎 輝胤」の個所に以下の記載あり。
→ P15 羽後秋田久保田 明治二年八月 鈴木宇吉(穂積重範)
〃 羽後秋田久保田 明治二年八月 鈴木松太郎(穂積重長)
秋田県と『夜明け前』の関連資料は確認することができなかったが、『夜明け前』と平田学に関係する資料を確認することができたので、下記資料も案内。
NDC分類121(日本思想)に関する書架をブラウジング。
下記資料該当。
④『歴史のなかの『夜明け前』、平田国学の幕末維新』(宮地正人/著、吉川弘文館、2015、121/ミレ/郷)資料番号:124504275
→ 『夜明け前』の舞台である東美濃・南信州地域の豪農商たちの真の姿や、歴史的背景について書かれた資料。
→ P21 京都を文久三年三月十五日に出立、江戸に向かうが、帰路を中山道にとったため、三月二一日には中津川の間秀矩宅に泊り、この正月に入門した間一太郎を始めとする門人達は、島崎正樹も含め、師を囲むこの場に集まったとの記載あり。
→ P29 慶応四年(1868)一月六日入京、延胤は佐竹藩に随って一端秋田に入り、そこから日本海側を経て越後に出、信州を一路南下、伊那谷の門人達を訪問した上で、三月一〇日清内路に宿し、十一日には馬籠の島崎正樹方に立寄り、同日の夜は中津川の間家に宿泊して京に入ったとの記載あり。
→ P185 東農・南信の平田門人達が事態の真相と赤報隊と平田国学との深い関係を知るようになるのは三月三日の惨劇の直後からのことである。まず平田延胤一行が秋田から上京、伊那路から中津川に入るのが三月五日(小野村泊り)から三月十一日(間秀矩宅泊)のこと、その一行の中に延胤熟知の平田門人で薩邸屯集組、後述の二月一七日、信州追分戦争での北信諸藩の捕縛をかろうじてのがれ、強運にも通りの延胤一行の中にもぐり込ませてもらった水野丹波の姿があったとの記載あり。(明治二年)
⑤『信州木曽贄川宿における平田篤胤没後門人について、草莽層形成の問題』(百瀬完治/編、A121/77)資料番号:110715323
→ 「信州木曽贄川宿における平田篤胤没後門人について(二)ー草莽層形成の問題ー」百瀬宗治の箇所に、信州(贄川宿)の人々が平田学を選択していった歴史・社会的背景についての記載あり。『信濃 第26巻 第12号』に掲載資料。
⑥『知の共鳴、平田篤胤をめぐる書物の社会史』(吉田麻子/著、ぺりかん社、2012、121/ヨチ/郷)資料番号:124476862
→ P310-347 第四章「幕末維新の東信州と平田国学」
地方門人と書物の流れを中心として、東信州のを中心とした幕末から維新期の平田学派についての記載あり。
(P316-317)史料2 慶応四年三月十一日、中津川宿間家来訪者名簿の箇所に以下の記載あり。
三月十一日 平田延太郎
隋従 出羽秋田院内銀山 鈴木新八郎 大男 三十二夕
〃 同 村田興之助
〃 同 松浦友造
〃 武州葛飾郡藤塚村 嶋村政治
〃下総国北相馬郡門倉村 門倉昇一良
〃 信州岩村田在 水野丹波
〃 同国飯田 上柳桝太郎
〃 同 久保田貞造
⑦『幕末国学の展開』(芳賀登/著、塙書房、1963、A121/10)資料番号:110715166
→ P116-154 「第二節 幕莽国学の展開とその社会的基盤」の箇所に、近代国学と伊那谷との関係や、伊那谷への平田学の侵入、伊那谷における平田国学者の運動についての記載あり。
→ P256-271 付章「二「夜明け前」と草莽の国学」の箇所に、島崎藤村の『夜明け前』が書かれた背景や、島崎の『夜明け前』が伊藤多三郎や羽仁五郎に大きな影響を与えたことについての記載あり。
⑧『明治維新と平田国学、特別企画』(人間文化研究機構国立歴史民俗博物館/編集、2004、121/コメ/郷)資料番号:128977972
→ P64-67 「十三『夜明け前』の世界の平田国学」の箇所に、信州伊那郡に平田国学が浸透していった経緯や、地域の人々との書状のやりとり、一八六三年三月下旬、銕胤・延胤父子が中山道経由で江戸に戻る途次の中津川で、島崎正樹が二人に直接対面している記載あり。
NDC分類910(日本文学)、NDC分類910.26(日本文学 近代:明治以後.作家の伝記[作家研究])に関する書架をブラウジング。
下記資料該当。
⑨『論集島崎藤村』(島崎藤村学会/編、おうふう、1999、910.26/シロ)資料番号:121502439
→ P28-43 「藤村と父 島崎正樹ー『夜明け前』の青山半蔵の形象を中心にー」鈴木昭一の箇所に、藤村にとっての父の存在、青山半蔵の形象について、藤村の小説・エッセイ、正樹の自筆遺稿類をもとに鈴木昭一氏の論考の記載あり。
→ P44-60 「『夜明け前』にみる半蔵の狂と国学思想」高阪薫の箇所に、藤村の国学思想に対する考えが『夜明け前』で半蔵をとうしてどのように表現しているのか、半蔵の狂に触れているいるものに限定して採り上げ、高阪薫氏の論考の記載あり。
⑩『木曽路文献の旅、〔正〕、『夜明け前』研究』(北小路健/著、芸艸堂、1977、910/803/1)資料番号:110631850
→ P121-160 第三章「『夜明け前』のモデル達」の箇所に、『東行日記』や島崎正樹歎願書、書簡などがどのように作中の文章に変化していったのか、実際に小説の文章を列挙しながら北小路健氏の見解記載あり。小説のモデルになった重要人物の紹介もあり。
→ P209-248 第五章 「天狗党・赤報隊」の箇所に、『夜明け前』の文中や門人同士の書簡や日記を列挙しながら、天狗党・赤報隊の動向についての記載あり。
→ P257-273 第六章「忘れられた国学者」の箇所に、藤村がこの人物をしっていたら『夜明け前』に何らかの役割を持って登場したにちがいないと思われる林彦右衛門についての記載あり。『夜明け前』の冒頭文の出典についての記載もあり。
⑪『木曽路文献の旅、続、『夜明け前』研究』(北小路健/著、芸艸堂、1975、910/803/2)資料番号:110631868
→ 上記資料『木曽路文献の旅、〔正〕、『夜明け前』研究』の続巻にあたる。書簡や日記等の資料と『夜明け前』との関連性と、藤村に対する北小路健氏の考察が中心の資料。
院内出身の門人が多かったため、雄勝郡に関する書架をブラウジング。
下記資料該当。
⑫『雄勝年代記、大河上流筋を辿る』(湊寧/著、技術出版、1988、214.9/ミオ/郷)資料番号:124038753
→ P193-201 「四 平田国学と院内門人衆」の箇所に、院内での平田国学の広がりや実態、「気吹舎門人帳」(県南出身者)の記載などもあり。門人帳の箇所に鈴木西松、松浦友蔵、村田忠三郎、村田善左衛門の記載あり。
下記資料も確認したが、記載箇所確認できず。
『平田国学と近世社会』(遠藤潤/著、ぺりかん社、2008、121/エヒ/郷)資料番号:124398678
『宮負定雄と平田国学、東総の改革者たち』(宇井邦夫/著、巌松堂出版、2008、121/ウミ/郷)資料番号:124402447
『平田国学の霊魂観』(小林威朗/著、弘文堂、2017、121/コヒ/郷)資料番号:124538950
『信州木曽贄川宿における平田篤胤没後門人について、草莽層形成の問題』(百瀬宗治/編、A121/77)資料番号:110715323
『言語と主体ー平田篤胤とその門人たちー』(清水多吉/著、A121/67)資料番号:110715331
『幕末維新期の社会的政治史研究』(宮地正人/著、岩波書店、1999、210.58/ミバ)資料番号:121425888
『平田篤胤研究』(渡辺金造/著、鳳出版、1978、289/ワヒ/郷)資料番号:124016163
『平田篤胤大人年譜』(奥田達雄/編、1942、A289/255)資料番号:111745667
『日本の近世、18』(中央公論社、1994、21-ミウラ/1336)資料番号:128467974
『長野県文学全集、第3期 現代作家編 第9巻』(郷土出版社、1990、918.6/アナ3-9)資料番号:120650643
『秋田県史』第3巻、第4巻、第5巻
- 事前調査事項
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『新修平田篤胤全集、別巻』(平田篤胤/著、名著出版、2001、121/ヒヒ/16/郷)資料番号:124276932
- NDC
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- 歴史 (2)
- 哲学 (1)
- 文学 (9)
- 参考資料
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- 平田篤胤と秋田乃門人桐原善雄/編桐原善雄
- 気吹舎門人姓名録上井上頼圀/校補無窮会
- 気吹舎門人姓名録下井上頼圀/校補無窮会
- 歴史のなかの『夜明け前』宮地 正人/著吉川弘文館
- 信州木曽贄川宿における平田篤胤没後門人について百瀬宗治/編
- 知の共鳴吉田 麻子/著ぺりかん社
- 幕末国学の展開芳賀登/著塙書房
- 明治維新と平田国学人間文化研究機構国立歴史民俗博物館/編集人間文化研究機構国立歴史民俗博物館
- 論集島崎藤村島崎藤村学会/編おうふう
- 木曽路文献の旅〔正〕北小路 健/著芸艸堂
- キーワード
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- 平田延胤(ヒラタノブタネ)
- 平田門人(ヒラタモンジン)
- 島崎藤村(シマザキトウソン)
- 気吹舎(イブキノヤ)
- 夜明け前(ヨアケマエ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵・所在調査
- 内容種別
- 高齢
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000285212