【資料1】の「第五章 信仰(上) 第三節 民間信仰 ニ 憑きもの・妖怪伝承 1 憑きもの伝承」(p812-825)に愛媛県内における憑き物の伝承の概略がまとめられている。小松町の事例は記されていない。愛媛県生涯学習センター「えひめの記憶」で該当箇所をウェブ上で見ることができる。
http://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/49/view/6555【資料2】の「民俗編 第三章 民話」(p1566-1586)には憑き物の事例の記載なし。
【資料3】には、「周桑郡小松町では鼠のようなもので、家人には見えるが他人には見えぬ、常に家族の数と一致しており、家族が増せば犬神も増す。嫁が行けば一匹ついて行ってたちまち実家の場合と同数になる。犬神のいる家は永久に犬神で消えることはない。家人が物欲しいと思えばただちに犬神が出て行って憑く。しかし犬神はすこぶる不従順で、時としては逆に家人を噛み殺すことがあるといっている(郷土研究一の二)。」(p59)とある。この「郷土研究一の二」とは、【資料1】の「付録 愛媛県民俗学関係文献目録稿」によると、「犬神に就いて 愛媛県小松町青年会 郷土研究1-2 郷土研究社 1913」のことである。
【資料4】の「Ⅳ 信仰伝承 第3章 民間信仰の実態 2 憑きもの伝承」(p220-227)に宇和郡の山犬、エンコ・カワウソ、狸・蛇、夜雀について記されている。なお、この資料は国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、「図書館送信参加館」で見ることができる。
・国立国会図書館デジタルコレクションの書誌情報<
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9543943>
・図書館送信参加館一覧<
http://dl.ndl.go.jp/ja/soshin_librarylist.html>
以下、県内の市町村史で関連する記述があったものを挙げる。
【資料5】の「民俗編 第二章 精神生活・芸能行事などの伝承 第一節 信仰」に、「四、祟り神信仰、憑きもの伝承」(p1028-1036)があり、動物の憑きもの(山犬、エンコ・カワウソ、狸・狐、夜雀、蛇)、憑き神様(山の神サマ、柴おり様、ヒダル神様)について書かれている。
【資料6】の「第七編 民俗 第三章 俗言・俚諺・風習」の「一 俗信」の「その他」の項に、「4 犬神使い、蛇使いの家というのがある」(p649)とだけ記されている。
【資料7】の「第四編 分野別 第八章 宗教」に「憑き物」「憑き神」(p769-771)の項があり、「憑き物」では山犬、エンコ・カワソ(カワウソ)、狸・狐・蛇、ノツゴ、ノガマ、海坊主について、「憑き神」ではオシオリサマ・柴折様、ジキトリ・ガキボトケについて書かれている。
【資料8】の「第七編 民俗 第二章 人の一生」の「第二節 婚姻」に「かつての婚姻といえば、家族、血統、家格がやかましく、それも二代も四代も前ころまでさかのぼって問題にされた。その上、あの家は犬神とか娘の年まわりが悪いとかいって、今では信じられないような迷信や慣習が婚姻の傷害になっていた。」(p1063)と書かれている。
【資料9】の「第五編 民俗 第五章 人生儀礼・民間信仰」の「第五節 民間信仰」に「なお祈祷・弓づけなどによって、いきりょう(生霊)やしりょう(死霊)その他のつきもののたたりを取り除いていた。特にいぬがみ(犬神)すじがあって、そのすじの家の人は、とりつきものといって、それとなく一般の人から敬遠されて、結婚にも問題にされていたと伝えられる。いぬがみよけには、軒下へ油揚げを置くと家の中へ入らないといい伝えられていた。」(p588)とある。
【資料10】の「第六編 民俗 第五章 人の一生 第二節 婚姻」の「婚姻の習俗」に、「また人権問題と思われるが血統とか、憑きものなども取り上げられた。」(p1372)と記されている。
【資料11】の「第七編 民俗 第一章 河辺村の風俗」の「婚礼に石碑 夜泣きのまじない」の項に、「結婚については、犬すじ・蛇すじ・らいすじ・肺病すじというふうに迷信によるものや、悪い病気の血筋をきらう風習があった。」(p555-556)と記されている。
【資料12】の「第五編 民俗・文化遺産・宗教 第一章 民俗 第五節 民話」(p1184)に、「上山地区の女の人」の狐つきの話が掲載されている。
【資料13】の「第七編 民俗・文化 第五章 民話と伝説 第一節 民話」に「二十七 犬につかれた娘(松之浜)」(p982-984)が掲載されている。
【資料14】の「第六篇 民俗・文化 第六章 民間信仰」に「五、憑物信仰」(p1259)があり、「難病・奇病・原因不明の病気等は動植物が人間に取りついて困らせているのだという考えから、修験者や巫女さん達によって加持祈祷を受け信仰に入る人もいた。また餓鬼仏が取りついたとかヒダル神がついたとかの俗信があり、それを払うための信仰も行われた。」と記されている。
【資料15】の「第六編 文化 第二章 信仰・芸能 第一章 各種の信仰-俗信」に「つきもの(憑もの)」の項(p1219)があるが、具体的な事例は記されていない。
【資料16】の「第七編 民俗 第五章 人生儀礼と民間信仰 第三節 民間療法とまじない」に「3 加持祈祷」の項があり、「生霊や死霊・動物霊などのつきもののたたりを加持祈祷により取り除いた。」(p803)とある。
【資料17】の「第七編 民俗 第六章 民話と伝説 ニ 妖怪変化の話」に「犬神・狐つき・狸つき・蛇つき、人間の生霊・死霊」の項があり、「昔からこれらのものにとりつかれたという例話が数かぎりなくある。まず憑かれた者はにわかに病人になり、形相・声色まで一変して、憑いたものそっくりの声色、語り口、動作をし、食べものの嗜好まで変わる。狐つき、狸つきはその獣の毛が寝床に落ちているという。昔、高市の神主が蛇に憑かれ、徳利をくわえて往還を這い回ったといわれている。もちろん手足は全く使わず、ずび足だつということである。これらの憑きもの落としは御祈祷によってなされた。」とある。(p1046-1047)
【資料18】の「第九編 民俗 第二章 信仰・芸能 第二節 俗信」に「つきもの」の項(p1306)があるが、一般的な記述にとどまっている。
【資料19】の「第九編 民俗 第三章 民間信仰」に夜雀、山犬、ジキトリ、エンコ・カワソについて書かれている(p876-877)
【資料20】の「第六編 民俗・文化 第六章 伝承と俗信 第一節 伝説」の「三 その他の伝説」に「山犬 山犬は、普通の犬とほとんど変わりないが、変った毛が耳まではえており、暗やみで目が光る。また山犬は狼様の使いであり、願いごとは狼様に頼むと叶えてもらえるという。しかしその人が死んだときには、山犬がその死体をとりに来るという。」(p736)とある。山姥、エンコについても書かれている。
その他に、【資料21】~【資料23】の資料が見つかった。