レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2023/02/01 13:37
- 更新日時
- 2023/02/07 15:57
- 管理番号
- 地-220009
- 質問
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解決
かつての鎌倉町の町章である「星月」について調べている。
町章や枕詞である「星月夜」について書かれている文献などを知りたい。
- 回答
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以下の資料を紹介した。
○「星月夜」について
・『新編相模国風土記稿 第5巻(大日本地誌大系 23)』蘆田伊人校訂 雄山閣 1998
「巻之九十六 村里部 鎌倉郡巻之二十八」に、「○星ノ井」が立項されている(p.50)。
「虚空蔵堂前の路傍にあり、士人鎌倉十井の一と云ふ、【鎌倉志】には星月夜井と載せ、里老の言を引て昔は此井の中に昼も星の影見ゆに故名づく」との記載がある。また、『名所方角抄』や『關原軍記大成』などに「星月夜」や「星月夜の井」が出てくることや、『北國紀行』や『回國雑記』に出てくる「星月夜」は地名を表していることなども書かれている。
・『「鎌倉の碑」めぐり 』 稲葉一彦著 表現社 1982
「西コース」に「一二、星月井」が立項されている(p.266~269)。昭和二年に鎌倉町青年団により建立された、坂の下にある「星月井」の石碑の碑文および解説、「星月夜」の解説が掲載されている。
・『鎌倉の史跡めぐり 上巻』清水銀造著 丸井図書出版 1988
「八、長谷コース」に「20 星月夜の井」が立項されている(p.135)。解説の中に、「鎌倉の枕詞の星月夜は、この井戸に由来する。」との記載がある。
・『深く歩く 鎌倉史跡散策 下』神谷道倫著 かまくら春秋社 2006
「十六 甘縄神明神社・御霊神社・極楽寺坂コース」中、p.124に「星の井」についての記述がある。伝説などについて記載があるほか、由来として、「星月の井とか星月夜の井ともいわれ、かつてこのあたりは老樹が鬱蒼として茂り昼なお暗かったので星月ガ谷と名づけられていた。のち転じて星月夜(ガ谷)となり、井戸の名前もこれに基づくという。」との記載がある。
また、「永久四(一一一六)年に成った『永久百首』(『堀河院百首』とも)に「我ひとり鎌倉山を越えゆけば星月夜こそうれしかりけれ」という一首があるが、すでにこの時期に京の歌人の間に「(鎌倉山の)星月夜」が歌枕(歌に詠みこまれた名所)、歌語として知られていたことが興味深い。」との記載がある。
・『鎌倉大観』佐藤善治郎著 松林堂書店 1905
「其四 西方面即ち扇が谷」に「星月夜の井」が立項されており、由来などが掲載されている。(p.77~78)。
・『鎌倉史跡事典』奥富敬之著 新人物往来社 1997
p.261~262に「星月夜ガ谷」が立項されており、おおよその場所や関連する和歌などが掲載されている。
また、p.262に「星月夜ノ井(坂ノ下一八-二七)」が立項されており、井戸に関係する伝説などが掲載されている。
○枕詞としての「星月夜」について
下記は国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/)にてインターネット公開されている資料である。
・『詠歌辞典』佐佐木弘綱編 佐々木信綱補 博文館 1897
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/872918 2023年2月1日確認)
「上編 枕詞の栞」に「ほしづきよ 鎌倉山」が立項されている。(コマ番号:546)
「星月夜木間暗と言かけたるなりとぞ此枕詞古くは見えず永久百首にはじめて見ゆ」との記載がある。
下記は国立国会図書館デジタルコレクションにて、国立国会図書館/図書館送信参加館内限定で公開されている資料である。
・『六万語古語辞典』金子武雄・三谷栄一編 金園社 1964
(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2502504 2023年2月1日確認)
p.1110(コマ番号:566)に、「ほしづきよ〔星月夜〕」が立項されている。
「②《枕》星月夜は、月夜より暗いので、暗(くら)を倉に通じて「鎌倉」にかかる枕ことば。」との記載がある。
○旧鎌倉町の町章について
・『都市の紋章 各自治体の徽章』近藤春夫編 行水社 1915
「主として大正三年暮より同四年に亘りて東京朝日新聞紙上に連載せられたる各市及び町の紋章を集め」たものである。(p.3「例言」参照)
p.11に「八 鎌倉町 (神奈川県相模国)」が立項されている。
「鎌倉坂の下にある有名な一寒泉は星月夜の井と呼んで居る。」、「中世以後鎌倉山の枕辞として星月夜と云ふ字を用ふるようになつたのはくらに掛けての縁語なのだ。」、「此紋章の立案者は鎌倉小学校教員で以上のごとく鎌倉山の枕辞となつて居る星月夜を体現するには星と月が能く美的価値もあると云ふ所から之れを選定したのだ。而して明治三十四年一月元旦に芽出度も制定されたのである。」などの記述がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 10版)
- 参考資料
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「かながわ歌枕―読み継がれたイメージの系譜」内、「11星月夜の井と鎌倉山」(2023年2月1日確認)
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/yokohama/exhibition/utamakura/utamakura-map/map11.html -
鎌倉町の町章は「星月」だったのか。(鎌倉市中央図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000158454
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「かながわ歌枕―読み継がれたイメージの系譜」内、「11星月夜の井と鎌倉山」(2023年2月1日確認)
- キーワード
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- 星月夜
- 鎌倉町
- 星月井
- 町章
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000328305