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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
大阪市立中央図書館 (2210006)管理番号
(Control number)
5821008613
事例作成日
(Creation date)
2022年10月10日登録日時
(Registration date)
2022年10月31日 00時30分更新日時
(Last update)
2023年01月29日 00時30分
質問
(Question)
天王寺かぶら(蕪、蕪菁)について知りたい。
回答
(Answer)
天王寺かぶら(蕪)は大阪の伝統野菜です。
『日本国語大辞典』(資料(1))には「カブの栽培品種。大阪付近で古くから栽培された。葉は一般に切れ込みが浅く琵琶(びわ)形で、根は白色、扁球形。大きいものは二キログラムに達する。早熟で、生食や漬物に適する。」とあります。
天王寺かぶらの特長や歴史、産地などついて書かれた資料を以下のとおり紹介します。

(1) 『日本国語大辞典 :第2版 第9巻 ちゆうひ-とん』(小学館 2001)
p.840に「てんのうじ‐かぶ【天王寺蕪】」の項にがあります。

(2) 『天王寺村誌』 (大阪府東成郡天王寺村/編纂 新和出版社 1976)
「第五篇 行政 第十章 産業 第二節 農業」のp.515-518「乙、特産物」の項、p.515-517に「天王寺蕪菁」について記述があります。「本村独特の産物たり、其の味の美にして其の形麗はしき他に其の比を見ず。大きさ直径三、四寸或は夫れ以上に越ゆるものあり。」とあり、またその来歴についても記述されています。

(3) 『なにわ大阪の伝統野菜』(なにわ特産物食文化研究会/編著 農山漁村文化協会 2002)
「第二章 なにわ大阪伝統野菜の数々」のp.48-53「カブ(蕪、カブラ)」の項に天王寺蕪について記述があり、「切れ葉と丸葉のタイプがあり、根身は純白で扁平」「天王寺六萬体の三分屋・六萬堂(村上氏)が江戸時代中頃、天王寺蕪の粕漬を売り出し、諸国にその名が知られるようになりました。」とあります。また復興栽培が試みられていることも書かれています。

(4) 『大阪食文化大全』(西日本出版社 2010)
「第七章 なにわの伝統野菜」のp.245-247「一、天王寺蕪」の項、p.245に「天王寺蕪は、およそ五百年以上の歴史を持つ日本最古の和種蕪だといわれている。」、p.247に「天王寺蕪の味わいの特長は他の蕪にはない甘さと緻密な肉質。(略)甘みが強くて下記のように緻密な肉質であることから天王寺周辺の神社では、天王寺蕪を風呂吹きにして食べる習慣があった。」とあります。

(5) 『私たちの阿倍野 -もうちょっと知っとく?-』(難波 りんご/著 新風書房 2000)
p.18-19「天王寺かぶらが野沢菜になった!」の項に、天王寺蕪についてわかりやすくまとめられています。「大阪夏の陣の時、大塔宮という皇族の家来で農夫になった人の子孫が、村人といっしょに戦いの中、野菜の種が入った大切な種蔵を火災や盗難から守り続け、そのほうびに四天王寺近付の土地を与えられました。この土地を耕し蕪の種をまいて育てたところ、とてもおいしい蕪ができたので、四天王寺の僧たちの食料に納めていました。年々蕪を作る村人も増え、たくさんとれるようになると、市場にも出すようになり、天王寺蕪とよばれるようになりました。」とあります。また、信州の僧が天王寺かぶらを持ち帰ったことがきっかけで野沢菜が生まれたとあります。

(6) 『大阪春秋 -大阪の歴史と文化と産業と- 通巻111号 おおさかの伝統野菜』(大阪春秋社 2003)
p.56-63 難波りんご、高橋俊太郎「なにわ伝統野菜の今をたずねて」に、天王寺かぶらの復興栽培や天王寺蕪を使った漬物など売る店舗について書かれています。

(7) 『なにわ大阪食べものがたり』(上野 修三/著 創元社 2007)
「なにわ野菜 秋」のp.200-201に「天王寺蕪菜」の項があり、その味やおすすめの調理法について記述があります。肉質が硬くて扁平であること、漬物に最適であることが書かれています。

天王寺かぶらを題材にした子ども向けに作られた本も刊行されています。
(8)『わては天王寺蕪でっせ -安倍清明没後千年を記念して-』(志村 敏子/文・編集 タウン新聞社 2005)
p.16 天王寺蕪の会代表 猿田博 「なにわの伝統野菜復活の兆し」に、明治末期以降、絶滅に瀕していたが、現在、有志で「天王寺蕪の会」が結成され、天王寺かぶらの復活・普及に取り組んでいることが書かれています。
またp.21「天王寺蕪(てんのうじかぶら)」の項に天王寺蕪の歴史などについてわかりやすくまとめられています。

(9) 『大阪なにわ伝統野菜のお・は・な・し』(志村 敏子/作 内外出版 2008)
それぞれの伝統野菜が自分たちのよいところを自慢するという形式で、伝統野菜の特徴が語られています。
天王寺かぶらについては、p.34に「わては、天王寺かぶらと言いまして、昔、天王寺村でつくられてた、かぶらでんねん。“香りがようて、歯ごたえがようて、おいしい”と、三拍子揃うてたさかい人気もんでしたんや。」とあります。
回答プロセス
(Answering process)
1.商用データベース「JapanKnowledge」をキーワード“天王寺蕪”で検索、(資料1)が見つかる。
2.当館所蔵資料『天王寺村誌』(資料(2))の関連する記述を確認。
3.当館所蔵検索 フリーワード“伝統野菜”で検索、資料(3)-(9)が見つかる。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
蔬菜園芸  (626 9版)
衣住食の習俗  (383 9版)
参考資料
(Reference materials)
当館書誌ID <0010135338>  日本国語大辞典 :第2版 第9巻 ちゆうひ-とん 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.9 9784095210094 資料(1)
当館書誌ID <0000357759>  天王寺村誌 大阪府東成郡天王寺村/編纂 新和出版社 1976  資料(2)
当館書誌ID <0010259040>  なにわ大阪の伝統野菜 なにわ特産物食文化研究会/編著 農山漁村文化協会 2002.3 9784540012457 資料(3)
当館書誌ID <0012185627>  大阪食文化大全 笹井 良隆/編著 西日本出版社 2010.11 978-4-901908-54-2 資料(4)
当館書誌ID <0000820202>  私たちの阿倍野 -もうちょっと知っとく?- 難波 りんご/著 新風書房 2000.8 9784882694533 資料(5)
当館書誌ID <0010554329>  大阪春秋 -大阪の歴史と文化と産業と- 通巻111号 おおさかの伝統野菜  大阪春秋社 2003.6  資料(6)
当館書誌ID <0011498369>  なにわ大阪食べものがたり 上野 修三/著 創元社 2007.9 978-4-422-74030-0 資料(7)
当館書誌ID <0011087119>  わては天王寺蕪でっせ -安倍清明没後千年を記念して- 志村 敏子/文・編集 タウン新聞社 2005.9  資料(8)
当館書誌ID <0011585840>  大阪なにわ伝統野菜のお・は・な・し 志村 敏子/作 内外出版 2008.1 978-4-931410-18-3 資料(9)
キーワード
(Keywords)
天王寺かぶら
天王寺蕪
天王寺蕪菁
天王寺蕪菜
伝統野菜
大阪府大阪市天王寺区
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
郷土
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000323234解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決

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