レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/12/17
- 登録日時
- 2022/01/16 00:30
- 更新日時
- 2022/01/16 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-210107
- 質問
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解決
明治初期の「御親兵」に関する記録(特に高知藩のもの)を探している。
- 回答
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(1)御親兵の編成過程について
資料1
「三藩兵を徴して御親兵と為す 二月十三日,鹿児島藩歩兵四大隊,砲兵四隊,山口藩歩兵三大隊,高知藩歩兵二大隊,騎兵二小隊,砲兵二隊を徴して御親兵となる爾後編成及ひ隊号の改変あり」(pp.64-65)
資料2
「(略)御親兵組織の事を論じ,その結果薩長土三藩の献兵を以つて,御親兵を組織するの議を捧呈した。やがて廟議決定,朝廷この議を采納し,兵部省に左の達が発せられた。時に明治四年二月二十二日である。
鹿児島藩歩兵四大隊,砲兵四隊,山口藩歩兵三大隊,高知藩歩兵二大隊,騎兵二小隊,砲兵二隊為御親兵被召出,其省管轄被仰付候事」(pp.82-83)
上記資料により,「御親兵」の成立過程が判明。高知藩の部隊も召出されている。
(2)高知藩(土佐藩)の文書史料について
資料3及び資料4から,史料の残存は多くない模様。資料4及び資料5から御親兵の編成にあたり,当時の高知藩から兵を出すことになったことが記録されている。
資料3
「土佐藩が作成あるいは保管していた文書類は,維新後県庁引継文書と山内家所有分に分割され,前者は高知県立図書館に保管された。しかしこれらは昭和二十年(一九四五)の高知空襲により焼失,現在は山内家が管理してきた文書のみが土佐藩の文書として現存している。本稿で取り上げる山内家文書がこれである。」(p.183)
「明治維新後に藩文書は県庁と山内家にそれぞれ引継がれたことは冒頭で述べたが,廃藩置県に先立つ高知藩時代に大規模な藩庁文書の焼棄が行われたことは注目すべきであろう。」(p.187)
資料4
「廃藩置県を機に藩庁史料の一部は県庁に移管される。ただ移管時期,規模は不詳とせざるを得ない。これらはのち,当時の高知県立図書館に引き継がれるが,これまたその時期・規模を明らかにし得ない。(略)高知空襲によって同館とともに焼失した。」(p.159)
資料5(山内家史料)
明治4年2月13日に「朝廷我藩ニ命ズルニ歩兵二隊大騎砲兵各二隊ヲ徴シ親兵ニ備ヘンコトヲ以テス」とある(p.15/331コマ)。
資料1: 陸軍省編. 明治軍事史 上. 原書房, 1979【392.1/リ1/1】
資料2: 松下芳男著. 明治軍制史論 上巻. 有斐閣, 1956【392.1/マ1-3/1】
資料3: 藤田雅子「第6章 土佐藩山内家文書の伝来と管理」『幕藩政アーカイブズの総合的研究』(思文閣出版,2015)【210.5/2015.2】
資料4: 大野充彦「山内家文書の伝来について」『土佐藩主山内家歴史資料目録』(高知県歴史資料調査報告書,高知県教育委員会,1991)【218.4/コ2-2】
資料5: 山内家史料刊行委員会[編]. 幕末維新. 第13編 (第十六代豊範公紀 明治三年三月四日~明治四年五月末日.山内家史料). 山内神社宝物資料館,1988.7 info:ndljp/pid/9576466 (図書館送信参加館内公開,最終アクセス日:2021/12/17)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 四国地方 (218 9版)
- 参考資料
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- 松下 芳男/著. 明治軍制史論 上巻. 有斐閣, 1956【392.1/マ1-3/1】:82-83
- 陸軍省/編. 明治軍事史 上. 原書房, 1979【392.1/リ1/1】:64-65
- 国文学研究資料館?編. 幕藩政アーカイブズの総合的研究. 思文閣出版, 2015.2【210.5/2015.2】:183-206
- 高知県教育委員会文化振興課/編. 土佐藩主山内家歴史資料目録. 高知県教育委員会, 1991.3【218.4/コ2-2】:
- 国史大辞典編集委員会/編. 国史大辞典 5. 吉川弘文館, 1985.2【210.03/1979.3/5R】:794
- キーワード
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- 御親兵
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000310766