レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 愛知淑徳大学図書館 (3310015) | 管理番号 (Control number) | ASN2021-15 | ||||||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2021年12月07日 | 登録日時 (Registration date) | 2022年01月07日 19時44分 | 更新日時 (Last update) | 2022年01月25日 15時43分 | ||||||||||||||||
質問 (Question) | 線路工夫の社会的立場(身分や権力)に、どれほどの差があったのか。 作品の初出が大正元年なので、それ以前の範囲で知りたい。 【背景】 ゼミの発表準備で、志賀直哉の「正義派」を担当することになった。 その中で線路工夫と巡査が対立するのを見て、気になった。 [作品初出] 志賀直哉"正義派"朱樂 1912.09 確認資料:『日本近代文学年表』(小田切進編 小学館 1993.12 91026/O172-5) 時代背景として、労働運動・鉄道ストライキがあったことを確認している。 【関連質問】 ASN2021-16 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000310501 | ||||||||||||||||||||
回答 (Answer) | 待遇・賃金などの周辺情報も併せて紹介しています。 詳細は、回答プロセスをご確認ください。 | ||||||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.基本事項の確認 1-1.JapanKnowledge[契約データベース] 「線路工手」(『日本国語大辞典』) 鉄道の保線係員の一つ。線路を新設・増設するためにレールを敷設したり、既設のレールを補修・ 保全したりする仕事に従事する人。線路工夫。線路人夫。 「工夫」(『デジタル大辞泉』) 類語に土工、土建屋、土方がある。 「作業員」(『角川類語新辞典』) 工夫、土工、土方・・・土木工事に従事する労働者 工手・・・鉄道・電気などの工事をする人 「鉄道」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』) 1870年3月、新橋―横浜間が着工。 1881年、日本最初の民営鉄道の日本鉄道会社が創設。 1885年から1889年にかけて、各地で民営鉄道が開業。 1892年、鉄道敷設法が公布。政府は鉄道建設政策の指導にあたる。 明治末から大正の初めごろにかけて、各地に民営の鉄道が盛んに建設。 など 1-2.レファレンス資料 <分類:309(社会思想)、351(統計学)、366(労働経済、労働問題)> 【★1】『近代日本職業事典』 p.298 「鉄道現業員」 ”鉄道運営の現場の労働業務に携わる人。『就職の手引き』(明44)は学歴によって就職 できる業種を示しているが、(略)「学業を要せざる職業」として鉄道工夫~”と記載あり。 【★2】『明治大正国勢総覧, 復刻版』 p.567- 業種別賃金についての各調査を掲載している。 線路工夫が当てはまるかは不明だが、「土方人足」や「土木建築業」の項目がある。 ○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。 『社会労働大事典』(法政大学大原社会問題研究所編 旬報社 2011 309/H91-1) 2.図書 2-1.本学図書館所蔵資料から探す 2-1-1.明治~大正時代の歴史資料から探す<ブラウジング / 分類:2106(日本史ー近代)> 【★3】『大正デモクラシーと社会運動の激化(歴史史料大系)』 p.10「1-1-4 石川啄木と夏目漱石」 1912年の東京市電のストの新聞記事を見た啄木の日記などについて記述 (出典:『近代日本の争点 中』(毎日新聞社 1967)) ※出典表記は「下」とあるが、実際は「中」に掲載 p.126-「日本における社会運動の発生」 p.126「1900年(明治33年)に治安警察法を制定し、労働者の団結権・罷業権を制限して 労働運動をとりしまった」 p.127「高野房太郎・片山潜らは一八九七年に労働組合期成会を結成し、..(中略).. また、組織的な労働争議をなしとげた日本鉄道の労働者は、日本鉄道矯正会を組織した」 (出典:教科書 実教『高校日本史B』) p.136「鉄道労働者の闘争」(出典:『労働運動史(歴史科学大系25)』(校倉書房 1981)) p.138「日本初の市電スト」1911(明治44) 従業員の立場と、待遇の差、露骨な身分差別が垣間見える。 重役4人 技師や監督などの社員あるいは社員待遇のもの約800人 運転手、車掌、信号人、職工、工夫、雑役夫などの現場労働者6000人 (出典:『ストライキの歴史』(塩田庄兵衛 新日本出版社 1966)) 2-1-2.賃金・価格の資料から探す<ブラウジング / 分類:3378(物価)> ○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。 『物価の文化史事典』(甲賀忠一, 制作部委員会編 展望社 2008.7 337821/KO24) 2-1-3.本学図書館OPAC https://cat.lib.aasa.ac.jp/drupal/ <件名:労働者運動 日本 歴史> 【★4】『勞働者の状態及び勞働者運動史 上・下 復刻版』 明治維新後、日清・日露戦争期、欧州大戦期(大正3年~)にわけて、労働者の状態を記述 上巻 p.34「労働者の闘争」(第2章 日清・日露戦争と労働者) うち、p.37「三 運輸業」日本鉄道工夫218名(栃木)でデモ 新橋停車場の職工ストなど p.45「明治39年代 阪神電鉄のスト」 鉄道工夫の労働状態、などについては記述を確認できない <件名:鉄道 日本 歴史> 【★5】『鉄道の文学誌(近代日本の社会と交通)』 p.311「労働の現場」 鉄道の従業員や鉄道に関連する現場で働く人々を主人公とした文学について考察 鉄道労働者の文学表現・・・『鉄道文学』(大友文之助 東海堂 1905)論文、伝記、雑録 などを含む鉄道に関わる随想集 【★6】『鉄道 日本史小百科;近代』 p.108「身分の昇格・給与の増額を求めて 鉄道労働者と日鉄スト」 官設鉄道の労働者の推移(概略)、出身階層、日鉄のストに関する記述。 【★7】『国鉄歴史事典, 復刻版』 p.49「職員数の変遷」 p.50「給料の変遷」 各職域の給料と人数 線路工夫は明治44年以降から記述 明治44年出典: 明治44年度『鉄道院統計図表』全鉄道管理局職員数および給料表から抜粋 大正8年出典: 大正8年度『東京鉄道局年報』から抜粋 【★8】『日本私有鉄道史研究 : 都市交通の発展とその構造, 増補版』 p.525-「私有鉄道における労働」 明治期、大正期の様子、労働条件、賃金に関する数字、職種別労働者数を確認できる。 比較できるものとして、当時の米価指数、全国の諸傭普通平均賃金なども掲載。 労働者運動に関する記述も確認できる。 <件名:日本国有鉄道> 【★9】『「身分の取引」と日本の雇用慣行 : 国鉄の事例分析』 p.41-「戦前における身分制度の変化」 ○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。 『明治日本と鉄道 : 近代的鉄道政策の形成』(小谷正典著 晃洋書房 2020 68621/O17) 『日本の鉄道120年の話』(沢和哉著 築地書館 1993 68621/S93) 『鉄道がつくった日本の近代』(高階秀爾 [ほか] 編著 成山堂書店 2014 68621/TA54) 『ビジュアル日本の鉄道の歴史, 1』(梅原淳著 ゆまに書房 2017 68621/U66-1/1) 『鉄道への夢が日本人を作った : 資本主義・民主主義・ナショナリズム』 (張彧暋著/山岡由美訳 朝日新聞出版 2015 68621/C52) 『日本鉄道業の形成 : 1869~1894年』(中村尚史著 日本経済評論社 1998 686/N37) 『日本国有鉄道百年史, 年表, 復刻版』(日本国有鉄道編 成山堂書店 1997 68621/N77) 『明治鉄道物語』(原田勝正 [著] 講談社 2010 コウダンガク/2008) 『明治前期の日本経済 : 資本主義への道』(高村直助編著 日本経済評論社 2004.10 3321/TA45) 2-2.【★3】の出典より ●次の資料は当館に所蔵なし。他機関資料で確認が必要。 『労働運動史(歴史科学大系25)』(梅田欽治編集・解説 校倉書房 1981) 2-3.国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ 2-3-1.【★1】に掲載の図書、【★3】、【★7】の出典を確認する 【★10】『就職之手引 : 最近調査』 p.25 学力を要せざる職業として「鉄道工夫」が紹介されており、給料は”給料は日給で最初は 三十五銭位である。”と記載あり。 【★11】『鉄道院統計図表 明治44年度』 p.106「第26 職工使用人員並賃金表」 ほか、明治39年~大正4年まで閲覧可能 【★12】『ストライキの歴史(新日本新書22)』[図書館送信参加館公開] p.23-38「日本最初の大ストライキ ー日本鉄道機関方(一八九八年)ー」 【★13】『近代日本の争点 中』 p.361-372「明治日本の終幕 明治天皇の死 松島栄一」 明治時代の終わりから大正時代の始まりを、夏目漱石、石川啄木などの文豪の作品や 日記などを通じて解説。 p.351-360「労働者の自覚 東京市電争議 渡辺菊雄」 1911年12月に起こった東京市電のストライキを例に、ストライキの様子や背景を解説。 2-3-2.【★10】の著者で検索 <詳細検索 / 著者・編者:酒巻源太郎> 【★14】『鉄道員出身案内』 p.8 鉄道員のその他の中に、線路工夫あり。 ”各駅の駅長に就いて志願すれば欠員のある限りは 採用されるもの”と記載。 2-4.国立国会図書館オンライン NDL ONLINE https://ndlonline.ndl.go.jp/ <キーワード:鉄道 工手、線路工手 生活、保線 生活 など> 【★15】.『職員生活状態調査. 大正9年10月1日現在』 *時代が約10年ほど異なる 勤務地別の収入支出表や給額表などの調査結果を掲載している。 p.61以降には、各勤務場所別に掲載されており、職種別の調査結果もある。 その中に「線路工夫」がある。 3.雑誌記事 3-1.国立国会図書館オンライン NDL ONLINE https://ndlonline.ndl.go.jp/ 【★16】櫻井豐三"線路工手の勞働とその生活について"交通技術 2(7)(13) 1947.08 *時代が約20年ほど異なる 線路工手の給料、生活費などについて述べている。 4.新聞記事 新聞記事からも当時の様子を確認することができます。 例として朝日新聞の検索結果を紹介します。 【例】朝日新聞オンライン記事データベース 聞蔵 II ビジュアル[契約データベース] <朝日新聞縮刷版タブ / キーワード:線路工夫> “鉄道院の火事” 1909.01.20 東京・朝刊 p.5(8段) 芝区汐留町鉄道院構内に、保線係線路工夫用の物置場があった。 →線路工夫の所属が鉄道院である可能性があります。 <Web最終確認日:2022/01/14> | ||||||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||||||
備考 (Notes) | |||||||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 職業 | 質問者区分 (Category of questioner) | 学生 | ||||||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000310188 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |