レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/05/08
- 登録日時
- 2021/07/26 00:30
- 更新日時
- 2021/07/29 12:14
- 管理番号
- 所沢所分-2021-004
- 質問
-
解決
明治時代後期~大正時代初期にかけての、男性の髭事情が知りたい。一般男性がどのように毎日の髭を処理していたのか。自分で剃っていたのかまたは床屋に通ったのか、道具、頻度、江戸時代は毛抜きで抜いていたという話も聞くので、もしかしたら抜いていた可能性などがわかる資料をみたい。
- 回答
-
いくつかの記事に髭を床屋で剃っていた記述や、市販の化粧水を使用し自分で髭を剃っていた記述が確認されました。いずれも剃刀を使用していたとの記述や脱毛クリームを使用していたとの記述があり、大正時代になると新聞の広告に載るほど流通していたことが伺えます。ただ、髭を抜いていたような記述は見当たりませんでした。
以下の資料に記載がありました。
〇『図説明治事物起源事典』 湯本豪一/著 柏書房 1996年
【ヨミダス歴史館】(読売新聞データベース)
〇「色男はつらい 髭は伸ばしてよいやら、剃ってよいやら」(1897年8月25日朝刊)
〇「鬚剃/流芳生=投稿」(1902年5月11日朝刊)
〇「[五面談叢]髭剃り展覧会」(1907年6月4日朝刊)
〇「[広告]朝の顔洗い、髭剃りに、化粧に、湯上りに、素顔のレート化粧水」(1911年6月4日朝刊)
【聞蔵Ⅱ】(朝日新聞データベース)
〇「西京の散髪職の手間……(京都の散髪職が散髪六銭など手間賃統一)」(1880年4月15日大阪/朝刊)
〇「(広告)丸善株式会社洋物店 安全髭剃 雨外套ほか」(1905年 6月12日東京/朝刊)
〇「(広告)栄商会 小島商店 独逸製髭剃用クリームぐりさん」(1920年10月18日東京/朝刊)
- 回答プロセス
-
1.所蔵資料の内容確認
△『近代庶民生活誌 5』 南博/責任編集 三一書房 1986年
p373 流行の髭の形などの記載はあるが処理方法はなし。
△『髪』 春山行夫/著 平凡社 1989年
p372~ 日本の床屋の歴史について記載あるが、髭の処理事情に関する記載なし。
△『化粧せずには生きられない人間の歴史』 石田かおり/著 講談社 2000年
p164 江戸時代の髭に対しての考え方
p171 明治時代の髭に対しての考え方 記載あるがどちらも処理方法の記載なし。
△『江戸東京職業図典』 槌田満文/編 東京堂出版 2003年
p60 江戸時代の髪結職についての記載あり。
△『ヒゲの日本近現代史』 阿部恒久/著 講談社 2013年
p29 明治時代の髭に対する考え方の記載あるが処理方法についてに記載なし。
2.記載の見当たらなかった資料
×『ひげの科学』 小野三嗣/著 玉川大学出版部 1980年
×『毛の人類史』 カート・ステン/著 藤井美佐子/訳 太田出版 1980年
×『毛髪の話』 井上哲男/編著 文芸春秋 2003年
×『化粧の日本史』 山村博美/著 吉川弘文館 2016年
×『図説 日本文化の歴史 11』 小学館 1981年
×『図説 日本文化の歴史 12』 小学館 1981年
×『江戸の仕事図鑑 下巻』 飯田泰子/著 芙蓉書房出版 2020年
×『明治期の庶民生活の諸相』 神立春樹/著 御茶の水書房 1999年
×『日本生活史辞典』 木村茂光/編 吉川弘文館 2016年
3.オンラインデータベースを確認
【ヨミダス歴史館】(読売新聞データベース)
〇1897年8月25日 朝刊 p4 「色男はつらい 髭は伸ばしてよいやら、剃ってよいやら」
「~鉄三郎は泣くにも泣かれぞ若し髭故に嫌はれては由々しき大事と狼狽ふためき早速床屋を招がして舊の如くに剃り落せば女は秋波と斜めに寄せてホンニ綺麗になりました六ツ七ツはお若く見えますると云はれて男はうれしく悲しく懐中鏡をを手に取り上げ笑ひ泣きとぞ催しける」との記述あり。
〇1902年5月11日 別刷 p2 「鬚剃/流芳生=投稿」
「或る日のこと一人の紳士が近處の床屋へ行って髭を剃らせて居ますと~」との記述あり。
〇1907年6月4日 朝刊 p5 「[五面談叢]髭剃り展覧会」
「これは近頃或理髪師が剃刀を用いず或る薬を練って之を顔へ塗り二三分間乾かしてから紙のナイフかボール紙の縁で之を拭ふとどんな強いばうばうとした髭でも立處に取り去らると云ふ」との記述あり。
〇1911年6月4日 朝刊 p5 「[広告]朝の顔洗い、髭剃りに、化粧に、湯上りに、素顔のレート化粧水」
「髭 くさくさする時でも、顔を剃ったときは清々とする、そこへクレームレート化粧水のレートで溶いて薄く塗けた後を、徐かにマッサージして置くと、剃刀まけをすることもなく、肌の具合が非常に宣い」との記述あり。
【聞蔵Ⅱ】(朝日新聞データベース)
〇1880年4月15日 大阪/朝刊 p1 「西京の散髪職の手間……(京都の散髪職が散髪六銭など手間賃統一)」
「西京の散髪職の手間賃は是迄勝手に取極め甚だ不同ありしが今度上京下京とも取締を立て賃銭を一定し散髪六銭髭剃三銭結髪三銭と規則を設けました」との記述あり。
〇1905年 6月12日 東京/朝刊 p8 「(広告)丸善株式会社洋物店 安全髭剃 雨外套ほか」
「米國紐育市カンフ兄弟商會製スター印安全髭剃」との記述あり。
〇1920年10月18日 東京/朝刊 p6 「(広告)栄商会 小島商店 独逸製髭剃用クリームぐりさん」
「グリサンを使へば石鹸も刷毛もいらずどんな髭でも簡便に氣持よく剃れて剃刀まげは勿論少しの痛みも覚えません」との記述あり。
4.後日調査の追加資料
〇『図説明治事物起源事典』 湯本豪一/著 柏書房 1996年
p136~137 「安全剃刀」の項目あり。
「安全剃刀が広く用いられるようになるのは大正時代になってからのことである」との記載あり。
図(『風俗画報』明治25年11月10日号)では男性が髭を剃っている絵が載っている。
図(『時事新報』明治44年2月9日号)では「君はナゼ小汚く髭を生やしてる?」と記載のある安全剃刀の広告が載っている。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本語 (031 9版)
- 参考資料
-
- 図説明治事物起源事典 湯本豪一/著 柏書房 1996.11 031.4 4-7601-1380-0
- キーワード
-
- 髭
- 髭剃り
- 男性
- 剃刀
- 美容
- 理容
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000302217