レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/02/22
- 登録日時
- 2021/03/02 00:30
- 更新日時
- 2021/07/29 12:28
- 管理番号
- 9111127
- 質問
-
未解決
『森銑三著作集』(中央公論社 1971年)八巻の中の「勝田半齋の詩中八友歌」の二(pp.401~402)に、「塡諱の古山恒は『半齋摘稿』にもその名が見えている古山政禮の子であろうと思う」とある。
この『半齋摘稿』(漢詩328首が収められ文化10年~文政11年の作)(1・2巻、3・4巻の二巻)に「古山政禮」に関する詩があると思われるのでその詩を知りたい。
- 回答
-
『半斎摘稿』は当館では所蔵が見当たりません。
古典籍総合目録データベース( https://base1.nijl.ac.jp/infolib/meta_pub/G0001401KTG )、CiNii Books( https://ci.nii.ac.jp/books/ )で検索すると、下記の機関で写本を所蔵しているようです(刊本ではないため、資料により異同がある可能性があります)。
なお、古典籍総合目録データベースで所蔵機関が「内閣」と表示されている資料については、後述の通り国立公文書館デジタルアーカイブで本文を閲覧することが可能で、「古山知縣」「古山明府」等とあるのが確認できます。「古山知縣」「古山明府」は古山政禮を示すと考えられますが、詳細は依頼者ご自身でご確認ください。
<主な調査済み資料・データベース(【 】内は当館請求記号)>
〇古典籍総合目録データベースの検索結果( http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_1623047 )
→書名「半斎摘稿」で1件ヒット。「国書所在」欄に「【写】内閣、東大、東北大(岡田蓬斎並男文郁等遺書一一七)、無窮平沼(文政写)」とあり。
〇Cinii Booksの検索結果( https://ci.nii.ac.jp/books/search?advanced=false&count=100&sortorder=3&q=%E5%8D%8A%E6%96%8E%E6%91%98%E7%A8%BF+&type=0&update_keep=true )
→フリーワード「半斎摘稿」で3件ヒット(所蔵の詳細等は、各機関にご確認ください)。
・東北大学 附属図書館(4卷(岡田蓬齋並男文郁等遺書, 117) 卷1-2卷3-4 と表示あり)
・東京大学 総合図書館(3巻 乾 坤 と表示あり)
・関西大学 図書館(2巻 乾 坤 と表示あり)
・国立公文書館デジタルアーカイブ( https://www.digital.archives.go.jp/ )
[1]『半斎摘稿』1・2巻( https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2015071609323058701 )
[2]『半斎摘稿』3・4巻( https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2015071609324158702 )
→「古山政禮」は見当たらないが、「古山」では、例として、[1]の28コマに「古山知縣」、[1]の64コマ、67コマ、[2]の3コマ、9コマ、20コマに「古山明府」、[2]の11コマ、43コマ、50コマに「古山(君)静齋」、[2]の30コマに「古山大椿」の文字列がある。
次の資料①、②からは「古山政礼」という人物が代官であったことがわかり、「古山知縣」「古山明府」が「古山政礼」を示す可能性が考えられる(資料③~⑤)。
また、資料①、②から「古山政礼」と「古山善一郎(通称)」が父子であると分かるが、資料⑥には「古山静齋」と「善一郎」が父子である旨の記述があり、詳細は不明である。
①村上直, 和泉清司, 佐藤孝之, 西沢淳男 編『徳川幕府全代官人名辞典』東京堂出版, 2015.3【GB12-L25】
→p.412に「古山政礼」と子の「古山善(通称 善一郎)」の人物情報あり。
②竹内誠, 深井雅海, 太田尚宏, 白根孝胤 編『徳川幕臣人名辞典』東京堂出版, 2010.8 【GB12-J25】
→p.583に「古山政礼」と子の「古山善(通称 善一郎)」の人物情報が、p.200に勝田半斎の情報がある。
③日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編『日本国語大辞典』 第2版 小学館, 2000-2002【KF3-G103】
→第8巻「知県」の項(p.1332)に「(1)中国の官名で、県の長官。(中略)(2)転じて、一般に県の長官、県知事をいう。」、第12巻「明府」の項(p.1095)に「地方長官の敬称。中国では、太守・県令をいう。」とある。
④国史大辞典編集委員会 編『国史大辞典』第10巻 (とーにそ) 吉川弘文館, 1989.9【GB8-60】
→「唐名」の項(pp.215-222)に、「わが国の官職・位階などにつけられた唐風=中国風の異名。(中略)原則として唐名は正式の公文書などには用いず、漢詩文その他の修飾的な要素の多い文章に用いられた」とある。
⑤日野龍夫, 徳田武, 揖斐高 編纂『江戸詩人選集』第9巻 岩波書店, 1991.12【KG824-E11】
→pp.39-40に「羽倉明府 羽倉簡堂(一七八九―一八六一)。明府は地方長官に対する敬称。ここでは日田代官のこと。簡堂、幼名は永吉、(略)通称を左門・外記といい、簡堂はその号。(略)日田代官の職にあった。」とある(ある漢詩にうたわれている「羽倉明府」という人物の解説)。
⑥森鴎外 著『鴎外全集』著作篇 第8巻 岩波書店, 1952【918.6-M778o2】
→p.342に「古山靜齋に與へた。(略)靜齋の子善一郎のために」との記述がある。
・『平沼文庫蔵書目録』第2輯 (内田遠湖,渡辺刀水,牧野藻州,松平天行,吉田学軒,上野不先斎諸先生旧蔵書目録) 無窮会, 1961【029.9-M914h】(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
→p.271(142コマ)に「二二二六一 半斎摘稿四巻 勝田献(半斎)文政 写 二」とある。
・坂口筑母 著『幕末維新儒者文人小伝』第3集 (幕末維新儒者文人小伝シリーズ ; 第15冊)幕末維新儒者文人小伝刊行会, 1990.9【HA34-14】
→pp.1088-1099に勝田半斎の項があり、pp.1092-1093に『半斎摘稿』から半斎の交遊人物の名を記した題詞が引用されているが、その中に「古山政禮」は見当たらない。
・坂口筑母 著『昌平校談叢』坂口筑母, [1999] 【HA36-G2】
→p.108に、「『半齋摘稿』より、集まり来る雅客を左に紹介しておく。古山静齋(略)」とある。
・坂口筑母 著『儒者の時代 : 幕末昌平校官学派の詩人たち』 第2巻 (本章『乙骨耐軒日記』『乙骨耐軒詩文稿』『友野霞舟詩集』) (幕末維新儒者文人小伝シリーズ ; 第16冊)坂口筑母, 1991.9【HA36-1】
→p.232に、「古山静斎」が『半斎摘稿』に登場する旨の記述がある。p.251にも、勝田半斎に関連する人物として名前が挙げられている。
・徳田武 著『近世日中文人交流史の研究』研文出版, 2004.11【KG211-H8】
→p.186に「古山政礼」への言及あり。また、「九 『半斎摘稿』と清人序跋」(pp.326-373)は、『半斎摘稿』に関する研究論文である。内閣文庫(国立公文書館)の本は「未完の稿本」と記述されている(p.327)。
・日野 龍夫「菊池三渓自筆詩文稿(資料紹介)」(『国語国文』46(9) 1977.9 pp.49-55【Z13-345】(国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館/図書館送信参加館内公開))
→p.51に「『学聚堂雑稿』には「半斎摘稿序」(慶応元年二月付け)なる一文もあって、これは内閣文庫蔵『半斎摘草』には収められていない」とある(『半斎摘草』とあるのは本文ママ)。
・日本古典文学大辞典編集委員会 編集『日本古典文学大辞典』第5巻 (はーめ) 岩波書店, 1984.10 【KG2-70】
→p.141に『半斎摘稿』の項があり、内閣文庫(国立公文書館)の本は「自筆」と記述されている。
・西沢淳男 編『江戸幕府代官履歴辞典』岩田書院, 2001.10【GB364-G57】
→p.486に「古山善吉政礼」の人物情報あり。
・村上直 校訂『江戸幕府郡代代官史料集』(日本史料選書 ; 21) 近藤出版社, 1981.4【GB391-115】
→p.442に「古山善吉(政礼・善蔵)」の人物情報あり。
*以下3点の資料には、「古山政礼」の名前の断片的な記述がある。
・津本信博 編著『近世紀行日記文学集成』2 早稲田大学出版部, 1994.9【KG293-E16】
→p.575
・長友千代治 編『重宝記資料集成』第21巻 (算法・経世 2)臨川書店, 2006.9【GB22-H97】
→p.449
・大田南畝 [著], 濱田義一郎 [ほか]編『大田南畝全集』別巻 岩波書店, 2000.2【KG248-18】
→全集の人名索引中に、「古山子文(礼、秋陽堂)」「古山善吉(政礼)」の記載あり(p.617)。
全集中には、これらの人名が断片的にあらわれる。
・石山洋 [ほか]編『江戸文人辞典 : 国学者・漢学者・洋学者』東京堂出版, 1996.9【H2-G5】
→pp.118-119に、勝田半斎の項あり。
・長澤孝三 編, 長澤規矩也 監修『漢文學者總覽』改訂増補 汲古書院, 2011.10【H2-J8】
・小川貫道 編『漢学者伝記及著述集覧』復刻 (辞典叢書 ; 32) 東出版, 1997.9【H2-G11】
・竹林貫一 編『漢学者伝記集成』復刻 (辞典叢書 ; 31)東出版, 1997.9【HA34-G6】
・ジャパンナレッジ Lib(当館契約データベース)
・リサーチ・ナビ( https://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/ )
・Google Books( https://books.google.co.jp/ )
・国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )
・国文学論文目録データベース( https://base1.nijl.ac.jp/~rombun/ )
・日本漢文文献目録データベース( https://www.nishogakusha-kanbun.net/database/ )
(ウェブサイトの最終アクセスは2021年2月16日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 漢詩文.日本漢文学 (919 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 所蔵機関調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000294509